心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

七十二候を紐解き、古き良き時代を思う

2014-02-23 00:20:20 | Weblog

 旧暦の二節気「雨水」第四候「土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)」。雪に代わってしっとりとした雨が降り始め、大地が湿り気を含み出す時季なんだそうです。日本の七十二候を紐解くと、大地と共に生きた人の素朴な心を知ることができます。
 ところで、この冬は関東甲信越に大変な豪雪被害をもたらしました。雪国育ちの私には、その大変さがよく判ります。子供の頃は、豪雪のために2月半ばに1週間ほど学校がお休みになりました。そんな日には、隣家のおじさんがカマクラを作ってくれました。母は小さなお盆の上に雪ウサギを飾ってくれました。目にはナンテンの赤い実が添えられています。そのウサギを、解けてしまうまで眺めていたことがありました。
 雪の日の朝は、障子が白く明るく輝きます。でも、何も聞こえない無音空間です。小鳥の囀りも、ずいぶん遠くから微かに聞こえるだけです。地上の様々な音が雪に吸い込まれてしまうからです。無響室とよく似ています。そんな朝は自然と目が覚めます。今日は学校が休みかもしれないと心弾ませて起きるのでした。古き良き時代のひとコマです。
 今日はお昼を過ぎる頃、温かい陽ざしが輝きました。愛犬ゴンタ君も久しぶりに外で日向ぼっこでした。というよりも気持ちよくお眠りでありました。
 さてさて、注文していたWindows7が届いたので、さっそくインストールしました。1時間ほどかかりましたが、なんとか無事終了、旧型のDell mini9 (Inspiron 910)が蘇りました。今回のバージョンアップに要した費用は、DIMM 2GB SDX800-2G/ECが3180円、MLC SM2236 SSD 64GBが8800円、Windows7が15,580円、しめて27,560円でした。新聞広告でDellの商品をみると、もっとスペックの良いノートパソコンが4万円代で販売されていました。さて、どちらが良かったのかしら。でも、ハード、ソフトの両面でパソコン弄りを楽しめたという意味では、納得しています。きょうは、浅田真央さんが使用したラフマニノフのピアノ協奏曲を聴きながらのブログ更新です。
 クラシックといえば、1月から隔週配本されている「クラシック プレミアム」というCD雑誌があります。最新号は「ショパン ピアノ作品集」でした。ブーニン、アルゲリッチ、リヒテル、アシュケナージなどのピアニストが勢揃いです。このCD、比較的音質も良く、買って帰るとデジタルに変換してPCオーディオで聴いています。部屋の中にピアノ曲を充満させながら、疲れ切った頭脳を刺激する。ひょっとしたら、私にとっての音楽は、音楽療法の役割を担っているのかもしれません。
 こうして土曜の夜にブログを更新しているのには理由があります。広島に嫁いだ姪の子どもが、この春、大阪の私立大学に入学するというので、今日、明日と我が家にお泊りなのです。4月からの新生活に向けて、アパートを探すのが目的ですが、土地勘もないようなので、明日、私がお供することになりました。私は文系、彼は理系と分野は違いますが、40数年前の私の姿を彷彿とさせます。
 そこで思い出したのが2月1日の母親の命日でした。今年はうっかりして意識することなく通過してしまいました。その母は、癌のため62歳で亡くなりました。私が25歳のときでした。いまでは、母よりも長く生きていることになります。そんな私は週末、昨夏の癌検診の経過観察のため3か月ぶりに病院に行きました。特段に心配することはないでしょうと若いお医者さん。「お酒を控えたのが良かったですね」とお褒めの言葉。でも、意識して減らしたつもりはないし、休肝日もないのですが.......。
 お彼岸には京都・知恩院にお参りをすることにいたしましょう。

