心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

北風が木の葉を吹き払う「朔風払葉」の季節

2020-11-27 14:15:15 | Weblog

 第59候 小雪 次候 「朔風払葉」(さくふうはをはらう)。北風が木の葉を吹き払う意味だそうです。漢字四文字に晩秋の風景を託す。四季の移り変わりに敏感な、いにしえの日本人の感性を思います。
 ぼんやりとあたりを見渡すと、窓辺に北海道から持って帰ったプラタナスの紅葉した葉っぱが目にとまります。でも、いつの間にか色褪せています。......庭に出ると、石垣の上の壁面に蔓を延ばした蔦が秋の暮れを告げています。
 先週の土曜日、京都・東寺の弘法市を覗いてきました。コロナのため長い間中断されていましたが久しぶりの開催でした。でも、このところの第三波到来で、毎月1回の開催もこの先が危ぶまれます。
 週の半ばには、講座運営の一環で、午前中に聖徳太子の講義を聴いた後、午後には四天王寺さんに出かけ、ボランティアガイドさんにご案内をいただきました。2週連続の校外学習に、ややお疲れ気味の私ですが、受講生の皆さんは満足げでした。(下の写真は四天王寺境内から古代の寺院建築物と日本一高いビル建築物あべのハルカスを望む。戦後建て替えられているとはいえ、妙な違和感が何とも言えません。)
 昨日は、会議のあと日本橋に立ち寄り、来月の講座で使う各種光源(電球)を調達しました。その帰り、中古レコード店DISC J.J.さんに寄り道して、ジャック・ルヴィエのCD「ドビュッシー・ピアノ作品全集№4」を連れて帰りました。
 ここ最近、時間を持て余したとき、Amazon kindle(電子書籍)で村上春樹のエッセー集「村上ラヂオ」を読んでいるのですが、その1冊目に「版画」というテーマがあります。村上さんはドビュッシーのピアノ曲「版画」を取り上げています。「塔」「雨の庭」「グラナダの夜」の3部構成で、12,3分の小品です。高校生の頃、リヒテルのレコードをよくお聞きになったことなどがさらりと綴られています。
 あまり真剣に聴いたことがないのでレコード棚を探したら、ウェルナー・ハースのレコードの中に「雨の庭」が収録されていました。ということで、全曲収録のCDを買い求めたというわけです。
 「村上ラヂオ」というエッセー集、現在、3冊発行されています。元はといえば雑誌「anan」に連載されていたものなのだそうです。身構えることなく気楽に読めるので、眠る前に読んだり、電車の中でスマホで読んだり、読み方は自由(笑)。言葉の端々に村上さんのお人柄が見え隠れして、同世代の私としてはなんだか若返った気持ちになります。こういう肩肘張らずに日々を暮らすのもまんざら捨てたものではありません。
 それにしてもこのところのコロナ感染拡大、気になります。感染拡大防止と経済という相容れない事柄を同時に進めることに無理があります。高度経済成長の旨味を知った方々は、その「成功体験」から逃れられないのでしょうね。
 既にリタイアした者の気楽さもありますが、ここで一度立ち止まって人の世の在り様を考え直してみるのも決して無駄ではないような気もしますが、どうなんでしょう。いま、人類にはパラダイムシフトが求められているように思います。と、勝手なことを申しております。
 さてさて、日曜日には久しぶりに山本能楽堂にお能を見に行ってきます。そしてその週の後半には「歩き遍路」に出発します。今回のコースは、歩き遍路としては最後の「遍路ころがし」と言われ、難易度は3段階の真ん中。あと少しです。源平合戦の古戦場を一望できる屋島寺から晩秋の壇之浦を眺めるのが楽しみです。

