以前、名無しの探偵さんに「その1」「その2」と二回にわたってご紹介頂いた「世界で最初に飢えるのは日本」(鈴木宣弘著)を読みました。
名無しの探偵さんが書かれていた事の重複になるかも知れませんがお許しください。今のこの時期に良くこの本ご紹介くださいました。
日本の食料自給率は37パーセントと言われていますが、「種、エサ、肥料等を輸入に頼っている日本の真の自給率は11%しかない」と著者は言っています。
更に日本は、ここの所の円安で世界の穀物争奪戦に負けつつあるのです。ウクライナで戦争が起きてロシアが穀物輸出を制限したために(それ以外の理由もあるのでしょうが)パンやケーキ、小麦粉等の値段が日本でも上がりました。こんな風に食卓にあっという間に影響を及ぼすのです。
ここの所の「異常気象」が「通常気象」になってしまい、様々なリスクに見舞われ、穀物、牛・豚・鶏等のエサの争奪戦がアメリカ、カナダ、オーストラリアから輸入している国の間で起こっています。此等の国はEU諸国を含めて自国の食料はしっかり確保した上で輸出をしているそうです。アメリカは独自の食料戦略を持っていて、「食料は武器より安い武器」と言っているのです。
振り返って日本はどうでしょうか。
日本には「全国農業協同組合連合会」という組織があります。世界には国境を超えて活動する多国籍企業が有り、多国籍企業にとってはこの「全農」が目障りで、世界一の船積み施設を持っている「全農」の子会社を買収しょうとしました。農業組合のままでは「全農」を買収出来ないから「日米合同委員会」に働き掛けて。その決着は未だ付いていません。
「全農」は不祥事も起こし、「いっそ株式会社にしてしまえ!」という議論が多くなって来た時は、陰で何かが起きていると思った方が良いかも知れません。
嘗ては自民党の農水族、農林水産省、全中(農業中央組合中央会)で日本の農業政策を進めていたそうです。そのための弊害もありましたが。それが小選選挙区制に変わり、農地を持たない選挙区、農業の割合が低い選挙区が増え、農家の数も減り、票田としての価値が下がってしまったそうです。結果、日本の農業政策は財務省、経産省に牛耳られるようになり様々な歪みが生じているそうです。「金だけ今だけ自分だけ」の新自由主義的農業政策が日本の農業を破壊させるのです。
日本の政治家はアメリカの意向に逆らえません。逆らったらスキャンダルで失脚させられ政治生命を断たれる、と著者は言っています。何故農水省が力関係において負けてしまったかと言えば、「内閣人事局」が誕生し当時の官房長官の下、人事権を握られてしまったというのが大きいそうです。アメリカは日本の自給率を上げて輸入を抑える事を望んではいません。
でも、現在は各地で新しい食料自給率を上げる取り組みが起きているそうです。(「ママエンジェルス」という団体が母親達を中心とした消費者達の声を行政に働き掛け、生産者と消費者が一体となった食料供給に取り組む、等。)
著者は元農林水産省の官僚。日本の食糧事情については深謀遠慮しています。食の安全等についても知識が深く参考になります。
私は日常の生活では、安価な何処で作られたか分からない食料品を買うより、出来るだけ地産地消で作られた食品を買おうと思っています。小さな希望ではありますが、見逃さず耳を澄ませて行こうと思っています。食料自給率が脆弱な国に生きてる人間の一人としてこれからも見守っていきたいのです。
「護憲+BBS」「コラムの感想」より
パンドラ
名無しの探偵さんが書かれていた事の重複になるかも知れませんがお許しください。今のこの時期に良くこの本ご紹介くださいました。
日本の食料自給率は37パーセントと言われていますが、「種、エサ、肥料等を輸入に頼っている日本の真の自給率は11%しかない」と著者は言っています。
更に日本は、ここの所の円安で世界の穀物争奪戦に負けつつあるのです。ウクライナで戦争が起きてロシアが穀物輸出を制限したために(それ以外の理由もあるのでしょうが)パンやケーキ、小麦粉等の値段が日本でも上がりました。こんな風に食卓にあっという間に影響を及ぼすのです。
ここの所の「異常気象」が「通常気象」になってしまい、様々なリスクに見舞われ、穀物、牛・豚・鶏等のエサの争奪戦がアメリカ、カナダ、オーストラリアから輸入している国の間で起こっています。此等の国はEU諸国を含めて自国の食料はしっかり確保した上で輸出をしているそうです。アメリカは独自の食料戦略を持っていて、「食料は武器より安い武器」と言っているのです。
振り返って日本はどうでしょうか。
日本には「全国農業協同組合連合会」という組織があります。世界には国境を超えて活動する多国籍企業が有り、多国籍企業にとってはこの「全農」が目障りで、世界一の船積み施設を持っている「全農」の子会社を買収しょうとしました。農業組合のままでは「全農」を買収出来ないから「日米合同委員会」に働き掛けて。その決着は未だ付いていません。
「全農」は不祥事も起こし、「いっそ株式会社にしてしまえ!」という議論が多くなって来た時は、陰で何かが起きていると思った方が良いかも知れません。
嘗ては自民党の農水族、農林水産省、全中(農業中央組合中央会)で日本の農業政策を進めていたそうです。そのための弊害もありましたが。それが小選選挙区制に変わり、農地を持たない選挙区、農業の割合が低い選挙区が増え、農家の数も減り、票田としての価値が下がってしまったそうです。結果、日本の農業政策は財務省、経産省に牛耳られるようになり様々な歪みが生じているそうです。「金だけ今だけ自分だけ」の新自由主義的農業政策が日本の農業を破壊させるのです。
日本の政治家はアメリカの意向に逆らえません。逆らったらスキャンダルで失脚させられ政治生命を断たれる、と著者は言っています。何故農水省が力関係において負けてしまったかと言えば、「内閣人事局」が誕生し当時の官房長官の下、人事権を握られてしまったというのが大きいそうです。アメリカは日本の自給率を上げて輸入を抑える事を望んではいません。
でも、現在は各地で新しい食料自給率を上げる取り組みが起きているそうです。(「ママエンジェルス」という団体が母親達を中心とした消費者達の声を行政に働き掛け、生産者と消費者が一体となった食料供給に取り組む、等。)
著者は元農林水産省の官僚。日本の食糧事情については深謀遠慮しています。食の安全等についても知識が深く参考になります。
私は日常の生活では、安価な何処で作られたか分からない食料品を買うより、出来るだけ地産地消で作られた食品を買おうと思っています。小さな希望ではありますが、見逃さず耳を澄ませて行こうと思っています。食料自給率が脆弱な国に生きてる人間の一人としてこれからも見守っていきたいのです。
「護憲+BBS」「コラムの感想」より
パンドラ