心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

南方熊楠ゼミを予約。週末には秋の北海道へ珍道中

2021-10-27 23:13:31 | Weblog

 週の初め久しぶりに雨が降りました。急に寒くなってきたとは言っても、庭の草木もほっとひと息です。ふと石垣に目をやると、岩肌に苔(菌類)が広がっていました。これまであまり意識して観察したことがなかったので、カメラで拡大してみると不思議な世界が広がっていました。雨で生気を取り戻したのでしょうか。
 そういえば、読売新聞日曜版に「知の巨人 創造の無限を探る」と題して、南方熊楠の菌類図譜が紹介されていました。若い頃は熊楠の本を夢中で読んでいましたが、リタイア後は少しご無沙汰です。久しぶりに南方熊楠顕彰館のホームページを覗いてみると、なんと11月20日に京都大学百周年時計台記念館で「南方熊楠ゼミナール~十二支考~」を開くのだと。久しぶりに行ってみようかなあということで、さっそくきょう手続きをしました。

 さてさて、今秋、結婚45周年を迎えます。両親よりも兄姉よりも長く生活を共にしてきた初老夫婦の節目です。35周年のときは京都市美術館で開かれた「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」で、夫婦そろって一目惚れしたルノワールの「アンリオ夫人」(複製画)をご購入、40周年のときはリタイアした直後だったので「ドイツ・オーストリア2カ国周遊の旅」に出かけました。
 そして今回は??。節目の年であることをうっかり忘れていたのです。これも痴ほう症の始まりかもしれません。それに海外旅行に行ける状況でもないし......。そうこうするうちに日にちが経ってしまいました。
 で、とりあえずJALパックで札幌までの往復航空券とホテル(3連泊)の予約を済ませ、いつもの行き当たりばったりの珍道中に出かけることにしました。北海道も何度もおじゃましているので、今さら富良野でも旭川でもありません。初日は紅葉の札幌市内を散策してサッポロビールを味わうだけ。2日目は少し遠出をして、列車と路面バスを乗り継いで積丹半島まで行ってみることに。そして3日目は昨秋も行って気に入った定山渓温泉界隈でゆったり。細かなことは行ってから考える、全くもって行き当たりばったりのアニバーサリー旅行です。私の人生のようです(笑)。
 それにしても45年も一緒に暮せたものです。まったくもって赤の他人がいつの間にか同じ家に住み着き暮らし始めて45年。お互いに自分の時間と空間を大事にしつつ、それでも同じ時間と空間を共有する気楽さがそうさせるのでしょうか。まあ素直に喜ぶことにいたしましょう。

ということで今夜は少し早い目のブログ更新をすることにしました。総選挙の期日前投票もすませました。投開票日は札幌です。珍道中のご報告は来週土曜日を予定しています。

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ヤナーチェクを聴きながら1週間を振り返る

2021-10-23 11:00:00 | 旅行

 今日は爽やかな秋空が広がっています。窓を開けるとヒンヤリした秋の空気が部屋の中を漂います。バタバタした1週間が過ぎ、さあて今日は何を書こうか.....。まずはCD棚を眺めて取り出しました。ヤナーチェクの弦楽四重奏曲第1番《クロイツエル・ソナタ》です。チェコ出身のヤナーチェク。今週はもう一人のチェコ人、アルフォンス・ミュシャとの出会いもありました。

 先週末、4日間の空白期間が生まれました。さあてどうしたものか。ふと日帰りバスツアーのお知らせメールを思い出しました。「残り2席、2千円引き」につられて和歌山は有田みかんと富有柿狩りに出かけることに。まずはJAの巨大マーケットに寄り道、昼食後には安珍と清姫のお話で知られる道明寺をお参りして、いざ有田ミカン農園へ。
「食べ放題+3キロお持ち帰り」が謳い文句ですが、ミカンの食べ放題と言われてもそんなに食べられるものではありません。その後、富有柿農園に向かい、こちらは大きな富有柿を1袋(2キロ)分の収穫でした。
 こうして、(3キロ+2キロ)×2人分=10キロ+JAでのお買い物という、お荷物をかかえて帰途につきましたが、あまりの重さに途中娘の家に寄って半分ほど置いて帰りました(笑)。