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バレンタインデーにカメラをいただく。

2014-02-16 09:35:11 | Weblog

 2月も半ば、立春だというのに1週間ごとに雪が舞うきょうこの頃ですが、今朝は久しぶりに陽ざしが差し込む明るい部屋の中でブログ更新です。BGMには、海上自衛隊東京音楽隊の三宅由佳莉さんが歌う「祈り~未来への歌声」を選びました。
 さて、最初の話題はバレンタインデーです。その日は次男君のお誕生日でもあります。そんな夕刻、職場でいただいた幾つかのチョコレートを鞄に入れて帰宅すると、奥様いわく「ピアノの上の包みをあけてごらん」と。さては愛妻からチョコレートの贈り物かと思いきや、登場したのは昨秋発売されたばかりのデジタルカメラ(パナソニックLUMIX GM1)でした。小型のミラーレス一眼カメラです。カメラの調子がおかしかったので、そろそろお買い時かと思っていた矢先、前から欲しい機種のひとつでした。さっそく取扱説明書を見ながら多機能カメラの操作方法のお勉強でした。
 と、ここまで綴って、今週はどうもまとめづらいことに気づきます。要するに何も考えていなかったということなんでしょう。なので、以下は、雑然と浮んでくる事柄を時系列に並べる、2月第2週目のグラフィティ、ということにいたします。


【月曜日】 新大阪駅のプラットホームの売店で朝刊を買おうとしたら、大阪名物「串カツだるまのいかフライ」がぶら下がっていました。お正月に大阪・新世界のお店に行った「串カツだるま」監修の商品らしいのです。ここまでやるか、と少し笑みがこぼれました。この日は同業他社、異業種の方々を対象にしたお勉強会。数年前に立ち上げに関与したこともあり、今回は会場を広島に移しての開催となりました。夕刻の懇親会を終えて、その日はいったん大阪に戻りました。
【火曜日】旧型ノートパソコンDell mini9 (Inspiron 910)は、タブレットが登場する直前の5年前に発売されたものですが、我が家では現在、PCオーディオ専用機としてご活躍です。しかし、WindowsXPの余命もあと僅か、少し手を加えてみることにしました。この日、ネットで頼んでいた、DIMM 2GB SDX800-2G/ECとMLC SM2236 SSD 64GBが届きました。メモリを1GBから2GBに、SSDを8GBから64GBに。これだけ増強すれば、Windows7かWindows8に移行できそうです。とりあえずPCの後蓋を開けて部品を差し替えます。そしてもう一度WindowsXPをインストールして、その日の作業は終わりました。うまく行ったので、今度はWindows7を注文しましたが、現在品切れのよう。未だ入手できていません。
【金曜日】水、木と広島勤務を終えた翌日は、ここ大阪でも雪が積もりました。我が街も10センチほど積もりましたが、出勤時には小雨に変わったためにシャーベット状態でした。それでも、淀川河畔を覗くと、うっすらと雪景色でした。
【土曜日】そして迎えた土曜日。早朝の午前3時、急に目が覚めました。ふと思ったのはソチ五輪フィギュアスケート男子の決勝戦のことでした。でも、起きてテレビ観戦する気力はありません。枕元のラジオのスイッチを入れると、NHK第一放送が実況中継をしていました。うつらうつらしながら、氷上に舞う羽生結弦君の姿を夢想します。次の瞬間、羽生君の金メダル決定のニュースで目が覚めました。お気楽なものです。でも、羽生君、よくやりました。
 それにしても、最近、若者の活躍が目立ちます。オリンピックもさることながら、理化学研究所の小保方晴子さんの快挙も記憶に新しいところです。大の大人が、最近の若者は、なんて言えないですね。頑張らねば。
 そんな土曜日の午前には、縁あって私立高校の卒業式に列席し、初々しい若者たちの旅立ちを祝いました。その高校では、クラス担任の先生がクラスの一人ひとりの名前を読み上げ、最後に代表者が校長先生から卒業証書をいただきます。私もそんな時代があったなあと思いながらその風景を眺めていると、生徒の名前を読み上げる若い男性教師が感極まって涙声に。一瞬、式場にどよめきも。そこまで生徒たちを思って指導している教師がいたことに、驚きと共に感心したものでした。自分の気持ちを率直にきちんと表現することが下手になっている現代にあって、卒業生たちには良い思い出になったんだろうと思います。
 帰途、1カ月ぶりに散髪屋に立ち寄りました。年度末を控えて難問山積のこの時期、心機一転、まさに踏ん張りどころになってきました。

