きょうは小雨が降るあいにくの空模様でしたが、傘をさして朝のお散歩に行ってきました。小学生の集団登校の列に遭遇したり、ミモザやクリスマスローズが花咲く庭先を眺めたり。我が家の庭のフェンスを這うアケビの蔓からは、もう花芽が膨らんでいます。小一時間は歩いたでしょうか。私の心も生き生きとしてきます。
そんなある日、京橋TWIN21で開かれた中古レコード即売会に行ってきました。最近、ExcelやWordと格闘しているときに聴いているヘンデルを中心に、1時間ほど品定めです。連れて帰ったのは、合奏協奏曲作品、バレエ音楽名曲集、カンタータ名曲集、そして聖譚曲「救世主」。それだけではありません。内田光子のモーツァルト協奏曲、そしてそして、舘野泉のロマンティックコンサート「愛の歌」....。
そのあと、10枚ほどのLPレコードを携えて事務所に寄り道して、慣れない事務作業を2時間ほどこなしてソワソワと帰宅しました(笑)。
翌日は、待ちに待った舘野泉ピアノ・リサイタル(フィンランド大使館後援)でした。場所は北新地にほど近いザ・フェニックスホールです。
舘野さん84歳。演奏を聴きながら思いました。.........2010年の秋、東京出張の合間に神保町の古書店で手にしたのが、舘野泉氏のエッセイ集「ひまわりの海」、それが舘野さんと私の出会いでした。プロフィールにはこう記されています。
「フィンランド在住。古典から現代までレパートリーは幅広く、繊細な詩情と雄大なスケールを合わせもつ演奏は高い評価を受けている。(中略)北欧5カ国、日本をはじめ欧米、豪州、ロシア、アジア、中近東諸国で行われたコンサートは3000回を超える。2002年1月、演奏会のステージ上で脳溢血で倒れ、右半身不随となる。2年余の闘病生活を経て2004年5月より左手での本格的な演奏会活動を再開した」
高校時代の親友が同じ病に倒れリハビリに励んでいた時期でもありました。また、多田富雄先生が闘病に励んでいらっしゃった時期と重なります。
以後、機会をみては舘野さんのCD、LPを探しては聴いてきました。左手のピアニストだからというのではありません。舘野さんの感性、生きる力のようなものに惹かれました。CD「記憶樹」「祈り・・・子守歌」「THE BEST」、「ひまわりの海(セヴラックピアノ作品集)」.....。仕事で疲れ切った心にそっと寄り添ってくれる、そんな世界に浸りました。人の出入りがなくなり仕事がひと段落した執務室で、独り静かにパソコンにつないだ小型スピーカーで聴いたりしたこともありました(笑)。
この日はバッハの「シャコンヌ」、スクリャービンの「夜想曲」、光永浩一郎の「苦海浄土によせる」、新実徳英の「夢の王国」、パブロ・エスカンデの「悦楽の園」を演奏していただきました。
今週、もう一人80代の方との出会いがありました。月刊誌「NHKラジオ深夜便」3月号です。「80歳の列島縦断歩き旅:報道写真家・石川文洋」に目が留まりました。
現在、82歳の石川さんは、私の四国八十八か所遍路の旅を後押ししていただいた方でもあります。リタイアする直前の2016年6月に手にした岩波新書「四国八十八カ所~わたしの遍路旅」。新聞社の報道カメラマンとしてベトナム戦争を従軍取材するなかで、多くの知人の死に直面した鎮魂の旅でもある歩きお遍路の記録でした。これがその後の私の「歩き遍路」に繋がっています。
そんな石川さんが80歳を迎えた3年前、10キロのリュックを背負って北海道から沖縄まで徒歩で縦断されたのだそうです。80歳でですよ。それも心臓手術の2か月後に出発されている。凄いとしか言いようがありません。
このお話は、昨年11月24日午前4時過ぎに放送されたラジオ深夜便のインタビュー「明日へのことば」で「80歳、列島を歩く」と題して放送されたのだそうですが、聞き逃してしまいました。
先日来、広井良典先生の「死生観を問い直す」を読み返していますが、80歳を過ぎてなおお元気にご活躍のお二人の姿を追いながら、いろいろ考えてしまいます。あと10年、これを長いと見るか短いと考えるか。老後をどう生きるべきか....。なぁんて、すこ~し真剣に考えてしまいます(笑)。