心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

村上春樹の「ドライブ・マイ・カー」を読む

2022-02-25 11:20:06 | Weblog

 快晴の清々しい朝を迎えました。「草木萌動」(そうもくほうどうす)の季節を迎えます。草木が芽吹き始めるの意ですが、庭のライラックの木を見上げると花芽がふっくらと膨らんできたように思います。大地のすべてが「春」に向かって動き出そうとしています。
 ぼんやりとこの1週間を振り返ってみますと、まずは3回目のワクチン接種です。3回ともモデルナを打ちました。これまでの半分の量とのことでしたので楽観していましたが、1日遅れで悪寒が走り、微熱がでたものの10時間も眠ったら翌朝にはすっきりしました(笑)。これで当分大丈夫だろうと高を括っています。

 二つ目の出来事。それは注文していた新しいノートパソコンFMV LIFEBOOKが届いたこと。夜な夜な設定作業をしましたが、なんなく完了。スムーズな立ち上がりに満足しています。
 これがおそらく私にとっては最後のパソコンになるんでしょう。何十年も前にIBMデスクトップ、富士通デスクトップ、Gatewayデスクトップ、PanasonicノートパソコンLet's note(2台)を経ての最終機種になりました。
 初めてネットに接続してNiftyの電子会議室を恐る恐る覗いたことがありますが、今ではネット上に氾濫する様々な情報(その良し悪しは別にして)を瞬時に手に入れることができます。NHKオンラインでFM(リサイタル・パッシオ)の聞き逃し番組を聞きながらブログを更新する、そんな時代です。たかが25年ほどの間の進化です。これからどうなるんでしょうねえ。

 今週のもうひとつの時間、それは読書でした。米アカデミー賞4部門にノミネートされた濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』の原作、村上春樹の「ドライブ・マイ・カー」をジュンク堂書店で探していたら文庫「女のいない男たち」の中に収録されていました。50ページほどの短編ですので、さあっと目を通しました。
 主人公(俳優)・家福と愛車のサーブ900コンバーティブル、そして先立たれた最愛の妻、車修理工場の大場、彼の紹介で雇った(一風変わった)運転手・渡利みさき、生前の妻と何度か不倫関係にあった高槻(家福の知人でもある)。これが小説の登場人物です。
 みさきが問う「家福さんはどうして俳優になったんですか」。すると家福は「演技をしていると、自分以外のものになることができる。そしてそれが終わると、また自分自身に戻れる。それが嬉しかった」と答える。これに対してみさきは「元に戻りたくないと思ったことってないですか」と。
 このふたつの立ち位置を行ったり来たりする家福。そうなんだと妙に納得したり。いやいやどうなんでしょう。こうした村上春樹独特の内省的な物語に余韻が残ります。もう少し心の中で温めてみたいと思います。些細なことながら何かに追われるような生活をしている昨今、久しぶりに小説を読んで心に余裕ができたような気がしています。 

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パソコンと戯れる70代のお爺さん

2022-02-18 09:09:19 | Weblog

 土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)。春の雨が大地を潤し始めるの意。う~ん、なんとなくわかるような気がします。まだまだ寒くても春の雨になんとなく生き返ったような風情。庭の片隅で香しいスイセンの花が咲き、昨秋に植えたフリージアも15センチほどに育ち、春を待っています。
 さてさて、きょうは午後3回目のワクチン接種です。2回目のときに微熱と倦怠感に襲われたので少し心配していますが、これでオミクロンの感染が防げるなら我慢、我慢。 
 今週はドタバタの1週間でした。週明けから、水彩画教室もお休みしてNPOの事務所でお仕事でした。4月から始まる講座の受講申込の受付です。WEB申込やらFAX申込やらが混在するなかで、データ処理をいかに正確に進めることができるかということになりますが、応募者が殺到したにも関わらず比較的スムーズに処理できたように思います。
 システム畑を歩いてきたわけでもなく、現役時代はむしろシステム部門に偉そうな課題ばかり言ってきた私も、いざ自分でExcel関数を使った受付簿を用意したり、Wordの差込印刷方法を身につけたり.....。
 そんな話を東京の甥(ITベンチャー企業の社長さん)にしたら、「30代の若い衆のような仕事をしている」とお褒めの言葉。でもねえ。基本的な知見を持ち合わせることなく見様見真似ですから、どこかで躓くとすべてが躓く。何とも恐ろしいことをしているとも言えます。

