心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

スマホと戯れて過ごす自粛生活

2021-05-29 14:30:40 | Weblog

 きょうは久しぶりに初夏らしいお天気に恵まれ、ボチェッリの歌を聴きながら気持ちの良いお散歩ができました。当分こんなお天気が続くようですが、1週間を振り返ると雨が降ったりやんだりで、その合間に庭木の枝を剪定したり、花壇のお手入れをしたり。晴耕雨読、いや晴耕雨聴?いや晴耕雨描?の日々が続きました。
 そうこうするうちに、緊急事態宣言が6月20日まで延長され、自粛生活も2カ月目に入りました。お手伝いをしているシニア向け講座もストップし、受講している水彩画教室や能講座(山本能楽堂)、フランス文学講座も休講が続いています。さあてどうしましょう.....。
 そんなある日の昼下がり、機種を変更した新しいスマホを再設定しながらふと気づいたことがありました。日々の生活の中で、以前にも増してスマホの存在が大きくなっていることです。
 例えば、新聞各紙のアプリがあります。5大紙のほかいくつかの情報サイトがあります。それらを読み比べながら、自己責任で「時代」を読み解いていきます。最近はマスコミの世界にも忖度が蔓延しているようで、読み応えのある記事が少なくなっているのもこんな行動に駆り立てる一因なんだろうと思います。宅配の新聞もスマホで読むことが多くなってくると、新聞紙って要らないかもしれません。新聞紙の行く末を案じます。
 そのほかのアプリもたくさん入っています。パソコンと連携したGoogleカレンダーやメモ帳(Keep)そしてPhoto。重宝するのは天気予報やMap、乗換案内、電子書籍Amazon kindleなどなど。翻訳をしてくれたり、お花の名前を調べてくれたりしてくれるGoogleレンズも優れものです。
 私がパソコンと暮らすようになったのは30年も前のことでした。Windowsの初期の頃で、ネットとの出会いはniftyの電子会議が初めてでした。それが今やポケットに入る小さなスマートホンの中でほとんどすべてが完結してしまいます。
 例えばこんな具合です。先日、新潮社のウェブマガジン「考える人」(副題:シンプルな暮らし、自分の頭で考える力。知の楽しみにあふれたWebマガジン)に、猪木武徳著「社会思想としてのクラシック音楽」(新潮選書)という新刊本が紹介されていました。懐かしい「社会思想」という言葉に触れてさっそくAmazon kindleで検索し、「サンプルをダウンロード」しました。要するに「立ち読み」です。ざっと目を通してご購入とあいなりました。
 テノール歌手アンドレア・ボチェッリのサイトも容易に見つけることができます。彼の最近の動きが手にとるように分かります。今の私にとっては貴重な情報源でもあります(笑)。
 今週の歌劇鑑賞は2作品でした。ひとつはビゼーの歌劇「カルメン」、もうひとつはプッチーニの歌劇「つばめ」でした。この作品は2009年1月10日にメトロポリタン歌劇場で上演されたもので、NHKBSの録画です。ソプラノは来日のたびに出かけていたアンジェラ・ゲオルギュー、テノールはご主人のロベルト・アラーニャです。
 テレビ録画だったのでもう少し詳しく作品のことを知りたいと思い、これまたスマホで検索していると「日本橋オペラ」というサイトがありました。そのなかに「モバイル オペラ名曲辞典」というページがありました。なんと、YouTubeにアップされている「つばめ」の一場面の動画まで見つけてしまいました。
La Rondine (Puccini) Chi il bel sogno di Doretta (Angela Gheorghiu)
 目の前の見慣れた風景(空間)の中に膨大な情報が蠢いています。様々な電子情報が飛び交っています。100年、200年前と比べれば、空間を占有する電子の密度は猛スピードで高まっています。押し潰されるってことはないのでしょうか。科学的な知識を持たないお爺さんは不思議でしようがありません(笑)。