 今週火曜日は水彩画教室でした。今回は大阪駅ビル屋上の「天空の農園」での写生が課題でした。大阪駅前再開発の風景もありましたが、私は14階のコスモス畑に腰を下ろして描きました。きれいなコスコスなのに、うまく描けないのは私のせいです。
 水曜日は、講座運営の一環で、堺市にあるアルフォンス・ミュシャ館を訪ねました。ずいぶん前に一度訪ねたことがありますから、今回が2回目になりますが、19世紀末から20世紀初頭に活躍したアール・ヌーヴォーの代表的な芸術家です。堺出身の与謝野晶子との関わりもあって、ここ堺市にミュシャ専門美術館が誕生したのだそうです。学芸員の方に代表的な作品を詳しく説明していただきました。一見の価値ありです。
 木曜日は来週の講座準備、翌金曜日はフランス文学講座の受講生となりました。この日のテーマはルナールの「にんじん」でしたが、ルナールの著した「博物誌」の挿絵にも話が及び、アール・ヌーヴォーのもう1人の芸術家ロートレックについてお話しを伺うことができました。

 ここ最近、新型コロナウイルス感染者数が激減しています。この急激な変化に驚くばかりです。そんななか、今週は久しぶりに知人と美味しいビールをいただき、つかの間の「春」を満喫しました。私たちはこうしてふだんの生活に戻っていけるのでしょうか。それともまたもや第6波がやってくるのでしょうか。なにやら、第一次大戦後「黄金の20年代」と呼ばれナチスの台頭によって姿を消したワイマールの華やかな時代が浮かんできます。ご用心ご用心。

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中岡マークレビンソンという手作りアンプのこと

2021-10-16 22:47:42 | Weblog

 きょう、この記事の発端となったgraselandさんからご自宅にある中岡マークレビンソンの写真3点をご提供いただきました。さっそく昨日アップした記事に掲載させていただきました。ありがとうございました。お送りいただいた写真を拝見していると、graselandさんの「音楽」に対する熱い思いが伝わってきます。(2021.10.16.)

「心の風景というblogでたどりつきました。中岡マークレビンソン持っています。今週手放すつもりなので、連絡とっていただけますでしょうか?心の風景の管理人さんには、書き込みとメールをしましたが、blog更新されてないので、お願いします。何かありましたら、僕のblogにでも連絡いただければ幸いです。」
 きょう夕刻、「中岡さんのマークレビンソン (https://graceland.exblog.jp/)」と題して、こんなコメントをいただきました。メールもいただき「僕も中岡さんにお世話になり、アンプは購入し、もう終活の為に今週売り払う予定でした」と。私にはアンプの良しあしはよくわかりませんが、大事にお使いになってこられた方であることは分かります。
 このブログを長くご覧になっている方はご存知かもしれませんが、昔よく通っていた堂島地下のワルツ堂(のちにWALTY Classicalを開店するも健康上の理由で閉店)で働いていらっしゃった、関西のクラシックレコード店名物店員だった故中岡教夫さん。中岡さんを慕う方々はたくさんいらっしゃいます。私自身のワルツ堂への思いも含めて、時々記事にさせていただきました。
 そんななか、20数年も前からワルツ堂閉店までアルバイトをされていたハタナカさんという方から「中岡さんが製造された手作りのアンプを御持ちの方を探しています」というコメントをいただきました。さっそくこのブログで紹介したところ、半年後あるいは1年後というスパンではありましたが、何人かの方々からご連絡をいただき、その都度ハタナカさんにお繋ぎをさせていただきました。
 そして今回、中岡さん手作りの「マークレビンソン」をお持ちで、しかも終活のため近く手放すので連絡を取ってほしいとのご要望です。さっそくカナダで中古レコード店を経営されているハタナカさんにメールでお知らせしました。ハタナカさんからは「早速メール連絡させていただきます」とのご返信をいただきました。
 「心の風景」という拙いブログを続けて16年、こういう形で人と人を繋ぐお役に立てることができたのは幸いでした。良い方向に進むことを願っています。(2021.10.15.)