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紅葉の風景にほっとひと息 ~ 亀岡、醍醐寺、大阪城

2020-11-20 14:12:57 | 旅行

 週の半ばに定例的な用事が集中している反面、週末から週明けにかけては比較的のんびり過ごしています。その間にシニア夫婦はお互いに好き勝手なことをして過ごすのですが、先週の金曜日になって家内が急に言い出しました。「京都・亀岡に行ってみない?」「京都丹波KAMEOKA夢ナリエを見に行こう」と。でも、お宿はどこも満員です。ほぼ諦めかけたとき大手の旅行サイトには登場しない個性的なお宿に一部屋だけ空いているのを突き止めました。
 亀岡は京都駅から快速電車で30分足らずのところにあります。学生の頃には、何度か、この山陰本線(嵯峨野線)を走る夜行列車に乗って帰省した記憶があります。明け方近くに山陰海岸べりを物悲しい汽笛を鳴らしながらひた走る風景が遠い遠い記憶の彼方にあります。
 亀岡の駅に降り立ったのは今回が初めてでした。以前、亀岡に京都スタジアム(SANGA STADIUM by KYOCERA)が完成したという新聞記事を見たとき、「なんで亀岡に」という素朴な疑問をもったことがありますが、実際に来てみて京都の通勤圏内であることが分かりました。この日も京都府高校サッカーの試合が開かれていて、地元テレビ局が中継をしていました。
 まずは駅の観光案内所で話を伺いました。なんと「京都丹波KAMEOKA夢ナリエ」は一週間後の11月21日から開催されるのだとか。愕然。次に紹介されたのが京都スタジアムの一画で開催中の「麒麟がくる 京都亀岡大河ドラマ館」でした。さっそく覗いてみました。地元の実行委員会が主催する催しでしたが、ずいぶん力の入った内容で、団体客を含めて大勢の観光客がお越しになっていました。
 昼食のあと、亀岡市文化資料館、明智光秀が本能寺の変の際この地から出陣したとされる丹波亀山城跡の界隈をぶらり散策しました。そしていよいよ、武将の傷をも癒したといわれる京の奥座敷「湯の花温泉」に向かいました。部屋数30足らずの小さなお宿ですが、山肌に静かに佇むほど良いお宿でのんびり過ごしました。泉質は単純弱放射線、じんわりと身体の芯まで温まる心地よさです。夜はもちろん地酒、そして丹波ならではの黒豆焼酎をいただき、ゆったりまったりの一夜となりました。
 これでとんぼ返りする二人ではありません。翌朝、朝食を食べながら次の行き先を考えます。京都駅まで戻ると、今度はバスに乗って醍醐寺に向かいました。このお寺、実は2回目になります。前回は半世紀も前のこと。大学に入学した4月の初め、当時京都にいた父親が田舎から出てきたばかりの私を桜が満開の醍醐寺に連れて行ってくれたのでした。当時の父の年齢は68歳、現在の私とほぼ同年代になりますが、相応のポジションにいて忙しかっただろうに、9人兄弟のうち一番最後に生まれた息子を醍醐寺に連れていったのでした。そのときの父の気持ちは知る由もありません。この日、醍醐寺で撮影した紅葉風景が、翌日の水彩画教室の画材になったのは言うまでもありません。
 こうして京都の紅葉を楽しんできたのですが、今週は講座の一環で大阪城公園をボランティアガイドさんのご案内で見て回ることにもなりました。大阪人でさえ意外と知らない大阪城の歴史を体感しながら紅葉を愛でた一日でしたが、11月にしては珍しく暑い一日でした。
 さてさて、きょうも他愛ないことをだらだら綴っていますが、今年も残すところ1カ月半。次男君のところの孫娘も先日、めでたく1歳の誕生日を迎えました。お誕生日の夜には、オンラインで元気な姿とご対面でした。
 その孫娘、この夏にはお嫁さんの実家にもお披露目したいところでしたが、コロナのためにやむなく断念。ならば年末にと思っていたのですが、このところの感染拡大です。なかなか思うようにはいきません。