コメント

初老夫婦それぞれの自粛生活(^^♪

2021-05-23 14:55:46 | Weblog

 先日、スマートフォンを弄った後しばらくして開こうとしたら、設定しているパスワードを入力するキーボードが表示されません?いくら操作しても表示されないのでロックを解除できず、当然のことながらスマホを開くことができなくなりました??(-_-;)。
 急ぎお店に行ったら修理に出さないと直らないと。ぇえ!何も手荒い操作はしていないのに、なぜ?翌日、機種を変更しました。写真データはクラウド保存だし、メールも問題なし。住所録は諦めていたのですが、若い店員さんが故障したスマホからうまくデータを取り出し新しいスマホに取り込んでくれました。でも、LINEの一部で登録データが消えてしまいました(-_-;)。
 下の写真は新しいスマホで初めて撮影したものです。梅雨入りして咲き始めた我が家のアジサイ第一号です。このあと3種類のアジサイが開花の準備に入っています。
 そんなドタバタの1週間でしたが、雨の日が続きましたので、お散歩のほかは家の中でおとなしく暮らしました。もちろん、部屋にはアンドレア・ボチェッリの歌声が響きわたります。その合間を縫ってやり始めたのが歌劇のDVDの整理でした。その数40本あまり。ほかに衛星放送テレビを録画したものがおよそ30本(残念ながら最近は放映されなくなりました)。
 DVDプレーヤーとテレビとステレオを接続して、マスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」を観ました。若き日のテノール歌手プラシド・ドミンゴのご登場です。歌曲もさることながら、前奏曲や間奏曲も気に入っています。南イタリアはシチリアのとある村を舞台にした、男と女の争い、最後は男同士が決闘して幕を閉じます。歌劇映画のDVDなので、時々シチリアの田園風景や教会などが映し出され、数年前に旅行をした時のことをぼんやり思い出しながら楽しみました。
 もうひとつの作品はモーツアルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」です。ドン・ジョバンニといえば、村上春樹の長編小説「騎士団長殺し」にも登場します。「騎士団長殺し」を読み終えた頃、歌劇「ばらの騎士」と一緒にお連れしたDVDでした。こちらは2時間あまりの大作です。
 歌劇といえば、お腹の底から朗々と歌いあげる場面が特徴です。まさに人間が「楽器」に様変わりする瞬間でもあります。大仰にさえ思えるのですが、自分の心を包み隠さずおおらかに歌い上げる舞台が気に入っています。所々で観客から大きな拍手を送られたり笑い声が聞こえたりもします。幕が下りるとカーテンコールです。一度退場した主だった出演者が再び舞台に呼び出されます。それを観客が立ち上がって拍手で迎える。臨場感満載です。舞台と観客が一体となった舞台風景をDVDで楽しみました。さあて、次は何を観ようかと思案中。

 旦那がお気軽な時間を過ごしているとき、奥様はいったい何をしていらっしゃるのでしょうか。階下に降りてみると居間のソファーに座ってせっせとお仕事でした。
 手元にあったのは、ネットで購入したというゴッホの名画「星月夜」の刺繍キットでした。完成すると117センチ×43センチの刺繍絵画になるのだそうです。大きな布を10数区画に分けたひとつひとつに丁寧に手縫いで刺繍絵を仕上げていきます。
 よく見ると、テーブルの上には精密な設計図のようなものがあります。小さなマス目に小さな記号がびっしり印刷されています。それをひとつひとつ確認しながら縫い込んでいく。...時々、縫い方を間違ってせっかく仕上げたところで解き直したりもしています。3週間余りで2区画がほぼ出来上がったようですが、完成までには気の遠くなるような日にちがかかりそうです。ご本人は「時間潰し」「ボケ防止」と言っていますが、私には到底真似の出来ないことです。

 そんなことをしている間に、緊急事態宣言が発令されて早や1カ月が経とうとしています。感染者数はやや減少傾向にあるものの高止まりの感があり、ここ数日、宣言期間の延長がささやかれています。
 ワクチン接種も動き出しましたが、わが国の接種率はなんと途上国並みだとか。そんな状況でオリンピックはないでしょう。IT先進国と思っていたのに、それが幻想に過ぎないことが分かったのもコロナ禍の大発見でした。何か変?どこかで機能不全を起こしているのでしょう。
 おそらく、司令塔と現場の間で、「心」あるいは「知恵」の乖離があるのだろうと思います。......そうは言っても、ご担当の方々はそれぞれの持ち場でそれぞれに精一杯汗をかいていらっしゃる。リタイア組が偉そうなことは言えません。せめて朝夕のお散歩を欠かさず自らの身を守り、心豊かに自粛生活を送りたいと思います。

コメント (3)

