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或る大阪近鉄バファローズファンの
偏愛と放浪の記録

敗戦、一夜明けて

2008-08-24 09:00:39 | 【五輪】BEIJING 2008
 野球チームは3位決定戦vsアメリカにも敗れ、「金メダルしか要らない」が逆の意味で現実になった結果に。案の定と言うか何というか……もう終わっちゃったことなので、何を言ってもたらればなんだけど。実際試合見れなかったし、見れてたら見れてたでもう言葉もない状態になってたと思うんだが。
 敢えて極個人的視点の話をすれば、上原氏が来年アメリカに行くつもりでいることを考えると、ナショナルチームではこの五輪が見納めかなぁと思っていたので、本当はどんな形であれ最後はやっぱり勝って終わってほしかった。でもこれはあくまで願望であって、おそらくこのままでは無理だろうと覚悟はしてたけども。

 でもこの試合、「ほとんど勝負あった」な8回4点差、しかも先攻だから攻撃は残り1イニング。この状況で敢えて投入するのが何故、曰く「エース」であるはずのダルビッシュなのか? もっと言えば、こんな場面で使うぐらいなら、「金メダルしか要らない」と言って臨んだ準決勝に何故使わなかったのか。そして最後に意地でもメダルを獲りに行きたいのなら、何故この試合に先発させなかったのか。使う方はダルビッシュに何を求めていたのか?

 今さらの話だけど、現時点での中継ぎのスペシャリストがいなかったんである。よほどのことがない限り先発投手に完投が求められるような大会ではないことはわかっていたはずなのに、選出されたのは、中継ぎに「対応できるかもしれない」あるいは「対応してほしい」先発投手。おまけに「トリプルストッパー」はリードあるいは同点の状況でなければ出てこない。必然的に、先発が早くに潰れた場合でもこの「本職先発」の中継ぎ陣で回さざるを得なかったのだから、そりゃもたないだろう。
 まあ、先発にそう簡単に序盤で潰れられたら誰が続いたって勝てないだろうって話でもあるんだけど。だから正直、先発にはもう少し頑張ってもらいたかった。せめて先発が常に5回、6回を普通に投げてくれていたらとは思う。
 ただ、見切りが早かったとも言うんだけどね。予選リーグの韓国戦での交代ミスが不運な逆効果を生んだのかもしれない。(でもキューバ戦でのダルビッシュは早めに代えたんだけど。戦術的にはあの交代はまだ納得できるけど)

 しかし、先発の見切りは早かったけどリリーフの使い方が最後まで型にはまったまんまだった。
 敗戦投手になってしまった憲伸も、結局この9試合で5試合登板。極端な話、シーズンに置き換えれば80試合とか登板するペースになるわけで、久保田(虎)以上の登板数になる。いかに本人に対応能力があり短期決戦であると言っても、本職以上のこのペースは明らかに登板過多だろう。
 上原氏のように1度でも長期のリリーフ待機経験があるならともかく、ましてや憲伸は(今年ちょっとだけイレギュラーがあったにせよ)先発1本の10年選手。だから責められない。結果としては打たれなかったけど成瀬にしても似たようなものだった。
 おまけに、リリーフ選任でキャリアを積んだ岩瀬にしてからが、準決勝では明らかに引っ張りすぎ。引っ張らざるを得ないということは、それ以上の策がないということ。だからこそ「3敗」という数字がついて、貧乏籤を引かされた結果になってしまった。どう考えたって使う側の問題なのである。
 ……まあ私も、試合単位ではタイブレイクでの敗戦をあんまり気にしてなかったりもしたんだけど……あの時点では。

 西岡、川崎の2トップ(的な存在だと私は思っているのでこう言いますが)が万全でなかったという躓きはある。村田の直前での体調不良もあった。
 ただ、本人からの辞退という選択肢もあったにせよ(辞退してほしかったという意味ではない。いてくれた方がありがたいとは思うし)、少しでも動ける可能性がある状態でそんなことを言い出す選手たちではないことがわかり切っている以上、メンバーに入れるか外すかを最後に決めるのはやっぱり連れて行く方なのである。連れて行くのは構わないだろうけど、問題は、それがわかっていて連れて行くのであれば本当に使えなかった時にどう対応するか、であったはず。
 西岡と川崎の「代役」の形になった中島と荒木はよく頑張ったと思う。特に中島は打撃はもちろん、守備で思ったより頑張ってくれてたし。最近のなかじの守備ちゃんと見てなかったよ、ごめんね。どーしても稼頭央ちゃんが抜けた当初の危ない守備が印象に強すぎて(笑)