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小雨のなかを能楽堂に行く

2014-02-09 09:40:48 | Weblog

 ここ大阪では、週末の夜、雪が舞いましたが、その後は冷たい雨の一日でした。その雨もあがり、きょうは静かな朝を迎えています。そして、館野泉さんのピアノ曲「夜の海辺にて~カスキ:作品集」を聴きながら、一週間を振り返ります。
 最初のお題は「転職」です。雇用環境も幾分上向いてきた今日この頃、転職の意味を考えた1週間でした。週の初めに、中途採用面接に立ち会いました。ずいぶん多くの応募があったようですが、その日の面接は10人。みんな何度か転職を経験している方でした。彼ら彼女らのお話しを聞いていて、なんとなく違いが判るのが「転職」の意味づけでした。長い人生で転職を前向きに考えている方がいる一方で、仕事人生に対する他責化が見え隠れする方も。理由はどうあれ、転職を通じて自分を高めていこうとする方のお話は聞いていても楽しいけれど、そのあたりが曖昧だと少し不安になってしまいます。
 週の後半は、同業他社に転職する女性社員の方と、広島・流川でささやかな食事会(呑み会)をしました。彼女の思いが職場のスケールを飛び越えてしまった。新しいステージに一歩踏み出そうという熱い思いに感心したものでした。その意味でたくさんの気づきをいただくこともできました。我が社にとっては惜しい人材ですが、中央で大きく羽ばたいてくれることに期待を寄せて、お別れをしました。
 そんな1週間の締め括りは、能楽鑑賞でした。小雨が舞うなか、天満橋駅を降りると、左に大阪城公園、史跡難波宮跡、右に大阪府庁、NHK大阪放送局、大阪歴史博物館を横目に20分ほど歩きます。
 大槻能楽堂に近い交差点で、ふと足が止まりました。道の向こうに「兵部大輔大村益次郎卿殉難報国之碑」の石碑。2週間ほど前に、京都高瀬川の川辺で大村益次郎卿遭難之碑にお目にかかったばかりです。なんだろう。横断歩道を渡って近づいてみました。調べてみると、明治の頃、敵も多かった大村益次郎は、京都で長州藩の襲撃を受け、辛うじて一命を取りとめます。その後、大阪に運ばれ治療を受けましたが、その甲斐なくこの世を去りました。この碑は益次郎終焉の地である大阪府立病院の一画に建てられた......。納得しました。石碑は、現在の大阪医療センターの一画に建立されています。
 その日の公演は、世阿弥生誕650年記念シリーズ「井筒」でした。作者は世阿弥、素材は伊勢物語、場所は大和国、在原寺(現・奈良県天理市)、季節は秋、とあります。
 前段で、大阪大学名誉教授の天野文雄先生のお話「世阿弥、その環境」があり、次いで天野先生と田中貴子先生の「井筒をめぐって」と題する対談がありました。徐々に観客を「井筒」の世界に導いていきます。左の橋掛りから大鼓、小鼓、笛の奏者が静かに舞台に向かいます。右側の切戸口からは地謡方が登場します。笛による登場楽が舞台に響くと堂内が静まり返り、橋掛りから旅の僧(ワキ)が登場して物語は始まりました。
 配られた資料には「井筒」についてこんな解説が綴られています。

「諸国一見を志す旅僧が奈良から初瀬へ参る途中、在原寺を訪れ、業平夫妻の跡を弔っているところへ里女(前シテ)が現れる。里女は僧に問われるままに業平と有常の娘との恋物語などを語り、自分こそが井筒の女と呼ばれた有常の娘であると言い残して、井筒の陰へと姿を消す。僧は回向し、夢で再開を期待しつつ仮寝していると、有常の娘の霊(後シテ)が業平の形見を身に着けて現れ、恋慕の舞を舞い、我が姿を井筒の水に映して業平の面影を懐かしむ。やがて夜明けとともに、その姿は消え、僧の夢も覚めるのだった。夫の装束を着、一体化した娘は、井戸をのぞき込み感極まる」。