自粛生活をイタリア語と戯れて過ごす。

2021-05-17 11:06:35 | Weblog

 緊急事態宣言が延長されて6日、大阪は昨日梅雨入りしました。例年よりもずいぶん早いご到着のようで、きょうも朝から雨が降っています。考えようによっては、雨が降れば人流も抑えられます。これも神様のお導きかもしれません。きょうはエリック・サティのピアノ曲を聴きながらブログを更新します。
 梅雨入り前の某日昼下がり、ピアノのレッスンに向かう孫次男君を連れて近所に暮らす長女が1週間遅れの「母の日」プレゼントを持ってやってきました。わずかな時間でしたが、孫次男君はスダチの葉っぱを食むアゲハチョウの幼虫に興味津々。帰りがけ、何匹か連れて帰りたいと。小学校に持っていって皆に見せたいのだそうです。私の子どもの頃もそうでした。子どもたちは無邪気なものです(笑)。
 さて、今週もゆったりまったりの日々を過ごしていますが、多くの時間を占めたのはやはりテノール歌手のアンドレア・ボチェッリでした。「またか」と思わないでください。久しぶりの再会ですから仕方ないですね。メゾ・ソプラノ歌手のチェチーリア・バルトリとのデュエット曲「ピアニッシモ」など、先日購入した「Believe 愛だけを信じて」を何度聴いたことか....。日々、彼の歌を楽しみ、彼の著書「沈黙の音楽」を再読して過ごしました。
 そんなある日、ふと思いついたことがありました。「そうだ!イタリア語を勉強してみよう!!」
 彼に初めて出会った40代後半の頃は働き盛りで悠長なことをしている暇はありませんでした。でも、毎日サンデーの今、時間はたっぷりあります。この歳になってイタリア語を流暢に話せるようになりたいなんて思いません。せめてボチェッリが歌う歌詞を原語で感じたい。イタリア語に触れてボチェッリの心に近づきたい。.......なんかミーハーみたいですね。まさか広辞苑にはないだろうと思いつつミーハーの意味を調べてみると「世の中の流行にかぶれやすいこと。また、そのような人」とありました(笑)。
 さっそくNHKラジオのイタリア語講座テキストを求めて近所の本屋さんに行きました。ところが、英語のテキストはたくさん並んでいるのに、イタリア語はお取り寄せになっていました。仕方なく隅に1冊だけ置いてあったテレビ講座テキスト「旅するためのイタリア語」(週1回)を連れて帰りました。その後、ネットでラジオ講座「まいにちイタリア語」(週3回)の電子テキストをダウンロードしました。
 さあてどんなもんだろう??5月号はトスカーナ州のルッカを舞台にしたお話しでした。Chi e quest'uomo?/E un compositore nato a Lucca./Come si chiama?/Si chiama Puccini.(この男の人は誰れ?/ルッカで生まれた作曲家だ。/なんていう名前かな?/プッチーニという名前だ)。.....ふむふむ。なんとな~く分かりそう。なんとな~くローマ字の延長線みたい(笑)。
 でも、男性名詞と女性名詞があること、それぞれ単数と複数によって語尾が変わること。日本語にはない発想です。不思議ですねえ。....細かなことは横において、とにかく声に出してイタリア語を発音してみる。なんとな~くイタリア語の語感(笑)。時間を持て余すぐらいなら少し続けてみましょう、ということで夜な夜なNHKのホームページにある「聞き逃し」番組を聞くことになりました。

【番外編】辛坊治郎さん、太平洋1人旅

 この3月まで在阪読売テレビのニュースキャスターを務めていた辛坊治郎さんが現在、ヨット(全長12.22メートル)で太平洋横断に挑戦中です。何年か前に出航したときは、遭遇したクジラに船体を壊されて命辛々救出されたことがありましたが、今回はそのリベンジです。彼の政治的なスタンスには若干首を傾げるところがないではありませんが、「有言実行」には頭が下がります。
 そんな辛坊さんを乗せた愛艇「KaorinV」をリアルタイムで追尾し艇の位置情報を日々更新しているサイトがあります。辛坊さんのチャレンジを応援している古野電気さんの特設サイト(https://www.furuno.com/special/jp/shinbo-challenge/)です。日付変更線を過ぎて現在太平洋のど真ん中、航路の半分強のところまで到達している様子です。
 航海中には、ラジオのニッポン放送とKiss FM KOBEが、太平洋上の辛坊さんとの電話のやり取りを紹介したりしていますし、YouTubeでも聞くことができます。
 男のロマンってこういうことを言うんでしょうね。無事、ゴールのサンディエゴに到着されることを願っています。
 