 だけど、攻撃は大事なところでほとんど「線」にならなかった。
 アジア予選では、メンバーに多少の違いはあれ、すべてがうまく機能していたように見えた。ただ真価が問われる本大会では、窮地から這い上がる力を持たない攻撃陣になってしまっていた。
 あれだけアジア予選で暴れた「4番・新井」にも、あの時ほどのカリスマ性はなかったと思う。宮本がキャプテンではあったけど、求められていたのはどちらかといえば「裏番」的なところで、グラウンド上のキャプテンが不在だったように見えた。WBCで言えばイチローのポジション。本当は今回、そういう存在が新井であってほしかった。だから、今の新井が「阪神の新井」でなく「広島の4番の新井」だったらどうだったか、と考えてしまった。深層心理的な話だが。

 比べるのもどうかという話かもしれないが、少なくとも守備力の平均は完全に、「1チーム2人」という制約の中で苦心を重ねて選出されたアテネのメンバーの方が上だったと思う。つまり、北京組は結果として比較的打ち勝つ野球に重きを置いた選出になっていた。村田やGGの選出はその最たるもの。とはいえ、アテネで1人たりとも守備に不安がなかったかというとそうでもないんだけど、少なくとも「守備に目をつぶって使う」ような状況でなかったことだけは確か。
 そもそも対戦データが少なかったり全くない相手と試合をし、知らない審判にジャッジされるんだから、多少打てないかもしれないのも、ゾーンが違うのも計算の範囲内に置いておくべきではないのか。少なくとも審判に関しては相手も同じ状況なんだから、対応したもん勝ち。
 エラーは結果であり、結果として責められるべきものになる場合はある。だけどペナントと違う点は、使う側が明確な意思を持ってその選手をチームに加えたということにある。選手の力が及ばなかったのは事実かもしれない。しかしそれ以上にこのチームは、使う側の力量が問われるチームであるはずなのだ。

 もっと大きい範囲で言えば、本当に日本野球界を挙げて勝ちたいと思うのであればペナントを止めるぐらいのことはやってしかるべきだったのである。そこまでしなくても勝てるだろうとか思ってたのならそれがそもそもの覚悟の不徹底で、対戦相手がやるだけのことをやっているのに、いつまでもちまちま同じことをやっていて勝てるわけがないのだ。
 そもそも韓国と戦うにしたって、今までナショナルチームがどれだけきわどい試合をして、果ては負けてきたと思っているのだ。WBCで2度負けた時点で、最後は勝ったにしても危機感を持つべきなのだ。選手は持っていたんだろうけど。

 ……だんだん支離滅裂になってきた。自分で何を言いたいのかわからない。(笑)

 選手個々のレベルは決して低くはない。だから戦術はあったかもしれないが、ひとつの戦術が打てない状況になった時に対応する余地を持った戦略はなかった。キューバのような怖さもなければ、韓国のような相手を圧倒する団結力も見えてこなかった。
 4年前のアテネで、宮本がこう言っていた。

「一生懸命やったからと言って、負けは許されない」

 選手が違うと言えばそれまでだが、あの時だって納得できない采配はあった。限界を感じるプレイもあった。でもそのプレイには「十中八九ダメだとわかっていても何とか切り拓きたい」意志があった。
 だけど今回は、そういうひりひりする感覚がこちらに伝わってこなかった。それが残念でならない。

 リードを守ることができなかった。
 逆転するだけの力が発揮できなかった。
 アジア予選当時だったか、上原氏は「アテネやWBCよりもまとまりを感じる」と言っていた。戦い終えて、果たして今回彼がこの戦いの中でそのチームの状態をどう感じていたのか、それを聞いてみたい。

 結果的に、幸運と言って良いのかもしれないが、「国際大会無敗」の冠は返上せず。
 実にならないとは言わない。しかし、代表メンバーとしての集大成になるだろう最後の大会がこれでは、本当に悲しすぎる……。←最初に話が戻っています。


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