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「古本」と戯れる~四天王寺さんの「大古本祭」

2021-10-09 10:02:19 | 古本フェア

 夏がしぼんでしまう前に もう一度 
 庭の手入れをしよう
 花に水をやろう 花はもう疲れている
 花はまもなく枯れる もしかしたらあすにも。

これは、ヘルマン・ヘッセ「庭仕事の愉しみ」の一節です。ヘッセの水彩画が添えてありました。何かほっとする時間をいただいたような気がします。
 昨日は、事務所にちょっと立ち寄ったあと、四天王寺さんの「大古本祭」に行ってきました。初日とあって境内には早くも古本ファンがお集りで、私もす~とその中に溶け込んでいきました。
 図書館や本屋さんだと、概ね系統分野別に本が並べられています。でも、古本はそうではありません。お店によって様々ですが、分類といっても極めて大雑把。本を探すのに苦労しますが、時間はたっぷりあります。むしろ、既定の枠(分類)にとらわれない本との「出会い」がそこにはあります。それが古本祭の醍醐味です。
 歳とともに選書の傾向が違ってきます。現役の頃はピーター・ドラッカーや野中郁次郎やらの経営書、それも古本ではなく新刊本を読み漁っていましたが、さすがに今はその種の本はスルーです(笑)。
 リュックに入れて持ち帰ったのは次の7冊でした。なんとなく最近の私の心の中が透けて見えそうです。定価の4分の1のお値段で贅沢な時間を過ごします。これも年金生活の楽しみかもしれません。
ヘルマン・ヘッセ「庭仕事の楽しみ」(草思社)
ドナルド・マッケンジー「北欧のロマン:ゲルマン神話」(大修館書店)
中村保雄「カラー能の魅力」(淡交社)
石田瑞麿「日本仏教史」(岩波全書)
吉田秀和「レコード音楽のたのしみ」(音楽之友社)
五味康祐「ベートーヴェンと蓄音機」(角川春樹事務所)
「ザ・日本のメダカ~心をいやす日本のメダカの飼育」(誠文堂新光社)
 ところで昨日、Amazon kindleで新書「音楽の危機」(デジタル本)を読み終えましたが、なんとなく落ち着きません。音楽を語る本なのに、音楽が聴こえてこないのはなぜ?頭脳明晰な方ならどんな媒体であっても何ら問題はないのでしょうが、庶民にはやはり紙の手触りがほしい。
 先日の読売新聞に「紙で読む良さがある」と題する記事がありました。ベースになっているのは「ペーパーレス時代の紙の価値を知る」の著書・柴田博仁教授ですが、「目だけを使うなら電子、手も使うなら紙」「情報をただ受け取るなら電子、つかみ取りにいくなら紙」「並行して複数の作業をするなら電子、集中したいなら紙」とありました。そうかもなあと納得した次第。
 デジタル本だと、いつでもどこでも思いついたときに読むことができますし、難しい言葉は辞書機能を使って簡単に調べることもできます。でも、何かしら読後感が薄く感じられるのはなぜでしょう。人間の知恵は道具を使うところから進化したとも言われます。手先の感覚が頭脳になんらかの好影響を与えているのかもしれません。
 会場の一画に「和本」コーナーがありました。やや薄汚れた和綴じの古文書のような類いです。雨でも降ればぼろぼろになりそうな和紙に墨で刷られた和本の数々。その山を熱心に探していらっしゃる方がいました。なにやら江戸時代にタイムスリップしたようです。
 ぽん!とクリックすれば一瞬に消えてしまうデジタルの世界。紙に刷られた「モノ」としての書物。火事や災害に遭わない限り、いやいや虫食いにならない限り永遠に受け継がれる紙の「本」。さあて、これからの文明はどういう道を歩んでいくんでしょうか。