 そんな甥に先日、数あるノートパソコンの機種の中からお薦めの機種を尋ねました。現役時代に購入した現在のLet's noteは、使い出して10年近く経ちます。その間にWindows8からWindows10にバージョンアップしたり、いろんなソフトをインストールしているうちに、なんとなく重くなってきました。複雑なことをしているわけでもありませんが、ノートパソコンの寿命って一体何年なんでしょう。
 そんなわけでネットでいろいろ調べてみたら、あるはあるは....。複雑な操作やゲームをやるわけでもないので、そんなに高価なものでなくてもよいし、健康寿命を考えると耐久性もことさら追及する必要もなし。
 こんなときは、東京の甥に相談するのが手っ取り早い。パソコンの使途を示し20万円以下という条件設定で相談しました(笑)。すると、とあるメーカーの直販サイトの見方を説明してくれました。お手頃な機種を何点か提案してくれて、あとはカスタマイズで必要なものだけを追加していく。そんなやり方でした。
 いつもはパソコンショップに出かけて店員さん相手にいろいろ話を聞きながら決めていくのですが、とは言ってもお話しいただいている事の半分も理解できない。今回は、カスタマイズといってもその判断については私の意向に沿って甥が説明してくれるので、助かりました。
 私たちはパソコンに装備されている機能の半分も使っていませんから、贅肉を落としたお気軽PCをめざしました。その結果、お値段は15万円にまで圧縮できました。Windows11でメモリーは8GB、ストレージは512GB(SSD)、Office Home and Business 2021付。これが私にとって最後のノートパソコンになりそうです(笑)。

 厚生労働省が昨年末に発表した健康寿命(2019年時点)は、男性72.68歳(平均寿命81.41歳)、女性75.38歳(平均寿命87.45歳)。健康寿命延伸プランとして①生活習慣の形成②疾病予防・重症化予防③介護予防ーーを挙げています。
 何事にも好奇心をもって生きる。家に閉じ籠るだけでなく、シニア向け講座にも積極的に参加する。これが私の健康寿命を延ばす取り組みになるんでしょう。きっと。
 このブログ「心の風景」も、その一環かもしれません。今朝は、内田光子のCD「シューベルト:ピアノ・ソナタ第7番/三つの小品(即興曲)」を聴きながらの更新となりました。
 それではこれからワクチン接種に出かけてきます。

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村上春樹「遠い太鼓」を読んで思い出したシチリア旅行

2022-02-11 11:00:19 | Weblog

 ここ大阪は快晴の朝を迎えました。まだ寒いけれども、なんとなく肌に優しさを感じるのは、やはり春がもうそこまでやってきているからでしょうか。忘れないうちに庭の草木に寒肥を施しましょう。害虫が動き出す前に薬剤散布も.....。
 今週の水彩画教室は人物画でした。モデルさんはバレリーナ。20分ごとに10分の休憩をはさんで描いていくのですが、全身のバランスがうまく描けません.....。というわけで今回はアップするのを諦めました(笑)。
 その帰り道、淀屋橋界隈で撮った日本銀行前の写真です。近くの道には大阪中之島美術館 開館記念「Hello! Super Collection 超コレクション展 ―99のものがたり―」のタペストリーが並んでいました。構想が発表されて約40年。やっとオープンした大阪中之島美術館です。いずれに覗いてみようかと。

 話しは変わりますが、村上春樹の短編を映画化した濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』が、米アカデミー賞4部門にノミネートされたのだとか。めでたい。めでたい。そこで思い出したのが、Amazonkindleで読みかけにしたままだった「遠い太鼓」でした。「ノルウェイの森」や「ダンス・ダンス・ダンス」を書いていた頃の、ギリシャ、イタリアで暮した旅行記です。
 再び読み始めた章が「シシリーからローマに」でした。航空会社の機内誌にシチリアの記事を書くのがお仕事で、あとはご自分の小説を書くということでパレルモに1カ月ほど滞在したときのことが書かれています。でも、「とにかく街が汚い。すべてがうらぶれていて、色褪せて、薄汚れている」という書き出しに、びっくり。
 私がシチリアを尋ねたのは4年前のことです。午後8時ナポリ湾からフェリーに乗って翌朝7時頃にパレルモに到着しました。大聖堂を見学したあと街を自由散策、そしてアグリジェントへ。翌日はカルタジローネを経てタオルミーナ。シラクーサなどを見て回った後メッシーナからイタリア本土へ。そんなルートだったように思います。
 私の場合、若干埃っぽいなかにもイタリアらしい風情に違和感は全くなかったのですが、それは観光客だったからなんでしょう。ヨーロッパの歴史を感じる旅だったように思います。塩野七生さんの歴史小説「ローマ人の物語」の舞台でもあったし、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の映画「ニュー・シネマ・パラダイス」の舞台でもある、思い入れのあるシチリアでした。なによりも、タオルミーナのホテルの窓から眺めたエトナ火山の姿が印象に残っています。

