心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

80歳を過ぎてなお元気な御二人

2021-02-26 10:49:32 | Weblog

 きょうは小雨が降るあいにくの空模様でしたが、傘をさして朝のお散歩に行ってきました。小学生の集団登校の列に遭遇したり、ミモザやクリスマスローズが花咲く庭先を眺めたり。我が家の庭のフェンスを這うアケビの蔓からは、もう花芽が膨らんでいます。小一時間は歩いたでしょうか。私の心も生き生きとしてきます。
 そんなある日、京橋TWIN21で開かれた中古レコード即売会に行ってきました。最近、ExcelやWordと格闘しているときに聴いているヘンデルを中心に、1時間ほど品定めです。連れて帰ったのは、合奏協奏曲作品、バレエ音楽名曲集、カンタータ名曲集、そして聖譚曲「救世主」。それだけではありません。内田光子のモーツァルト協奏曲、そしてそして、舘野泉のロマンティックコンサート「愛の歌」....。
 そのあと、10枚ほどのLPレコードを携えて事務所に寄り道して、慣れない事務作業を2時間ほどこなしてソワソワと帰宅しました(笑)。
 翌日は、待ちに待った舘野泉ピアノ・リサイタル(フィンランド大使館後援)でした。場所は北新地にほど近いザ・フェニックスホールです。
 舘野さん84歳。演奏を聴きながら思いました。.........2010年の秋、東京出張の合間に神保町の古書店で手にしたのが、舘野泉氏のエッセイ集「ひまわりの海」、それが舘野さんと私の出会いでした。プロフィールにはこう記されています。

「フィンランド在住。古典から現代までレパートリーは幅広く、繊細な詩情と雄大なスケールを合わせもつ演奏は高い評価を受けている。(中略)北欧5カ国、日本をはじめ欧米、豪州、ロシア、アジア、中近東諸国で行われたコンサートは3000回を超える。2002年1月、演奏会のステージ上で脳溢血で倒れ、右半身不随となる。2年余の闘病生活を経て2004年5月より左手での本格的な演奏会活動を再開した」
 高校時代の親友が同じ病に倒れリハビリに励んでいた時期でもありました。また、多田富雄先生が闘病に励んでいらっしゃった時期と重なります。
 以後、機会をみては舘野さんのCD、LPを探しては聴いてきました。左手のピアニストだからというのではありません。舘野さんの感性、生きる力のようなものに惹かれました。CD「記憶樹」「祈り・・・子守歌」「THE BEST」、「ひまわりの海(セヴラックピアノ作品集)」.....。仕事で疲れ切った心にそっと寄り添ってくれる、そんな世界に浸りました。人の出入りがなくなり仕事がひと段落した執務室で、独り静かにパソコンにつないだ小型スピーカーで聴いたりしたこともありました(笑)。
 この日はバッハの「シャコンヌ」、スクリャービンの「夜想曲」、光永浩一郎の「苦海浄土によせる」、新実徳英の「夢の王国」、パブロ・エスカンデの「悦楽の園」を演奏していただきました。

 今週、もう一人80代の方との出会いがありました。月刊誌「NHKラジオ深夜便」3月号です。「80歳の列島縦断歩き旅:報道写真家・石川文洋」に目が留まりました。
 現在、82歳の石川さんは、私の四国八十八か所遍路の旅を後押ししていただいた方でもあります。リタイアする直前の2016年6月に手にした岩波新書「四国八十八カ所~わたしの遍路旅」。新聞社の報道カメラマンとしてベトナム戦争を従軍取材するなかで、多くの知人の死に直面した鎮魂の旅でもある歩きお遍路の記録でした。これがその後の私の「歩き遍路」に繋がっています。
 そんな石川さんが80歳を迎えた3年前、10キロのリュックを背負って北海道から沖縄まで徒歩で縦断されたのだそうです。80歳でですよ。それも心臓手術の2か月後に出発されている。凄いとしか言いようがありません。
 このお話は、昨年11月24日午前4時過ぎに放送されたラジオ深夜便のインタビュー「明日へのことば」で「80歳、列島を歩く」と題して放送されたのだそうですが、聞き逃してしまいました。

 先日来、広井良典先生の「死生観を問い直す」を読み返していますが、80歳を過ぎてなおお元気にご活躍のお二人の姿を追いながら、いろいろ考えてしまいます。あと10年、これを長いと見るか短いと考えるか。老後をどう生きるべきか....。なぁんて、すこ~し真剣に考えてしまいます(笑)。 

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お爺さんと孫。共通項はピアノかも

2021-02-19 10:47:02 | Weblog

 第4候 雨水 初候 「土脉潤起 (つちのしょううるおいおこる)」。春の雨が大地を潤し始めるの意。ここ数日、寒い日が続きましたが、乾ききった冬の大地に数日前に雨が降り、なんとなく春を感じます。近所の公園を覗いてみると梅の花が咲いています。あと1ヵ月もすれば桜が満開になります。「春」は、すぐそこまでやってきています。