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徳島県那賀郡那賀町からの贈り物

2020-11-13 13:32:21 | Weblog

 居間の壁に掛けているネジ巻き時計は、結婚のお祝いに職場の方々からいただいたものです。以後44年間、休むことなく何事もなかったように時を刻んでいます。その傍らにルノアールの複製画「アンリオ夫人」が飾ってあります。結婚35周年の秋に京都市美術館で開かれた「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」で、夫婦そろって一目惚れした作品でした。40周年を迎えた秋には、ドイツ・オーストリア2カ国周遊の旅にでかけました。フランクフルト、ケルン、ハイデルベルク、ミュンヘン、ザルツブルグ、ウィーンを巡りました。リタイアした直後のことでした。
 
今夏、私は古希を迎えました。時の経つのは本当にあっという間の出来事のようでもあります。残された人生を大事に生きていきたいと思っています。 先日、家に帰ると私宛にレターパックが届いていました。送り主は徳島県那賀郡那賀町とあります。..........思い出しました。無料で学べるオンライン講座「gacco」の「なかなかいいいなか きてみんで徳島県那賀町」講座で成績優秀者(笑)に送られる修了証でした。なんと地元特産の杉の板に印字されています。既に紙の修了証はネットでいただいていましたが、こんな素敵な修了証がいただけるなんて感激です。
 ほかに、地元のブランド杉「木頭朱杉」でつくった五稜箸、記名入りです。ヒノキで作ったオリジナルコースターまで入っていました。部屋に木の香りが漂います。那賀町の特別な
計らいです。
 この講座は、徳島県那賀町の「自然」「伝統文化」「仕事」「アクティビティ」「食」について学ぶもので、5月中旬から7月にかけてネットでお勉強をしました。毎回、簡単な小テストがあり、得点率60%以上が修了条件です。コロナ第一波の自粛生活のなかで、ほっとする時間を私に与えていただきました。
 徳島県那賀町は、第21番札所・太龍寺から22番札所・平等寺に向かうとき、その近くを歩いたことがありました。農村舞台の人形浄瑠璃が盛んなこの地域、23番札所・薬王寺に向かう途中では、日和佐木偶人形館のお婆さんに「おうどんがあるから食べていきなさい」とお接待をしていただいたことがありました。
 オンライン講座「gacco」で、私はこれまでに6講座の修了証をいただきました。来月からは「京都からおくる日本史研究の最前線」を受講する予定です。

 そんなことを考えていたら、急に「歩き遍路」に出かけたくなりました。次回は78番札所・郷照寺からスタートですが、コロナで休業中だった国分寺界隈のお宿に電話を入れると、営業は再開したけれども主人が数日前に骨折して現在お泊りいただけないのだと。この界隈はお宿が少ないので、ネットで探してやっと予約完了。ということで、12月4日から6日までの2泊3日で、85番札所・八栗寺まで巡ることにしました。2軒目の宿も確保、帰りの高速バスチケットも予約完了です。晩秋の四国を堪能してきます。
 今週はもうひとつお楽しみができました。この11月10日に84歳をお迎えになった舘野泉さんの演奏生活60周年ピアノ・リサイタル「悦楽の園」のチケットを手に入れました。先日、先行予約(抽選)に申し込んでいたところ、昨日になって当選のお知らせがありました。来年2月23日、ザ・フェニックスホールです。初めて伺うホールです。

 舘野さんのレコードとCDはずいぶん聴いてきました。いつもはフィンランドにお住まいですが、コロナの関係でこの一年出国できず日本にいらっしゃるようです。
 こうして、所々にマイルストーン(里程標)を置きながら老後の生活にメリハリをつける。まだまだ現役時代の癖を引きずって暮らしています(笑)。きょうは舘野泉さんのCD「村の教会(シベリウスピアノ名曲集)」を聴きながらのブログ更新でした。

