心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

「お笑い」の文化

2008-12-28 09:55:35 | Weblog
 今年も残すところあと4日。きょうから年末の大掃除にとりかかります。身体に染み着いた1年間の不純物を取り除き、清々しい気持ちで新しい年を迎えたいものです。
 ところで昨日は、吉本興業の株主優待券が溜まっているとかで、大阪育ちの家内に同行して、なんばグランド花月に出かけました。大阪の「お笑い」文化は承知していますが、舞台を直に観るのは初めてでした。驚いたのは、学校が休みになったためか子供たちが多いこと。漫才にしても吉本新喜劇にしても、内容は大人の題材が多いのに、会場には子供たちの笑い声がやみません。
 若手漫才師から始まって最後は桂三枝さんの登場です。私のような素人でも、その差は歴然としていました。「KY」ではありませんが、客席の空気を読んで、それに応じて話し方を工夫する。その術は、やはりプロフェッショナルの域です。どんな世界も同じなんだと思いました。
 新喜劇の方は、これまたドタバタ劇。かと思うと場内がいやにシ~ンとする「情」の世界。かと思えば、どっと「笑い」が場内を包み込む。この絶妙な展開。これぞ大阪の「お笑い」文化そのものなんでしょう。ひょっとしたら、ここに大阪の強かさ(したたかさ)が隠されているのかも知れません。
 公演は3時間ほどかかりました。久しぶりにミナミ(難波)に来たのだからと、花月を出た後、ぶらぶらと道頓堀界隈を散策しました。法善寺横丁にも寄ってきました。40数年前に兄に連れて行ってもらった記憶があります。「包丁一本 さらしに巻いて 旅に出るのも 板場の修業♪」で始まる藤島桓夫の歌「月の法善寺横丁」でご存じの方も多いかと思います。水掛不動尊にお参りをして、もちろんお地蔵さんにお水をかけて願をかけました。近代的な建物が林立している一画に、そのお地蔵さんはおだやかな風情で人の世を眺めているご様子でした。そのあと、お隣にある「夫婦善哉」(めおとぜんざい)というお店で美味しい善哉をいただきました。なかなか老夫婦の風情ではあります。
 それで帰ればよいものを、今度はキタ(梅田)に足を伸ばして、大丸百貨店恒例の年末「ふる本市」へ。一時間ほど物色して、この日の収穫は、渡辺崋山の画集、辻邦生著「トーマス・マン」、そして雑誌「現代思想」(丸山眞男特集)でした。家内は陶芸・刺繍・紙人形などの本を漁っていました。
 そんなわけで年末の土曜日は、大阪人になりきった長い1日でした。吉本興業グループの企業行動憲章によれば、「誰もが、いつでも笑顔や笑い声をもてる社会の実現」を目指しているのだと。この世知辛い世の中、ものごとを悲観的にばかり考えないで、笑顔で吹っ飛ばす気概も、これまた必要。そんなことを考えながら帰りの電車に乗りました。
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マーラーの弦楽四重奏断章

2008-12-21 10:13:40 | 愛犬ゴンタ

 きのうの午後は大阪駅前第二ビルの一室で会合があったので、少し早い目に現地に赴き、地下街にある中古レコード店で時間潰しをしていました。そして、名曲堂で面白いレコードを見つけました。題して「アルゲリッチとアッカルドの初共演」。1973年11月のナポリ国際音楽祭ライヴ・シリーズです。1曲目は有名なフランクのヴァイオリン・ソナタ イ長調。2曲目が、グスタフ・マーラーの「ピアノと弦楽のための四重奏断章」とあります。世界初録音とあります。
 マーラーにこんな曲があったかしら。説明を読むと、彼が17歳のときに作曲したものらしいのです。マーラーといえば、交響曲第1番から10番、それに大地の歌、さすらう若人の歌、少年の魔法の角笛、亡き子をしのぶ歌、などがありますが、まさかこんな曲があるとは思いませんでした。「多少未成熟な作り方のように思われますが、いくらか甘美な哀愁のうちにも、のちのマーラーの音楽の倦怠や虚無感な響きがすでに萌芽的に聞こえてくる」とは解説者の弁。帰宅してさっそく聴きました。確かに若き青年マーラーの中に、後のマーラーの世界の断片を垣間見る思いがしました。
 ともあれ、ことしも残り少なくなってしまいました。あと10日もすれば、2009年の幕開けです。そんなことを考えながら、朝、愛犬ゴンタと散歩中、「あっ、そうだ。ゴンタのお誕生日を忘れていた」。彼は11月23日生まれ。ことし9歳になります。人間の歳なら50代後半、私と同じ年代になったということです。そんな思いで彼を見つめてみると、ずいぶん歳をとったなぁという印象です。まぁ、いつまで一緒に散歩できるのかわかりませんが、お互い元気なうちは仲良くしよう。
 そう言えばきのう、オーストラリアのパースに住む姪から、一足早くクリスマスカードが届きました。最近は、ヨガに凝っているようで「主人を置いて、1か月ほどインドのムンバイで勉強してきました」と。戻って間もなく、例のテロ事件が発生したことになります。東京にいる母親(私の姉)はさぞびっくりしたことでしょう。
 さぁ、きょうの日曜日は、長女夫妻からディナーのご招待をいただきました。1年間の感謝の気持ちをこめて、ということなんだそうですが、何か照れます。でも1歳2か月を迎えた孫君も同行ということで、家族全員、大きな事故もなく平穏に年を締めくくることができることに、まずは感謝しなければなりません。
 きょうは、昨日買って帰ったチャイコフスキーのピアノ曲「四季」を聴きながらのブログ更新でありました。