 新型コロナウイルス感染状況も、なんとなく沈静化の兆しが見え隠れしていますが、どっこいしぶとく動き回っているようで、緊急事態宣言の解除も容易ではなさそうです。このままずるずると3月7日を迎えるのでしょうか。宣言を発出するのも英断、宣言を解除するのも英断。ウイズコロナをめざすのか、それともゼロコロナをめざすのか。最後は誰かが決めなければなりません。
 先週の土曜日、ひょっこり長女と孫次男君が近所のスイミングスクールに行く途中、我が家に立ち寄ってくれました。長女から見せてもらったのは孫次男君のピアノ練習の風景でした。スマホに録画した練習風景をみてびっくり。この間までお遊び程度だとばかり思っていた孫次男君。なかなかの演奏ぶりです。私も同じ歳頃にピアノを習っていましたが、東京芸大出たての先生だったので厳しい練習を強いられた思い出があります。それに比べて孫次男君は、力まず、自然体でピアノを楽しんでいる様子。楽しそうに弾いていました(笑)。
 お爺さんと孫。ピアノという共通項ができましたが、先日、京都大学こころの未来研究センターから届いた「鎮守の森コミュニティセミナー」の動画に触発されて、いま、広井良典先生の「死生観を問いなおす」(ちくま新書)を読み返しています。
 広井先生は、死生観と時間の章で、人が生まれ、成長し、老い、死んでいくライフサイクルを「直線的な時間」と「円環的な時間」に分けて考えていらっしゃる。生物学的な視点から人のライフサイクルを「成長期」「生殖期」「後生殖期」に区分し、こども→大人→老人という3世代モデルから、現役バリバリの世代とは異なる子と老人の関係性に注目されていました。
 ひと口に死生観といっても奥深いものがありますが、一度はしっかりと見つめ考えてみるテーマではあります。孫次男君のピアノ演奏を聴きながら、そんなことをふと思ってしまいました。
 さて、今週はExcelとWordを駆使した仕事が本番を迎え緊張の数日間を過ごしましたが、なんとか山を越えることができてほっとひと息です。その分、来週は楽しい予定が満載です。まず日曜日は、第5回京都こころ会議シンポジウム「こころとコロナ危機」(Zoom開催)があります。4時間におよぶ長丁場です。
 京橋のTWIN21で開かれる「DISC SALE」もあります。中古レコード、中古CD等の即売会です。案内ハガキには、TWIN21での開催は今回が最後になるようで「2021ツインレコ市完結編」というサブタイトルが付いています。これは出かけなければなりません。そして、演奏生活60周年「舘野泉ピアノリサイタル」悦楽の園。週末には山本能楽堂の公演「花と芸能」と続きます。
 こんな調子でバタバタしていたら2月もあっという間に終わってしまいます。3月に入って宣言が解除されたら、どんな世界が待っているんでしょうか。昨日、本当に久しぶりに旅行会社から国内旅行の案内が届きました。
「春」「旅」....。心が高まります。でも、でも、油断は禁物。まずはワクチン接種が先でしょうね。

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LPレコードにほっとひと息

2021-02-11 10:48:30 | Weblog

 お天気の良い朝、いつもどおりお散歩に出かけました。時々子供たちに出会う?そうです。きょうは祝日でした。毎日サンデーの日々を過ごすお爺さんは、曜日の感覚を失いつつあります(笑)。
 このところ、寒くなったり暖かくなったりとお天気も落ち着きがありません。先日、自転車で市内の公園に行ってみました。平日だったので親子連れの姿はまばらでしたが、寒い冬を忍んで訪れる「春」を待つ。水鳥の動きも心なしか軽やかに感じました。
 最近、Excelの関数やらWordの差込印刷機能やらと睨めっこしていますが、私にとっては慣れないこと故、心穏やかではありません。そんな焦る心を和らげるために聴いているのがヘンデルのオラトリオ「メサイア」です。BGM代わりに聴きながらパソコンに向かいます。でも、本当はこんな聴き方っておかしいですね.......。
 LPレコード棚から取り出したのはヘンデルの「サムソン」(4枚組)でした。「メサイア」を完成させた2週間後には「サムソン」の第一幕の作曲を完成させていたというから驚きです。オペラと違ってオラトリオは、演技や衣装、舞台装置をもたない純粋に演奏会形式の音楽です。そこに言葉と音楽の絶妙な世界が繰り広げられる。何かしらお能に近いものを感じてしまいます。
 LPレコードと言えば、先月だったでしょうか、読売新聞に「10年で10倍 復活のレコード」と題する特集記事が載っていました。30年以上も前にCDにとって代わられたLPレコードですが、なんとこの10年、生産量が拡大傾向にあって中古レコード店も続々オープンしているらしいのです。
 普段はCD音源かパソコンを介したハイレゾ音源で音楽を楽しむことが多いのですが、時々LPレコードに回帰するのは、やはりアナログ音源の自然な柔らかさ、優しさに惹かれるからでしょうか(個人的感想です)。オラトリオなどを聴いていると、テノールやソプラノ歌手の声がやさしく部屋に充満します。
 理論的にはデジタル音源の方が究極の音の世界を実現しているのでしょうが、そっと耳元に届くアナログの世界、そのダイナミックさに心奪われます。20、30分ごとにA面をB面にひっくり返す手間はかかりますが、そんな動作もひとつの喜びですらあります(笑)。