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秋の北海道旅行 ~ 昼の「青い池」、夜の「青い池」

2020-11-06 20:41:57 | 旅行

 あす7日は「立冬」。第五十五候 立冬 初候「山茶始開」。山茶花(さざんか)が咲き始めるの意だとか。山茶花といえば2年前、22番札所・平等寺のお参りを終えて泊まった民宿の名前が「山茶花」でした。お寺の手水場の水が凍っているほど寒い1月末のことでした.....。

 先週末から4泊5日で北海道に行ってきました。寒くはありませんでしたが、帰阪した翌日には札幌市内にも初雪が舞ったとか。うまくすり抜けた感があります。今回は結婚44周年記念という冠が付いていますが、決めたのは出発の1週間前。格安JALパックを利用しての行き当たりばったりの旅行でした。
 初日こそ定山渓温泉に宿をとりましたが、あとは札幌市内の時計台近くのホテルに3連泊しての即席観光旅行です。それでも、広々とした大地、どこまでも広がる地平線に心が癒されます。目を細めれば、何やらヨーロッパのどこかを走っているような、そんな錯覚さえ覚えます。

 初日、新千歳空港に到着すると、電車に乗って札幌駅に向かい、まずは日帰りバスツアーを物色です。1日目は支笏洞爺国立公園方面。2日目は旭川方面に向かい美瑛の「青い池」を昼間と夜のライトアップ2度訪ねるツアーに参加することにしました。予約を済ませると、その足で定山渓に向かいました。
 支笏洞爺国立公園へのバスツアーは、時々晴れ間が覗くもののあいにくの小雨模様。どんよりとした雨雲が大地を覆います。これも北海道の風景です。残念ながら遠くに聳える羊蹄山の全貌を眺めることはできませんでしたが、有珠山の山頂からは洞爺湖や内浦湾を望むことができました。もちろん70数年前に誕生した昭和新山ともご対面でした。
 2日目の美瑛の「青い池」には数年前に一度訪ねたことがありました。あまりにも印象が強かったので、もう一度見てみたいということで意見が一致しました。まずは北上して旭川に向かいます。バスツアーですから、目的地に行くまでにはスイーツのお店や酒蔵巡り、美瑛の丘などの観光地を巡っていくことになります。車窓に北海道の風景が流れていきます。
 午後3時半現地に到着。まずは昼間の「青い池」をカメラに収めます。その後近くにある白金・白ひげの滝に向かい再度戻ると、ちょうど日が暮れて夕闇迫る「青い池」に景色が変わっていました。徐々にライトアップされていく幻想的な風景が広がります。やはり心に残る風景でした。
 この日、札幌に戻ったのが午後8時頃。遅めの夕食をと街を歩いていると、なんと時計台のところに人だかりが...。ちょうど、音楽に合わせて時計台をムービングライトで照らす「札幌時計台ルミナリエ」が始まったところでした。昼間の姿とはひと味違う夜の時計台を楽しむことができました。「青い池」と同じく二度楽しめたことになります。贅沢な旅となりました。
 ツアーの合間を縫って札幌市内をぶらりお散歩も楽しみました。北海道庁旧本庁舎、札幌市時計台、北海道大学。サッポロファクトリーでは美味しいビールを堪能しました。さすがにススキノはコロナ感染が広がりをみせていましたので遠慮しましたが、駆け足ながらゆったりまったりの北海道旅行でした。
 今回はGoToトラベルでお安く行けたのですが、ほかに地域クーポン券なるものの恩恵も受けました。なにやら国からお小遣いをいただいて旅行を楽しませていただいた気分ですが、さあてどうなんでしょうね。そこまでしなくてもと思ってしまいました。でも、こうして徐々に観光客が戻ってくるということは一定の効果はあったのかもしれません。反面、コロナ感染が広がる。悩ましいところです。「With コロナ」と言う言葉がありますが、みんな手探りで右往左往しながら安定化に向かっていくことになるのでしょうか。

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