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音楽を楽しみ、読書を楽しむ「秋」

2021-10-02 10:24:19 | Weblog

 けさ大阪は明るい秋空に覆われ、やわらかな秋の日差しが窓辺を照らします。さあて、どんな曲を聴いてブログを更新しようか。きょうは珍しくモーツアルトのCD「フルート四重奏曲(全曲)」を取り出しました。
 庭の片隅ではシュウメイギクがひっそりと花開いています。この季節、旧暦では「蟄虫坏戸(ちっちゅうとをとざす)」と言うのだそうですが、ひと足早く虫たちが冬支度を始める頃。都会地では、そこまでの季節感はありませんが、それでも夜遅く庭に出てみると、ひんやりとした空気が漂い、夜空にはいくつかの星が輝いています。星といえば、昔、愛犬ゴンタと夜のお散歩をしながら星を眺めたことがありました。田舎の夜空とは比較になりませんが、それでも何となく贅沢な時間を過ごしたように思います。
 そんな秋のある日、義理の両親のお墓参りに行ってきました。その帰り、義弟の家に立ち寄ったとき、メダカを10匹いただいて帰りました。熱帯魚は以前から飼育していますが、ちっちゃなメダカは初めてのこと。ネットでいろいろ調べながら、とりあえず家内お手製の鉢に赤玉土を入れて水を注ぎ、ゆっくりと移しました。その後、水草を入れ、簡易エアーポンプを設えて、窓辺に置いて様子を見ることにしました。日中はほどよく秋の陽がさします。元気よく泳いでいる姿についつい心和みます。
 秋と言えば「読書の秋」。この秋も古本祭が目白押しです。来週後半には「四天王寺 秋の大古本まつり」、下旬には「秋の阪神古書フェア」。下旬から来月上旬にかけては京都・百万遍知恩寺「秋の古本まつり」。気が向いたらのんびりと出かけてみようと思っていますが、緊急事態宣言開けのこの時期、シニア向けの講座運営も本格化してきましたので、様子を見ながら出かける予定です。といいながら、出かけるんですよ。私は(笑)。
 そんなことを考えながら、読売新聞夕刊を眺めていたら「玉岡かおるさん新刊 初の男性主人公」という記事に目が留まりました。久しぶりの新刊です。タイトルは「帆神 北前船を馳せた男・工楽松右衛門」です。
 私が玉岡さんに出会ったのは10年ほど前のこと。京阪電車100周年を記念して開かれたシンポジウムに登壇されていたときでした。財界人、著名人に交じってひときわ異彩を放っていた玉岡さんに、「彼女はいったい何者?」。素朴な疑問がきっかけでした。以後、気がついてみるとほとんどの作品を読んでいました。
 「天涯の船(上・下)」「お家さん」「銀のみち一条」「負けんとき ヴォーリズ満喜子の種まく日々」「ひこばえに咲く」「虹、つどうべし 別所一族ご無念御留」「天平の女帝 孝謙称徳」「花になるらん 明治おんな繁盛記」などなど。いずれも女性が主人公でしたが、今回は「初の男性主人公」というわけです。
 小説を読むのはほとんどお安い文庫本です。ポケットに入れてどこにでも持っていけるからです。新刊は単行本です。早い文庫本化が待たれます。
 ところで、きのう帰宅すると玄関口に子供の靴が一足ありました。孫長男君かと思いきや孫次男君が一人でお泊りにやってきていました。通う小学校が創立記念日でお休みだったようです。いつまでも子供と思っていたら、いつの間にか大きな靴を履くようになりました。
 季節の移り変わりと同じように、孫たちも気づかないうちに大きくなっていきます。東京にいる長男のところの長女も、中学生にもなれば大人の雰囲気が漂います。ということは、それだけ私が歳をとったということなんでしょう。まあいいや。行けるところまで行くしかありません。
 緊急事態宣言が解除された途端に、大学時代の先輩から飲み会のお誘いが舞い込んできました。今月末頃、久しぶりに上洛の予定です(笑)。

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