老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

オバマ新大統領に期待する対日・北東アジア外交

2008-11-14 22:29:19 | 安全・外交
オバマ新大統領時代の日米関係について巷間ブッシュ政権時代と大きな違いはないとか、クリントン民主党政権時代のように貿易外交面でジャパンパッシングが再開されるだろうとか云われているが、このような過去の外交路線の踏襲ではCHANGEとは云えず、オバマ新大統領にはそぐわない。オバマ新大統領には是非過去の日米・北東アジア外交を断ち、平和樹立の外交にCHANGEしてもらいたい。

ブッシュ政権時代の日米関係は、政治的には冷戦時代の延長線上の政策で、小泉首相も日米関係が良好であれば中・ロ関係もうまくいくと主張、その後の安倍首相と麻生外相(現首相)も「価値観外交=自由と繁栄の弧」を唱え、暗に中・ソ・北朝鮮を封じ込める戦略、即ち日米安保条約を機軸に米国の単独行動主義や米軍再編に協力しながら、対中、対北朝鮮の脅威を必要以上に煽り、日米軍事協力を着々と強化し、ロシア・中国・北朝鮮の旧共産主義諸国を包囲しようとする政策であった。

しかし現実はソビエトと中国は自由主義国との経済競争に敗れ、ソビエト連邦は崩壊、中国でも共産主義経済は行きづまり自由主経済で共産党独裁政治を維持している状態であり、両国とも自由主義国との貿易なくして国家経済は成立しないことは周知の通りであって、共産主義と自由主義のイデオロギー対立による冷戦は既に終わっている。

そのような中での米国大統領選挙で、ブッシュ政治からのCHANGEを掲げ、世界の平和を希求するオバマ氏が圧倒的支持を得て、来年1月20日に第44代アメリカ大統領に就任することになった。海外でのオバマ歓迎の動向を見ても、いかに世界が対話と平和希求のオバマ外交に期待しているかが分かる。

日本の立場からいうと、今後の対日・北東アジア外交でも究極の変革を期待したい。北東アジアには未だに第二次世界大戦と冷戦時代の未解決事項が残されている。それは北東アジア5カ国(日・ロ・中・韓・北鮮)+米国間での完全な国交回復が樹立していないことである。具体的には日・米・韓と北朝鮮との完全な国交回復、日本に対するロシアからの北方領土4島の返還、北朝鮮による拉致被害者の解放と非核化、併せて日本の北朝鮮への戦後補償を包括的に解決すること、これらを同時解決しての北東アジアでの平和樹立である。

こうした北東アジアの諸問題解決と平和樹立には、今後も6カ国協議の場が不可欠であろう。ブッシュ政権時代は6カ国間の不信とわだかまりが完全に解けずに、テーブルに付く機会も少なかったように思う。今後は北朝鮮の日米韓に対する不信感をどのように解消するかが鍵である。ロシア、中国に対しても然りであって、これまでの冷戦時代の産物である日米・米韓安保条約を基軸にした外交戦略では、ロシア、中国、北朝鮮との信頼関係を築くには限界がある。

北方領土にしろ、拉致にしろ、非核化にしろ、相手に主導権がある以上、主導権を持たない側にはそれを解決し易くする環境整備が必要である。いまや共産主義経済は崩壊し、自由主義国とのイデオロギー対立と冷戦は既にないという歴史的事実に立ち、北東アジアでの平和樹立を条件に冷戦時代の日米、米韓安保条約の見直しをロシア、中国、北朝鮮に提示し、安心と信頼を得るべきである。

そもそも警察予備隊、後の自衛隊と日米安保条約の創設と締結は中ソ共産主義国の脅威と冷戦が原因であり、中ソの脅威と冷戦が無くなれば見直されるべきものである。それが永い冷戦で固定化され、冷戦が終結しても軍備は既成事実として残され、それがあるために今では欧米と中東アラブ諸国間の宗教・民族紛争等、イラク・テロ特措法まで制定して別の目的に利用されている。

仮にオバマ大統領時代に北東アジアの諸問題が解決し、北東アジアの平和が樹立され、6カ国間で相互平和条約の締結が実現されれば、自衛隊と日米安保条約はその目的を達したのであり、日米は新たなパトナー条約を締結し、自衛隊はその時の国際環境を見ながら憲法9条との整合性をを図っていくべきであろう。その時が名実ともに平和憲法に沿った日本の真の独立と云えるのではないだろうか。

オバマ政権が北東アジアでの和平を目指し、6カ国協議を公正にスムーズに進めるには、先ず日本の近代史を客観的に検証し、戦前戦後のロシア・中国・朝鮮・アメリカとの彼我の関係も分析して欲しい。その上で第二次世界大戦で被った貴い犠牲と教訓に立ってアメリカが起草した憲法第9条の理念を想起し、それを錦の御旗に北東アジアでの和平樹立と相互平和条約との引き替えに日米、米韓の安保条約の見直しを提示し、6カ国協議のイニシアチブをとっていけば、自ずと諸問題の解決と北東アジアの平和樹立に到達するはずである。そしてそれはオバマ平和外交の強いインパクトになり、次なる世界の平和外交に繋がって行くはずである。

このような夢のような話ができるのも、世界最強のアメリカに対話重視で世界の平和を希求するオバマ大統領が就任することが決定したからである。人類の究極の不動の価値は戦争で対立するより和平にあるはずである。大統領選挙中の合い言葉「YES,WE CAN」には国境を越えて不可能を可能にしていく勇気と意思が込められていると感じる。このような夢を与えてくれるのもオバマ新大統領の魅力ではないだろうか。

「護憲+BBS」「各国の動きに注目する」より
厚顔の美少年
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする