老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

若者発信「反貧困」プロジェクトを受けて

2008-11-25 14:43:03 | 民主主義・人権
アメリカ発の金融危機の煽りを受けて、日本でも自動車産業を始めとする企業が生き残りを掛けて、年内にも非正規雇用の大幅な削減に手を付ける、と報じられたばかりの11月24日に、『ロスジェネ世代からの「反貧困」のプロジェクト』というシンポジウムが開催されました。

シンポジウムの中でも、首都圏青年ユニオンの河添誠さんから、「僅かな貯蓄しかない中、10月末に解雇通知、11月20日をもって寮を出て行くよう通告され、困窮している若者」の例が報告されましたが、こうしてここ数週間のうちにも、住む場所や日々を暮らす糧を失う人たちが、何千、何万という規模で生まれようとしています。

河添さんは、働く場所をいとも無造作に奪われる若者は、秋葉原の殺傷事件の例を待つまでも無く、自分自身の尊厳を感じられなくなる、と指摘。併せて、「労働者派遣法の改正に呼応して、非正規雇用化という流れが作られ、拡がり続けている」と言い、雇用や貧困の問題はロスジェネとか就職氷河期世代という特定世代の問題ではなく、日本社会の根幹に拘る制度的な問題であることも指摘していました。

一方、そんな現状をよそに、国会では相変わらず「政局か、政策か」という愚かで悠長な論争が繰り広げられています。日本のあちこちで、様々な職種、様々な境遇の人たちから湧き起こる苦境の訴えも、「票に繋がるかどうか」という一点でしか、ここでは受け止められていないように見えます。国民が直面する現実に対して、日本の政治家のこの感度の低さは、一体何なのでしょうか。

シンポジウムでは、貧困問題と政治のかかわり方の質問を受けて、パネラーが、「“もやい”に来る人たちは、日々生きていくのに精いっぱいで、(政治という)抽象論を考えるゆとりはない」(「もやい」・冨匡孝さん)、「政党を超えて、政治家一人ひとりに働きかけていくことが大事」(「フリーターズフリー」・杉田俊介さん)、「特定政党に過度に期待するのではなく、政治にコミットし続けることが必要」(「ロスジェネ」・大澤信亮さん)と語っていました。

憲法27条には「勤労の権利」が保障されています。非正規雇用とそれを利用した首切りの蔓延は違憲状態と言うべきで、政治に大きな責任があります。いま困難な状況にある人達も、自分一人の問題として抱え込むのではなく、政治や社会の仕組みに目を向けるゆとりを持てれば、問題を内側から反転させることも、可能なはずなのです。しかしそのためには、今困窮している人達を喫緊に具体的に支える、その上で支援の輪を社会に広げる、更に政治にコミットしていく、こうした循環が必要だということでしょう。

確かな現状認識や具体的な対応策を、柔らかな表情で口々に語り、日々誠実に実践し続けている若いパネラーたちの姿を眩しく眺めながら、私たちも世代の垣根を超えて、彼らの頑張りを応援し続け、支援の輪の中に居続けたい、そして、私たちの視点で政治を監視・関与し続けたいと、気持ちを新たにした24日のシンポジウムでした。

「護憲+コラム」より
笹井明子
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「ロスジェネ世代の反貧困プロジェクト」参加報告

2008-11-25 09:48:33 | イベント情報
11月24日のイベントシンポジウム『ロスジェネ世代からの「反貧困」のプロジェクト』に参加した感想を、思いつくままに書いてみます。

先ず、「貧困問題を共有するというのは、中々骨のおれる事かも知れない」と言うこと。今日は偶々老若男女、色々な年代の方々が集まったので、懇親会も含めて面白かったです。

3人のパネラーの方(杉田俊介氏、河添誠氏、冨樫匡孝氏)、コーデネーター大澤信亮氏の話は、富樫氏の話が一番分かりやすかった、というか心にストンと落ちた気がいたしました。

『「何時でも出たり、入ったり出来る」「本心を話す事ができる」を担保する、小さくてもいいから、そういう場所があちこちに出来ればいい』と言う言葉には、深く共感いたしました。そして、それは周囲に対して閉じているのではなく、誰でも、何時でも、出たり入ったりできる場所。ワーキングプア、ネット難民、ニート、ひきこもりの人達が、心に鎧をつけることなく居られる場所が、あちこちにあれば良い、と私も思います。

なかなかピュアなものを求めても、そうそうありはしないと言うこともできるけれど、実際上記の人達はそんなエネルギーも余裕も、お金もないのです。だとしたら、それほど余裕はないかも知れないけれど、少しは動ける人達が、細々とでも、作って続けて行けたら良いのだろうと思います。ある意味、私達の活動もそんな居場所作りの一端に位置するするものであったら良いと思っております。

ワーキングプア、日雇い派遣の人達、ニート、ひきこもり、そして精神障害、身体障害を持っている人達にとって生きにくい社会は、実はこの社会で「うまくやっている」と思われる人達、そう自負している人達にとっても、息苦しい閉鎖的社会なのだろうと思います。

私が好きな作家、伊坂幸太郎や吉田修一も、その著書の中で、孤立する個人の、計り知れない程の孤独、けれどその中で繋がろうという人達のかすかな希望を描いています。

それともう一つ、「女性と貧困」の問題もとても興味深いものではありましたが、残念ながら時間切れで、深い話は聞けませんでした。

「護憲+BBS」「イベントの紹介」より
パンドラ
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