コメント (2)

テノール歌手 アンドレア・ボチェッリのこと(続編)

2021-05-11 14:59:05 | Weblog

 二十四節気で早くも「立夏」を迎えた5月の半ば、朝のお散歩をしていても柔らかな若葉が眩しい、そんな今日この頃です。花壇もいつの間にか賑やかになってきました。ハーブ畑ではカモミールやセージ、ラベンダーやローズマリーの花が咲き始めました。
 あと1週間もすれば、コデマリの花が私の目を楽しませてくれます。このコデマリ、実は4年前の6月、北海道に行ったときに帯広の観光庭園「紫竹ガーデン」から連れて帰ったものでした。観光地化した富良野とはひと味違う素朴なお花畑が気に入ったものでした。その紫竹ガーデンの名物社長、「紫竹おばあちゃん」の愛称で親しまれた紫竹昭葉さん(94歳)が先日、お亡くなりになったのを新聞でみました。花柄の派手な服装と帽子を被ってお出迎えをいただいたことが思い出されます。ご主人を亡くしたあと60歳を過ぎて6ヘクタールもの土地を購入し整備して開園されたイングリッシュ庭園でした。年間10万人もの観光客が訪れるのだそうです。ご冥福をお祈りいたします。

 さて、毎週金曜日に更新していたこのブログですが、自粛生活のため暇を持て余して最近一日ずつ更新が早くなって、とうとう今週は火曜日になってしまいました(笑)。昨日は久しぶりに事務所で1日を過ごしましたが、今週もう一度出かければ、当分の間在宅勤務(?)になります。
 ということで、きょうは先週に引き続いてアンドレア・ボチェッリの続編を綴ることにいたします。CDの整理がひと段落したあと、以前全曲を入れていたiPod nanoを取り出し、ボチェッリの曲すべてをもう一度入れ直しました。
 このMP3プレーヤーには現在、ボチェッリのほか、新井満(歌手)、グールド(ピアノ)、館野泉(ピアノ)の曲が入っています。変わり種として小林秀雄講演集(全8巻)や「歩き遍路」のときにもっていった般若心経まで入っています(笑)。
 ここ数日、出かけるときはiPod nanoを忍ばせています。朝夕のお散歩もボチェッリを聴きながら歩いていますが、どこまでも歩いていけそうな気分になるから不思議です。
 40代後半というと、なんとも仕事が忙しい時期でしたが、そんな頃になぜボチェッリにはまり込んだんだろうと考えながら歩いていて気づいたことがありました。それは、挫けそうになった私の「心」を立て直すに十分なボチェッリの「心」「エネルギー」を感じ取ったからに違いありません。生きる勇気をいただいたような気がしています。
 数日前、本棚から取り出した「アンドレア・ボチェッリ 沈黙の音楽」(早川書房)に、こんなくだりがあります。「朗々とした太い声で、情感にあふれ、言いようのない苦悩に満ち、聞く手の心にストレートに響いてくる。歌い方はどこまでものびやかで、自由で、自然だった。ときには優しく、またときには激しく、しかし常に力強く、堂々としていた」と。
 ネットで、映画「アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール」が2年前に公開されているのを知りました。そこには、世界最高峰のテノール歌手アンドレア・ボチェッリの自伝小説完全映画化と記されてありました。さっそくAmazonのPrime videoで探しました。
 先天性緑内障のため視力がだんだん低下していたボチェッリですが、寄宿学校に通っていた頃、事故のために完全に失明してしまいます。乗馬を好みトスカーナの丘を駆け巡っていた彼は、後にピサ大学に進んで弁護士をめざしますが、歌の夢が捨てがたく精進を重ね、ついにはサンレモ音楽祭で優勝して一躍スターの座を射止めます。
 ボチェッリの曲を聴いていると、イタリアはトスカーナの広大な田園風景が浮かび上がってきます。目が見える見えないということではなく、目の前の風景を鷲づかみにする「心」「愛」「躍動感」が曲を通じて伝わってきます。 そしていま、70代を迎えた私にとって、これから先、ボチェッリがどんな水先案内人になってくれるのだろう。そんなことを思うと、何かしら嬉しくなってしまいます。残された人生に悔いはなし。ゆったりまったりと楽しく過ごすことができたらそれで十分です。

