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或る大阪近鉄バファローズファンの
偏愛と放浪の記録

「ガニメデの優しい巨人」(著:ジェイムズ・P・ホーガン/訳:池 央耿)

2011-10-04 22:26:26 | 【書物】1点集中型
 「星を継ぐもの」の続編。ちょっと間が空いてしまったので、前作をなんとなーく思い出しながら読んでみた。

 万の年月を経て出会ったガニメアンと地球人。ガニメアンは文字通り(タイトル通り)「優しい巨人」であり、その優しさが何に起因するのかを進化の過程で説明できちゃう。そこが前作同様まさに「ハードSF」なんだと思うけど、ガニメアンが本当に優しくて(笑)知性も高く友好的なので、ヒューマンドラマ的要素が多分に感じられるせいか、前作ほどのハードさは感じられない。←つまり、前作より読みやすかった(笑)
 とはいえ、ミステリ的な要素は当然残っていて、しかしガニメアンはついにその謎を最後まで地球人の前に明かすことなく旅立った。にもかかわらず、ダンチェッカーとハントは残された手がかりから答えにたどり着いた。その論理の軌跡にあるように、科学的な事実(おそらく)を積み上げてフィクションを構築する作者の手腕はやはり見事だと思う。そして明かされた秘密を目の前にして、この惑星(地球)の「人間」が、本当にこんなふうに進化してきた種だとしたら……と思いをめぐらさずにはいられない。

 で、物語は最後の「巨人たちの星」に続く。ガニメアンたちが目指したその星では、何が待っているのだろう。