春を迎えてシジュウカラが元気に飛び交い、数軒先にある小さな公園の桜木も数日前から開花しはじめました。町内会の「観桜会」の準備も進みます。3月も末、年度変りのひとつの区切りを迎えて、この土日連休は自宅でゆっくりと過ごしました。
昨日は特に何かをしなければならないとか、何かをしたいと思うこともないので、小林秀雄の講演CD「信ずることと考えること」に耳を傾けました。全部で2枚、およそ2時間。途中うとうとしながらも、長椅子に横たわって、青い空の淡い雲の動きを眺めながら、ぼんやりと聴いていました。
講演は、念力で脚光を浴びたユリ・ゲラーの話に始まり、ベルグソンの話題になり、柳田國男の話題になり、最後には本居宣長が登場します。その講演のなかで小林氏は、世の中の不思議な出来事、体験を例示しながら独特の現代批評を試みます。妙な科学主義を憂い、当時のインテリゲンチャの精神の荒廃を嘆き、真摯に立ち向かう人間の在り様を説きます。
....「信じること」は責任をとることだ。信ずる力を失うと人間は責任を取らなくなる。すると人間は集団的になる。誰も自分の責任は問わない。「考える」とは付き合うという意味だ。だから、人間について考えるとは、その人と交わることだ。それは科学の方法では駄目だ。その人の身になって考えなければ駄目だ。しかし考えるためには、大きな想像力がいる。....小林氏の言葉が、ぐっと身に迫ってきます。自分自身の生きざま、自分自身の責任の取り方を問います。
このあたりは、西洋と日本の認識論の違いを思います。ずいぶん前に読んだ野中郁次郎先生の「知識創造企業」には「知識は、正当化された真なる信念である」と書いてありました。近代合理主義とは異なり、極めて人間的な「信念」という言葉が使われていることに強い印象を受けたものでした。同様な視点を、小林氏の講演で思いました。
仕事を離れ、ふだん使わない脳味噌を使って、少し別の世界に足を踏み入れてみるのも楽しいものです。なにも学問をしようというわけではありません。普通の人間が普通に生きるための、何か「ものの考え方」のようなものを、振り返ります。生きるための「こころ」の糧になります。
本居宣長は、生涯を通じて山桜を好んだと言います。遺言状にはお墓の傍に山桜を植えることまで記しています。本居のことは松阪市に松阪肉を食べにいった際に生家を訪れた程度で、ある意味では不謹慎な出会いにすぎません。それ以上のことは全くもって知りません。桜の開花の季節を迎えましたので、今日はこの後、小林秀雄講演CDの第三巻「本居宣長」を聴いてみようと思います。
昨日は特に何かをしなければならないとか、何かをしたいと思うこともないので、小林秀雄の講演CD「信ずることと考えること」に耳を傾けました。全部で2枚、およそ2時間。途中うとうとしながらも、長椅子に横たわって、青い空の淡い雲の動きを眺めながら、ぼんやりと聴いていました。
講演は、念力で脚光を浴びたユリ・ゲラーの話に始まり、ベルグソンの話題になり、柳田國男の話題になり、最後には本居宣長が登場します。その講演のなかで小林氏は、世の中の不思議な出来事、体験を例示しながら独特の現代批評を試みます。妙な科学主義を憂い、当時のインテリゲンチャの精神の荒廃を嘆き、真摯に立ち向かう人間の在り様を説きます。
....「信じること」は責任をとることだ。信ずる力を失うと人間は責任を取らなくなる。すると人間は集団的になる。誰も自分の責任は問わない。「考える」とは付き合うという意味だ。だから、人間について考えるとは、その人と交わることだ。それは科学の方法では駄目だ。その人の身になって考えなければ駄目だ。しかし考えるためには、大きな想像力がいる。....小林氏の言葉が、ぐっと身に迫ってきます。自分自身の生きざま、自分自身の責任の取り方を問います。
このあたりは、西洋と日本の認識論の違いを思います。ずいぶん前に読んだ野中郁次郎先生の「知識創造企業」には「知識は、正当化された真なる信念である」と書いてありました。近代合理主義とは異なり、極めて人間的な「信念」という言葉が使われていることに強い印象を受けたものでした。同様な視点を、小林氏の講演で思いました。
仕事を離れ、ふだん使わない脳味噌を使って、少し別の世界に足を踏み入れてみるのも楽しいものです。なにも学問をしようというわけではありません。普通の人間が普通に生きるための、何か「ものの考え方」のようなものを、振り返ります。生きるための「こころ」の糧になります。
本居宣長は、生涯を通じて山桜を好んだと言います。遺言状にはお墓の傍に山桜を植えることまで記しています。本居のことは松阪市に松阪肉を食べにいった際に生家を訪れた程度で、ある意味では不謹慎な出会いにすぎません。それ以上のことは全くもって知りません。桜の開花の季節を迎えましたので、今日はこの後、小林秀雄講演CDの第三巻「本居宣長」を聴いてみようと思います。