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光のルネサンス2008

2008-12-14 10:15:14 | Weblog
 愛犬ゴンタと朝のお散歩にでかけると、湿っぽい空気が漂っていました。眠っている間に静かに小雨が降ったのでしょう。晩秋の空気が人の心を和ませてくれました。きょうの日曜日は、町内会の「餅つき大会」です。
 ところで先週末は、町田市に出かけていました。そう、2週間前に通ったのと同じJR横浜線に乗って、町田からは小田急線に乗り換えて、まだまだ自然の残る多摩丘陵の景色を眺めておりました。それにしても、このあたり大学の多いところです。新宿にも近く交通至便、それが大学の立地に適しているのでしょうか.......。
 どうも最近、考えることが多くて、少しお疲れ気味です。1日が終わると思考力が萎えてしまいます。だから、この1週間、眠るまえに眺めた本は「夢二の四季」だけ。見開きの左側に竹久夢二の絵、右の頁に解説があり、春夏秋冬の区切りで編集されているので、どうしても秋の頁を眺めてしまいますが、故郷の秋、林檎、女、秋のいこい、鴨東秋色、モデル、初恋、生ける屍、お祭佐七、落日、などなど数頁を眺めながら、自分の時間軸・空間軸を弄っていると、いつの間にか眠っている。そんな1週間でした。
 そんな1週間を終えて、昨日と今日は、久しぶりに連休をいただきました。昨夜はこれまた久しぶりに家内とのお出かけでもありました。食の都・大阪で美味しい食事をしたあとは、水の都・大阪を象徴する「OSAKA光のルネサンス2008」の見物に向かいました。中之島界隈で始まったイルミネーションのお祭りです。神戸ルミナリエほど規模の大きなものではありませんが、それでも整備が進みライトアップされた中之島界隈の夜の風景を堪能するには十分でした。 
 この秋に開通したばかりの京阪電車中之島線の終着駅「中之島」を降りると「ウエストライトパーク」。たくさんの夜店もあってたいへんな賑わいでした。堂島川べりを歩いて15分、こんどは「光のフェスティバルゾーン」へ。大阪市役所前には大きなクリスマスツリー、横の土佐堀川沿いにはイルミネーション通り、その先にはライトアップされた大阪市中央公会堂の雄姿。数年前、照明デザイナーの石井幹子さんをお招きして、この公会堂でシンポジウムを企画したことを思い出しました。
 水上バスに乗って、川沿いのいたるところに施されたイルミネーションをクルーズする楽しみもあります。川面と同じ目線で大阪の街を眺めるもよし。莫大な予算を投じなくても、人の心に訴える事業って、考えてみればまだまだあるものです。厳しい経済情勢のなかで、皆が自信や目標を見失いそうになっていますが、心さえしっかりもっていれば、案外、次の展開が見えてくるもの。それぐらいの強かさを持たないと、この難しい時代を生きていくことはできない。そんなことを思いながら、夜の中之島を散策しました。
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気楽な土曜の夜(^^♪

