老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

良識ある政治を求めて

2013-05-15 15:14:04 | 安倍内閣
第二次安倍内閣が誕生した昨年12月以来、マスコミは「2013年7月の参院選まではタカ派色を抑え経済政策に重点を置くようだ」と報じ、アベノミクスと称する政策が打ち出されるとそれを連日最大限に賞賛。折に触れ見え隠れする安倍総理の危うさには、あえて触れようとしてこなかった。

そんなマスコミの太鼓もち振りに自信を得たのか、安倍総理は、長嶋・松井両氏の国民栄誉賞授与式に背番号96のユニフォームを着て登場したり、インターネットサイトのイベントで軍服姿で陸上自衛隊の戦車に乗って手を振ったりのはしゃぎ振り。自らのタカ派振りを愛嬌の衣をまとって国民にアピールすることに余念がない。

それに加えて現在は、国内の原発再稼動推進と、トルコへの原発売り込みの「トップセールス」という厚顔ぶりまで身に着けた。

こうして、調子に乗りすぎたのか、ここに来て、河野談話・村山談話の見直しや靖国参拝に反発する中国・韓国に対して、「脅しに屈しない」と挑発的な発言で対応し、ついにアジア諸国だけでなく、アメリカやヨーロッパの友好国からも、批判・懸念の声が噴出し始めた。菅官房長官を始めとする総理周辺の閣僚らが、目下弁明に大童だが、安倍総理自身には客観的に見た己の姿が見えていないようだ。

岸信介の孫である安倍晋三氏の政治信条が「(東条内閣の閣僚として開戦詔勅にサインをし、指弾の対象となった)祖父の名誉を回復する」という私的センチメンタリズムから発していること、その帰結が「美しい日本/強い日本を取り戻す」と言うスローガンであり、戦前回帰の国家主義的国作りへの執着であるという本質は、前回の総理時代と全く変わっていない、ということだ。

安倍総理の歴史認識が諸外国の顰蹙を買っていることをマスコミもようやく報じ始めているが、彼の歴史観・国家観によって最も被害を蒙っているのは、言うまでもなく私たち国民自身だ。

国家を国民の上に位置づけて統合したがる安倍総理の志向性は、現憲法が保障する国民の「自由」「平等」「個人の尊重」「健康で文化的な生活を営む権利」を抑制し「公の秩序」を強調する「自民党憲法草案」に投影され、すでに色々な形で私たちに影響を及ぼし始めている。

4月28日の「主権回復の日」。式典では会場から起きた「天皇陛下万歳」に総理を始め閣僚が唱和したという。その一方で、5月15日の沖縄返還の日には、何の政府行事も予定されていない。沖縄の人達の「痛恨」「屈辱」の思いは置き去りにされたままだ。

福島原発事故の被害者や脱原発を願う人々の拠点「経産省前テントひろば」では、5月10日に明らかに仕組まれた挑発によって不当逮捕事件が発生した。

「マイナンバー法案」とか「女性手帳」など、国による個人への余計な介入を目論む法案が、いつの間にか法制化されようとしている。

こうした流れを受けて、社会は他を思いやる大らかさや良識が陰を潜めて、最近は排外主義者のヘイトスピーチや、橋下維新の会代表の「従軍慰安婦は必要だった」発言など、目を覆うような破廉恥で不穏当な言動が大手を振るっている。

政治家よ、東日本大震災の時に示された被災者の忍耐強さ、ボランティアに駆けつけた若者たちの優しさ、救助に汗を流した自衛隊や警察官や消防隊の人達の献身、こういう日本人のモラルの高さを、悪用しないでもらいたい。あなた方の下品な振る舞いによって、私たち国民の心を踏みにじり、日本という国を世界の笑いものに仕立てあげないでもらいたい。

私たちは一体いつまでこの政治の喧騒がもたらす苦痛に耐えていかなければならないのだろうか。良識ある政治家よ、出でよ!

「護憲+コラム」より
笹井明子
コメント (3)
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