コメント

アンドレア・ボチェッリの歌に癒されて

2021-05-05 13:58:38 | Weblog

 非常事態宣言で「我慢」の日々が続きます。毎日、庭の草木、花壇の草花とにらめっこ。朝のお散歩では、お不動さんにある賓頭盧(びんずる)尊者にご挨拶です。撫でると除病の功徳があるとされますが、さすがにこの時期、撫でることはできません(笑)。
 そんななか、以前からやろうと思いながらできなかったLPレコードとCDの整理を始めました。LPレコードの方はこの半年に購入したものをExcelデータに追記するだけで済みますが、CDは手つかずでした。
 CD1枚1枚に番号をつけて、百均で買ってきた小さなタックシールを貼っていきます。Excelデータベースが完成すれば歌手、演奏者、作曲家などをキーに並べ替えればちゃんとした目録が完成する仕組みです。番号で瞬時に探し出すために近くのホームセンターでCDラックを調達して、いざスタート。ところが、作業が進むとラック1台では足りないことが判明しました(笑)。
 そんな作業をしているとき、懐かしいCDを見つけました。イタリアのテノール歌手アンドレア・ボチェッリのCDです。とりあえず16枚発見しました。私がボチェッリに出会ったのは40代後半、イタリア旅行から帰って3年が経過した頃で、なんとなくイタリアを引きずって歩いていて、CDショップで何気なく耳にしたのがボチェッリの「夢の香り」でした。
 ブログの初出は2005年5月22日「アンドレア・ボチェッリと共に生きる」になります。その後たびたび登場するのですが、2014年あたりを境に頻度が少なくなっていました。
 当時は愛犬ゴンタがいて、いくら帰宅が遅くなっても真夜中だろうとゴンタと一緒に夜のお散歩をするのが常でした(ゴンタにとっては迷惑だったかも)。あえて仕事とは一線を画した風景の中に身を置く、そんなリズム感が当時の私を精神的に支えてくれていたように思います。課題山積の頃でしたから、愛犬ゴンタとボチェッリにはずいぶん助けられたものでした。 
 そのとき必ずポケットに入れていたのが、ボチェッリのCD全曲を入れたMP3プレーヤーでした。「夢の香り」「ロマンツァ」「アモーレ~オペラ・アリア集」「セイクリッド・アリアズ~アベ・マリア」「ビアッジョ・イタリアーノ」「愛のために」「燃える心を~ヴェルディ・アリア集」「トスカーナ」「アランフェス~センチメント」そして「アンドレア」など。
 ポップスからオペラまでレパートリーはずいぶん広いものがあります。そんなボチェッリとスペイン語で「ソモス・ノビオス~愛の夢」をデュエットした唯一の日本人歌手に夏川りみがいました。夏川さんのコンサート(デビュー10周年「歌さがしの旅」)に初めて行ったこともありました。追っかけみたいですが、仕事人間にとってささやかな息抜きでもありました(笑)。
 いまや還暦を過ぎて円熟度を増すアンドレア・ボチェッリです。YouTubeで彼の音楽動画を簡単に探し出すことができます。去年、都市封鎖中のミラノ大聖堂で行った無観客コンサート(希望の音楽)ではYouTubeストリーミングの同時視聴者数が280万人にのぼったのだそうです。そんなボチェッリは昨年、自身が新型コロナウイルスに感染していたことを公表しています。
 最近リリースされたCDを探しました。見つけたのは「Believe 愛だけを信じて」です。LPレコードでもCDでもなく、今回はハイレゾ音源をソニーミュージックグループ「mora」さんからダウンロードしました。若い頃のボチェッリとはひと味違う「いま」のボチェッリの姿がありました。
 このCDのコンセプトは「信じる心」「希望」「思いやり」とあります。解説書には「多くの人々が苦しい状況に置かれている現在において、音楽を通じ人々の魂を癒したいという想いから、楽曲は子ども時代から親しんでいた讃美歌からエンニオ・モリコーネの貴重な未発表曲まで、彼がここ数年思いを巡らせてきたものを幅広くセレクト。メゾ・ソプラノ歌手、チェチーリア・バルトリや、カントリー/ブルーグラス界の至宝アリソン・クラウスとのデュエットもあります」と記されています。

 コロナ禍での自粛生活を癒してくれるボチェッリの歌に酔いしれながら、きょうは先週よりも1日早いブログ更新とあいなりました。

コメント