悲喜こもごもの1週間も、週末を迎えると、私の中で意識的にギアチェンジを図ろうとする気持ちが高まってきます。きのうも、少し早い目に職場をあとにすると、久しぶりに都会の雑踏の中に身をおきました。(職場は隔週土休なのですが、休めないですね。その分、少しでも仕事の目処が立てば、いつの間にか姿を晦ます。そんな土曜日を楽しんでいます)
昨夜は、手元に届いた雑誌「音楽現代」(芸術現代社)6月号を眺めました。今月の特集は「マーラー再考~人間・作品・演奏の魅力」です。グスタフ・マーラーが生きた時代は1860年から1911年。日本で言えば明治時代にあたります。年表を紐解けば、アメリカにリンカーン大統領が生まれた時代、ベルが電話機を、エジソンが蓄音機を発明した時代であって、映画が誕生し、飛行機や自動車が発明され、近代オリンピックが始まった時代。日本でちょん髷が消えていくのに似て、欧米諸国にあっても時代が大きく転換朝を迎える、そんな時代に生きた音楽家の一人です。希望に満ちた時代であると同時に、新しい時代に不安を隠しきれない、そんな悩ましい時代でもありました。そんな時代を生きたマーラーに惹かれるのは、時代の転換期という、言えば当時と同様な時代環境を今に生きる私たちにとって、何かを得たい、学びたいと思うからです。マーラーのほかにも、シュトラウス、ドビッシー、プッチーニ、ラヴェル、スクリャービン、少し下るとシェーンベルク、ストラヴィンスキーらの時代になります。
こんな非日常の世界を子供っぽい好奇心をもって楽しむ。これも、週末の楽しさです。ところで、この雑誌には興味深い連載記事もあります。そのひとつが大野一道氏の「音を観る」です。今号は「一即一切 緑の地球を取り戻すために」というタイトルがついていますが、なんと白洲次郎氏の名前が登場します。そう、白洲正子さんのご主人です。実は昨日、白洲正子さんの「名人は危うきに遊ぶ」という本を手にしたばかりだったので、「妙なところでお会いしましたね」と、ついつい思ってしまいました。次郎氏の国際人としての活躍は良く知られていて、最近、新しい本も出版されていますが、わたしは未だ読んだことはありません。
さぁ、今週は、待ちに待ったチャイコフスキーの未完成交響曲「ジーズニ」日本初演コンサートです。西本智実さんの指揮です。昨年は、仕事の関係で泣く泣く職場の若い方にチケットをプレゼントしましたが、今回は終業と同時に職場を飛び出すことにいたしましょう。ことし前半の、自分自身に対するプレゼントです。下の息子の就職先も決まったから、子育てを終えた家内に対するプレゼントなのかもしれません。