 要するに、旅の僧と亡き夫を慕う亡霊とのやり取りです。舞台にススキを添えた古塚の作り物がひとつあるだけ、登場人物はワキとシテ、間狂言の3人のみ。不必要、無意味な言葉や動作はどこにもない、完璧ともいうべきシンプルな空間のなかで、2時間あまりの演劇が繰り広げられます。
 今回は、事前に物語の流れを一応頭に入れて来たし、セリフ(上演詞章)が配られたので、前回とは異なりシテの情念が身に迫ってくるほどの迫力がありました。有常の娘の霊が業平の形見を身に着けて舞う舞は、面や装束の美しさも加わり、まさに幽玄の世界に観客を誘うものでありました。
 帰り道、大阪城の雄姿を眺めながら、400年も600年も前の世界にタイムスリップしたような錯覚を覚えました。天満橋のジュンク堂書店で現代語訳付き「伊勢物語」(角川文庫)を買って帰りました。平成26年度の公演スケジュールもいただいたので、春になったら、また出かけることにいたしましょう。

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能楽や杉本文楽を楽しむお気軽な春

2014-02-02 00:06:04 | Weblog

 早いもので、あっという間に2月を迎えました。旧暦では、第72候(大寒・末候)「鶏始乳」(にわとりはじめてとやにつく)なのだとか。書物によれば、春の訪れを感じた鶏が卵を産み始める頃と言い、鶏は冬場には卵を産まないけれども、日照時間が長くなると産み始めるのだそうです。でも、田舎では冬場でも産んでいたような記憶がありますが、どうだったかなあ、もうずいぶん昔のことで忘れてしまいました。いずれにしても第72候をもって1年が終わり、旧正月を経て、いよいよ第1候(立春・諸侯)を迎えます。
 玄関先の水槽では、プラティ―が今年も出産時期に入りました。ヒーターで水温を管理しているので季節感はないはずなのに、毎年今頃の時期になると、それこそ沸いて出てくるようにお産まれになります。卵胎生と言って赤ちゃんの姿で産まれてきます。こんな細やかな変化に、季節の移り変わりに気づくのは楽しいものです。
 きょうの土曜休日は、久しぶりに近くに住む孫君たちがやってきて賑やかでした。お正月に会って以来ですが、もうすぐ2歳になる孫次男君、1カ月も会わないうちに、一段と成長のあとが伺えます。一方の孫長男君はずいぶんお兄ちゃんっぽくなりました。一人だけリュックを背負って泊まる準備です。今夜は、お祖父ちゃんお祖母ちゃんに甘えっぱなしでした。弟ができて自分の立ち位置を考える微妙な時期、成長するための心の準備が進行中のようです。8時過ぎにはご就寝になりました。
 さてさて、孫君が寝静まったあと、マイスキー奏でるバッハの「無伴奏チェロ組曲全集」をBGM代わりに、いつもより1日早いブログ更新に取り掛かりました。簡単に題材を整理して、まずはテキストベースで思いつくままに綴っていきます。きょうのお題は文楽と能楽に決まりです。
 週の初めに、親しくしている某社の社長さんから珍しくメールをいただきました。3月に大阪フェスティバルホールで杉本文楽「曽根崎心中」があるけど行かない?と。ちょうど、文楽協会の入場者数が大阪市が示した目標に達しなかったので補助金が減額になるという記事を見たばかりだったこともあり、家内と一緒で2枚申し込みました。
 杉本文楽の意味が解らなかったので、ネットで調べると、「2013年秋、マドリード、ローマ、パリの観客を魅了した杉本文楽 曾根崎心中が、ついに待望の東京・大阪公演を果たします」とあります。文楽協会とは無関係なんでしょうか。どうなんでしょうか。深く調べもせず、とりあえずは3月のスケジュールに追加です。
 今週の土曜日には、能「井筒」を観に大槻能楽堂にでかけます。世阿弥生誕650年記念シリーズのひとつです。家内もお誘いしましたが、眠くなるからと体よくお断りになりました。一人で気軽に行くことに。
 事前学習のため、夜な夜なネットに公開されている動画を眺めますが、古文の素養はゼロ。謡の言葉が理解できません。対訳本の現代語訳と原文の両方を眺めながら、えい!やあ!シテの姿、所作で理解することに。それでも、静かな流れのなかで所作のひとつひとつから十分に伝わってくるものがあります。
 枕元にある世阿弥著「風姿花伝」の現代語訳をぱらぱらめくっていると、650年前の記述が今にも通じる新鮮さをもって迫ってきます。もう少し熟読したうえで、いつか、風姿花伝の内容に触れてみたいと思っています。

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