 そんなことを思い浮かべながら過ごした1週間でしたが、今週のもうひとつの場面は、認知症と睡眠をテーマにした講座です。高齢社会を迎え知らないうちにお友達になりそうな認知症のこと、そしてその予防法、つまり食事や運動、社会参加、生活習慣にわたる留意点を詳しくお話しをいただき、妙に納得することに。なかでも地中海料理、オリーブオイルがお薦めだとか。シチリアでは至る所で美味しいワインとオリーブオイルをいただきました。根が単純な私は、さっそく朝食のパンにオリーブオイルをつけていただいております(笑)。

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不安定だったWi-Fi環境を改善

2022-02-04 14:53:17 | Weblog

 「立春」を迎えたこの時季、七十二候では「東風解凍」(とうふうこおりをとく)といい、春の風が厚い氷を解かし始めるの意。昔人の春への微かな気持ちが伝わってきます。そういえば庭の垣根を這うアケビの蔓に固い新芽が少し顔を覗かせてきました。
 そんな春の訪れを前に、昨日は「節分」の日でした。「季節を分ける」つまり季節が移り変わる節日を指しますが、なんとなく心躍ります。老夫婦70歳を過ぎた我が家では、意味もわからないままに北北西を向いて恵方巻を食べ、イワシを食べ、...。鬼は外、福は内なんて言いませんが、テーブルの上に自分の数え年だけ豆を数えて、いただきました。
 さて、週末を迎えましたが今週もあっという間に過ぎていきました。今週の水彩画教室は人物画がテーマでした。プロのモデルさんを描くのは来週になりますが、その前準備ということで教室のスタッフの方にモデルになっていただいて、ワンポーズ10分でデッサンを描き、みんなの作品を並べて合評しあい、またデッサン。それを6回(6枚)繰り返します。でもねえ、デッサンの基礎的なお勉強なんてしていないので、人物を描くのは本当に難しいです。自信がないので、ついつい4B鉛筆でも遠慮気味になってしまいました(笑)。
 先日来お伝えしてきた100分de名著「金子みすゞ詩集」も今週が最終回でした。作家で翻訳家の松本侑子さんのお話についつい聴き入ってしまうほど、久しぶりに楽しんだテレビ番組でした。
 そのテキストに大正時代に花開いた雑誌文化のことが紹介されていましたが、同じ頃に総合雑誌の文藝春秋や中央公論も産声を上げました。テレビやネットの普及で、近年の発行部数は昔ほど多くはありませんが、一定の読者がいます。
 私も以前は中央公論や世界などにも時々目を通していましたが、最近は雑誌を読みません。というか、紙の雑誌は読まなくなりました。もっぱらAmazon kindleで電子雑誌を眺めています。
 そのAmazon kindleに、電子書籍読み放題サービスKindle Unlimitedがあります。Amazon会員であれば月額980円(税込)で200万冊以上が読み放題だと言われています。
 先日何気なくKindle Unlimitedの対象となる本を探していたら、総合雑誌「中央公論」も読み放題になっていることが分かりました。もちろん1カ月遅れになりますが、この歳になると特に急ぐ必要もないので気にしません。電車の中でスマホやタブレットで眺めています。オフラインでも読めるので通信費を気にしなくてもよいので安心です。
 こうして様々な情報をネットで簡単に手に入れる時代になりました。ところがです。ここ1カ月、我が家のWi-Fi環境が不安定になって繋がったり切れたり。原因が分りません。私の部屋が2階にあるため距離的な問題もないではありませんが、マニュアルに従ってコンセントを繋ぎ直すと元通りになる。でも落ち着きません。
 ということで、何度か電話してやっと繋がったSoftbankサポートセンターに相談したところ、いろいろ親切に対応いただきターミナルを新しいものと交換していただくことになりました。数日後に送られてきたターミナルを繋いでみると元通り安定したWi-Fi環境が復旧しました(これまで使っていたターミナルは着払いで返品)。
 周波数帯を2.2Hzから2.4Hzに変更することで改善できたようです。ほっとひと息でした。歳をとると、以前はなんとなく理解できていたネット設定方法が危うくなります。一方でネットの利用は増すばかり。余命短い老人(?)は恐る恐るお付き合いをしていくしかなさそうです。

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