 さてさて、なにやら小難しい趣味のお話しから書き始めた今日のブログですが、実は明日急に事務所に出かけなければならず、1日早い更新と相成りました。
 今週も、電車に乗ってのお出かけは水彩画教室だけでした。あとは、自転車で近場の公園に行ってみたり、春の陽気に誘われて園芸店を覗いてみたり。奥様のお供で近くのスーパーにお買いものに行ったり....。そんな合間を縫ってLPレコードを楽しんでおります。
 そんなある日、京都大学こころの未来研究センターのリエゾンオフィスから「鎮守の森コミュニティセミナー」の動画配信(http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/20210208_movies/)のご案内をいただきました。司会進行は「人口減少社会のデザイン」をお書きになった広井良典先生です。私が今もっとも注目している研究者のお一人です。
 メールには「本セミナーでは、鎮守の森・自然エネルギープロジェクト、鎮守の森セラピー、鎮守の森ホスピスなど、本プロジェクトとして進めている活動や研究を紹介し、その課題や今後の展望を議論するとともに、地球システムの未来をみすえた持続可能な福祉社会のありようを探っていきます」とあります。
 2時間半ほどの動画ですが、いろいろな時代的な課題を抱えながら政治の世界は目を覆うばかりの劣化、人の心も右往左往している状況のなかで、非常に大事な視点を提起されているこのプロジェクトに注目しています。
 こんな調子で、いろんなことに首を突っ込んでいたら、あっという間に1日が終わってしまいます(笑)。お気軽なものです。

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久しぶりにWordとExcelに向き合う日々

2021-02-05 10:13:37 | Weblog

 立春「東風解凍(とうふうこおりをとく)」。春風が吹いて氷が解け始める意味なのだそうですが、まだまだ寒い日が続きます。新暦は旧暦よりも1カ月以上早いですから、現実の季節感との差を感じてしまいます。
 今朝お散歩から帰って庭を覗くと、昨日まで真っ赤な実が付いていたマンリョウの枝先に何もありません。小鳥たちの格好の餌になったのでしょう。寒空を元気に飛び回っている小鳥たちって、いったい何を食べているんだろうと思っていましたので、お役に立てて良かったです(笑)。
 ところで、緊急事態宣言、やはり1カ月延長になりました。感染者数は下降傾向にあるものの、ここはもうひと踏ん張りといったところでしょうか。Withコロナの時代、正しく身を守って元気に暮らしていきたいと思っています。
 そんなわけで、お手伝いをしているシニア向けの教養講座も引き続き休講です。それではと、ゆったりまったりの日々を過ごそうかと思っていた矢先、とんでもないことが起こりました。事務処理のシステムを担っていた方が急に長期の入院を余儀なくされて戦線離脱。Excelのプロを自認する方だったので、さあ大変。四苦八苦しながらWordとExcelを駆使して応急措置をすることになりました。
 仕事のブラックボックス化は皆を不安に陥れます。現役時代にも職人肌の方がいらっしゃいました。でも、その方が異動で抜けると誰も分からない。冷や汗をかいたことがありました。
 今回のケースは、そんなに特殊な仕事をしているわけではありませんから、まずは原点回帰です。初心に帰って平易でシンプルなものに仕上げつつあります。これがうまく動けばマニュアルを作って完成、ということにしておきましょう。そんなわけでこの1週間もパソコンと睨めっこした毎日でした。

 この1週間のお出かけは水彩画教室、その帰りに事務所に立ち寄る程度でした。そうそう、近くの病院にもでかけましたが、広い待合室は大勢の人々でごった返していました。医療保険請求に必要な書類の作成をお願いしただけなのに2時間も密空間で過ごしました。 
 そんなある日の夕刊(読売新聞)に、「左手の旋律 希望込め」と題して、舘野泉60周年独奏会のことが紹介されてありました。脳出血で右半身不随となりながら「左手のピアニスト」として復活したクラシック界のレジェンドと紹介されています。そのコンサートが今月下旬にザ・フェニックスホールであります。久しぶりにお目にかかります。その週末には山本能楽堂の公演「花と芸能」もあります。何やかやとドタバタする合間を縫って、別の世界に戯れるのも良し。お気軽なものです。
 ところで、孫娘の写真を頻繁に更新してくれる次男君ですが、1歳を過ぎた頃から急に表情が豊かになってきて退屈しません。よちよち歩きもできるようになった孫娘の動画を見ていると、ふっと長女が生まれた頃のことを思い出します。一方、長男君からはこの春中学生になる孫娘の、真新しい学生服を着た写真が送られてきました。こんな具合で孫たちもだんだんと成長していきます。ということは、それだけ自分が歳をとっているということです。
 節分の日に、シニア夫婦は恵方巻をいただいたあと、お豆に挑戦しました。子どもの頃は得意そうに歳の数だけ食べていたのですが、さすがに70粒もいただくことはできません。いつの間にか老人の仲間入りをしたことに気づいたものでした(笑)。

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