2008-12-07 00:12:28 | Weblog
 週末の夜、なにげなくブログのサイトに入って、プレート選択画面に入って、うろうろしているうちに、夜の更新作業をすることになりました。選んだデザインが、どう見ても日曜日の朝にはそぐわないと思ったからです。それならこのデザイン、止めておけばよいのにと思うのですが、考えてみれば来週は忘年会ウィーク。ぴったりくるのです。そんなわけで、土曜の夜は、ビル・エヴァンスのCDをガンガン鳴らしながらのブログ更新とあいなりました。それも、デスクの横には、きっちりウイスキーのグラスを置いて。
 きょうの土曜日は、午後から行事と会議が重なり、ふらっと職場を離れることができませんでした。それでも夕刻、多忙の1週間の締めくくりにと、帰宅途中に古書店に立ち寄りました。このところ、仕事関係の本ばかり目を通していましたから、せめてお休みの時ぐらい自由にさせてよ、と言わんばかりに、書棚を眺めていました。手にとったのは、小川晶子著「夢二の四季」、それからジョルジュ・ジャン著「記号の歴史」ほか数冊でした。
 考えてみれば、今週は少しきつかったかなぁ。月曜日に広島へ行って、翌日は重要な会議、そこで爆発をして、翌日は夜の会議、1日おいてまた会議。最後の土曜日は防災訓練と会議。でも、考えようによっては楽しい1週間だったかもしれません。今夜は、本をめくりながら、非日常の世界に酔いしれることにいたしましょう。 
 1週間前は甲府に行っていました。長男君のマンションの前庭で、きれいに紅葉した真赤な葉っぱと黄色い葉っぱに出会い、それを記念にと手帳に挟んで帰りました。いま、書棚に置いてあります。枯葉というと、なにやら寂しくなりますが、ひとつの「思い出」と思うと、それは愛おしいものです。
 そうそう、先週の土曜日の夜は、横浜から駆け付けた次男君と丸の内オアゾ5階にある「和食えん」というお店で、家内と一緒に食事をしました。社会人2年目の次男君の「おごり」でした。「お父さんが払うよ」「いや、もうすぐボーナスやから」と。無理をしなくても、と思いながら、我が子の成長を頼もしく思ったものです。

(注)写真は、山梨県甲府市の武田神社のお堀の風景。鯉に餌をあげたら、どこからともなくたくさんの鯉が浮上してきました。しばらくすると鴨までやってきました。
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孫のお宮参り

2008-12-01 00:23:31 | Weblog
 さて、今朝がた、東京のホテルでブログの更新をしたあと、新宿発の松本行き特急「あすざ」に乗って、山梨は甲府に出かけました。 中央線に乗ったのは、今回が初めてでした。少し経つと「荻窪」という駅に到着しました。荻窪の地は、70数年前、両親が結婚して初めて居を構えたところです。もちろん、昭和の初期のお話です。私は、セピア色の古いアルバムでしか当時を知りません。 そのうち、遠くに冨士山が見えました。山頂は雪で真っ白く輝いて見えます。紅葉に染まる山々を眺めていると、いつの間にか葡萄畑が見えてきます。1時間45分で甲府に到着です。駅では、長男君がニコニコして待っていました。さっそく彼の家に案内をしてもらいました。お嫁さんのご両親とも合流し、いよいよ写真では何度も見た、孫にご対面です。えぇと、お祖父さん馬鹿と言いましょうか、可愛い女の子でありました。 
お宮参りは、長男君のお勧めで、武田信玄を御祭神として祀る「武田神社」で行いました。実は、我が家の古い先祖は、甲府からもう少し先の諏訪の出身との言い伝えがあります。彼には何か思うところがあるのでしょう。とにかく全員で、幼い赤ん坊の行く末を拝んだものです。 ところで、彼の家のリビングからは、遠くに八ヶ岳の真白い山頂を望むことができます。それは素晴らしい景色でした。周囲の山々の紅葉も手に取るように見えます。贅沢な環境です。実は、彼は1年前までは南国は鹿児島に3年間いました。篤姫の里です。私も、何回か足を運びましたが。鹿児島も素晴らしい街でした。お酒もうまかった。どうも地方都市には、人のぬくもりと、何かしら透明感のようなものがあるように思えてなりません。私たちが忘れかけている何かがありそうな気がします。 無事、お宮参りを済ませると、午後4時に甲府を出発、中央線で八王子まで行き、こんどは横浜線に乗り換え新横浜で新幹線に飛び乗りました。こんな次第で、きょうの日曜日は、12時間に及ぶ空間移動をいたしました。それは、場所の移動だけでなく、歴史の重みという時間軸の移動でもありました。....明日は、また仕事で広島に出かけます。
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