心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

ラジオ深夜便との出会い

2005-01-30 16:00:34 | Weblog
 先週半ばから咳が止まらない。それでも平日は緊張感もあって何とか平静さを保っていたのですが、さすがに週末ともなると、気の緩みなのか、どっと熱が出てきてバタンキュウ~。
 人間、病いに陥ると、昼と夜が逆転してしまいます。自然と真夜中に目が覚めてしまいます。かといって本を読むほどの気力もない。ラジオのスイッチを入れる。聞くのはNHK第一の「ラジオ深夜便」です。夜11時のニュースが終わると始まるこの番組は、朝方の5時まで続きます。テレビの騒々しさと違って、アンカーの語りが静かに温かく身を包みます。インタビューコーナー、ないとエッセイ、ロマンチックコンサート、にっぽんの歌こころの歌、そして午前4時台には「こころの時代」というコーナーがあって、いろいろな方々のひととなりがインタビュー形式で紹介されます。
 リスナーの方々のお便りを聞いていると、高齢の方が圧倒的に多いのも事実です。あるいは、病床にあって独りベットの中でお聞きになっている姿も浮かんできます。元気な早起きさんは午前4時ぐらいからスイッチオンでしょうか。いずれにしても毎夜、200万人近い方がお聞きになっていらっしゃるようです。
 わたしがこの番組を初めて聞いたのは、6年ほど前、1ヶ月にわたって欧州を旅して帰国したその夜のことでした。時差ぼけとカルチャーショックで立ち直れないでいる私のこころを温かく包み込んでくれました。そのとき、日本という国を思いました。私という人間を真正面から見つめていました。それ以来、どんなに遅くなっても眠る前にスイッチを入れる癖がつきました。寝つかれない夜はなおさらです。緊張感から徐々に解きほぐされていく自分を感じながら、いつのまにか深い眠りについているのでした。
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レコードを聴く

2005-01-29 17:35:57 | Weblog
 雑誌サライ最新号の特集記事は「レコードを今こそ聴き直す」でした。わたしが通っていた中古レコード店が2年前に店を閉じてから、少し遠のいていましたが、雑誌の特集記事になるぐらいだから、まだまだ愛好家の方々がたくさんいらっしゃるんだと少し嬉しくなりました。と言っても、ときたま輸入盤を目にする程度で、国内でレコードが発売されることはまずありませんから、やはり時代の流れには逆らえません。
 でも、記事にもあるように、1枚のレコードの中に自分の歴史を感じることができるのは確かです。雑音のないCDと違い、レコードの盤の傷に想い出が詰まっています。それに、気のせいでしょうか、レコードにはCDとは違う音の深み、優しさ、演奏者の息遣いのようなものを感じます。
 土曜休日の昼下がり、久しぶりにレコードプレイヤーの蓋を開けて電源のスイッチを入れました。愛用のカートリッジをセットして、1枚のレコードを置きました。グレン・グールドが弾くパルティータ第4番ニ長調とイタリア協奏曲ヘ長調、トッカータホ短調です。グールドの息遣いが聞こえてきます。そこには、2進法の数字列ではなく、ひとつの連続した音の世界、アナログの世界があります。今となっては懐古主義なのかもしれないけれど、やはり大事にしていきたい。30数年間も付き合っているプレイヤーに、そんなことをおしゃべりしていました。
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洋ランはプリマドンナ

2005-01-23 00:07:09 | Weblog
 きょう仕事帰り、京阪百貨店で開かれていた洋ラン展に立ち寄りました。昨年まで大阪天満の松坂屋で開催されていたのですが、店を閉じてしまいましたので、同じ京阪沿線の京阪百貨店が引き継いだようです。題して「第1回関西らんフェスタ」。出展業者は14店にのぼり、まずまずのスタートのようでした。
 展示コーナーでは、素敵な洋ランに出会って何度か足を止めてうっとり。小柄な身体なのに大きく花弁を広げ、見る者に何かを語りかけてくるような、そんなカトレアの姿が私は大好きです。プリマドンナを思わせます。即売コーナーでカトレア1株とデンドロ系1株を買い求めました。
 その洋ランを愛でながら、今夜は美味しくウイスキーをいただきました。マリア・カラスが歌う、プッチーニの歌劇ジャンニ・スキッキから「わたしのお父さん」がたいへんよく似合うカトレアでした。♪♪♪
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ジークフリート伝説

2005-01-16 00:27:29 | Weblog
 今週も慌しく日が過ぎていきました。やっと週末と思いきや、なんと明日は休日出勤。この時期、仕方ないかぁ(^_^;)
それでも僅かな隙間を見つけては、自分の時間を楽しんでいます。今週は読書でした。「ジークフリート伝説」(石川栄作著:講談社学術文庫)を、帰宅途上の電車のなかで、あるいは眠りにつくほんの少しの時間に楽しみました。これが明日への糧になります。と、自分に言い聞かせながら....。
 ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」は、レコードで何度か聴いています。でも、その文化的・精神的な背景がぼんやりしているために、何か釈然としないものを感じていました。それを、この本は古代ゲルマンの中世英雄伝説から解き明かしてくれました。特に、ジークフリートの竜退治のお話は、なんだか出雲神話のヤマタノオロチ伝説を思わせ、ついつい少年のような好奇心をもって読んでしまいました。男と女、剣、竜(大蛇)...人の思うことって、どこもそんなに違うものではないと妙に納得したものです。来週の週末には、『指環』のDVDを探しに出かけます。
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交響幻想曲”淀川”

