life goes on slowly

或る大阪近鉄バファローズファンの
偏愛と放浪の記録

「物質のすべては光」(著:フランク・ウィルチェック/訳:吉田 三知世)

2014-01-09 23:37:36 | 【書物】1点集中型
 副題は「現代物理学が明かす、力と質量の起源」。文庫で「不可能、不確定、不完全 『できない』を証明する数学の力」と並んでいるのを見たときにどっちを買おうか悩んで、帯のコメントの高村薫氏に釣られ(笑)「不可能、不確定、不完全」を買って以来、ずーっと気に留めていたものの読めていなかった本。
 なんと言ってもタイトルに惹かれてしまう。で、まあ去年の話だけどヒッグス粒子も確認されたし、やっとこさ手を出してみる気に。しかし内容を理解できるかどうか自信ないのでとりあえず借りて味見(笑)してみた。

 やっぱり理解には程遠かったので、勢いで買わなくて正解だった。買って読んでたら挫折の憂き目を見ていたに違いないから(笑)。ときどきベタなユーモアを交えて語ってくれて、口当たり自体はソフトなんだけど、これがポピュラー・サイエンスならこれすら理解できない文系人はどうしたらいいのだ!(笑)
 唯一「そうか!」と理解できた(多分)のは「対称性の自発的破れ」。「自動車は道路の片側を走る」ことを例に引き、全ての自動車が同じ側を走っていればどちら側を走るかは問題ではなく安定しているが、右側を走る車と左側を走る車があるということは不安定で、「だから、左と右の対称性は破れなければならない」=「安定な解は対象性を持たない」という話。これ、なるほどねーと思えた。
 
 ただ、頭に入ってるようで全然入ってないことを自覚しつつ(笑)読み進めながらも、「わかんないけどきっとこれがセンス・オブ・ワンダー!」とか言いたい気持ちになったりもした。宇宙項もそうだけど、エーテル(的な概念に通じる媒体=著者言うところの「グリッド」)も本当は間違いじゃないなんて、宇宙はやはり計り知れない。統一理論への道のりはまだまだ遠いけど、それを手にしたとき、人類の持つ科学の力にはどんな道が開けるのだろう。