2005-01-09 10:42:17 | Weblog
 昨年の秋、30年ぶりに演奏された「交響幻想曲”淀川”」のCDが送られてきました。音楽祭当日、500円を添えて申し込んでいたものでした。作曲したのは、大阪市立大学教授(国際的な数学者)であり現代音楽の作曲家としても知られた故松下眞一氏です。1974年、淀川改修100年記念祭に朝比奈隆さんの指揮で京都市交響楽団が初演して以来、一度も演奏される機会がなかったのだそうです。
第一楽章は、淀川の源流である琵琶湖の注ぐ安曇川・妹川・野洲川の、第二楽章は淀川のもうひとつの源流、加茂川と桂川の、そして第三楽章は木津川と合流し山崎、八幡、枚方、そして大阪平野へと流れる「風景」が音楽の中に再現されています。フィナーレの第4楽章では、「われらの母なる淀川」「今日も夕日に映える美し淀川」と高らか謳いあげられます。なんとも素晴らしい曲です。聞けば、このCD、近く市販される動きもあるそうですが、最近少し元気のない大阪に活力を与えてくれるかもしれません。
 気分を良くして先日、建築家の安藤忠雄さんらが進める「大阪市のビジネス街の川沿いに市民の寄付で千本の桜を植える植樹募金」に一口(1万円)寄付しました。30口で一本の桜の木が植樹されるのだそうです。
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西本智実指揮の「ボレロ」DVD

2005-01-04 11:33:41 | Weblog
 月刊音楽誌「The MOSTLY CLASSIC」 (産経新聞社発行)の2月号付録DVDで、大阪生まれの女性指揮者である西本智実さんの演奏ぶりを初めて拝見しました。その素晴らしい感性に惹かれました。そんなわけで、この休暇は、西本さんの指揮でショスタコーヴィッチの交響曲第5番ニ短調作品47「革命」を聴いて年を越しました。
 その感動が捨てきれず、昨日久しぶりに繁華街に出かけた際、DVD作品「ボレロ」を買い求めました。ロシア・ボリショイ交響楽団"ミレニウム”を指揮して、ラヴェルのボレロ、ストラビンスキーのバレエ音楽「火の鳥」、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」が収録されています。たいへん素晴らしい演奏でした。
 西本さんは、大阪音楽大学を経て、ロシアのサンクトペテルベルグ音楽院で学んだ後、ミレニウムの主席指揮者に就任したのだそうです。まだお若いのに、指揮台に立つ姿はとても凛々しく見えました。これからいろいろ経験を積んでいけば、将来は凄い指揮者になるんだろうなぁと、なんだか楽しみになってきました。
 ところで、DVDプレイヤーの音声端子をステレオアンプに繋ぎ、大画面で聴けばコンサート会場と遜色ありません。お高いチケットに比べれば格安で、それも自宅に居ながらコンサート感覚で音楽を楽しむことができます。特にオペラの場合は、レコードやCDでは、対訳の歌詞を追うのに精一杯で歌劇を楽しむ余裕がなかったのですが、DVD(字幕付)のおかげで、作品の全体像を楽しむことができるようになりました。音楽の楽しみ方もずいぶん多様化してきました。
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新年に思う

2005-01-02 12:07:16 | Weblog
 元旦に、近くの神社に初詣にでかけました。例年以上の人出で、神殿前に辿りつくのに1時間もかかってしまいました。1日を境にして、何かが新しくなり何かが古くなってしまうというのも面白い話ですが、心機一転、大いなる希望をもつのは良いことでしょう。
 わたしの今年の運勢は「吉」と出ました。久暗漸分明(久しい暗も晴れて、ようやく明らかになり開運の兆しあり)、登江緑水澄(えの畔へ至れば水清く澄みわたりたり これは、人の身の上において、心配事なく心澄みわたったさまを云うなり)...。嬉しい御神籤でした。
それにしても2005年という年は、何かしら「分岐点」のような気がしてなりません。一歩間違えばとんでもない方向に行ってしまうような、しかし、ここで踏ん張れば何かしら新しい方向性が見えてきそうな、そんな気がいたします。国家の在り様然り。社会経済の在り様然り。精神文化の在り様然り。もちろん、私達一人ひとりのものの考え方然り。虚構の上に虚構を塗り固めていくのではなく、目の前の出来事を素直に見つめることができること、美しい花を美しいと素直に受け止め表現できること、そんな自分でありたいと思います。
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