忘年会の席で隣りに座ったご婦人が、「柵(しがらみ)から解放されて、毎日が楽しいなあ」と意味深な言葉。いつも笑顔がたえない彼女は、2年前まで某企業の管理職として頑張ってきたよう。その実感のこもった言葉に、なんとなく納得してしまいました。
そんなシニアが集う水彩画教室に通い始めて3カ月が経ちました。ことし最後の課題は「野菜・果物と缶・ビン・箱を組み合わせる」でした。下絵のスケッチを描き終えて着色しようとしていると、先生が「う~ん。なにをメインにする?」と心配そうなアドバイス。とっさに「茄子にします」と答えました(笑)。パーツを雑然と並べていくのではなく、描きたいものを意識して描いてほしいということなんでしょう。やっとこさ仕上げると、「茄子のヘタがうまく描けたわね」と先生。シニアの初心者は、こうしておだてられて上達していくんでしょう。きっと(笑)。
絵画と言えば、今秋ニューヨークのメトロポリタン美術館で買ったグスタフ・クリムト「接吻」のジグソーパズル(1000ピース)が、やっと完成したようです。ウィーンのヴェルヴェデーレ宮殿で原画にお目にかかったのは、ちょうど1年前のことでした。家内の苦心作ですが、日本で販売しているのとサイズが微妙に違っていて、フレームが特注になりました。
話は変わってクリスマスイブの日、シニア夫婦は賑やかな心斎橋界隈に出かけました。何年ぶりでしょうか。行ってみてびっくり。通りを埋め尽くす人々の大半は外国人観光客で、中国語や韓国語が飛び交い、お店の店員さんまでネイティブとあっては、ここはアジアの国の繁華街?という錯覚さえ覚えるほどでした。その良し悪しは別にして、何年か先に大阪は間違いなく国際都市に様変わりしていることでしょう。でも、何か違うなあ。かつての道頓堀の風情が懐かしい........。
人混みの中をすり抜けながら辿り着いたのは、新装なったばかりの「なんばグランド花月」でした。吉本興業の創業者・吉本せいをモデルに大阪を舞台に寄席経営に挑んだ人々の姿を描くNHKの朝ドラ「わろてんか」に触発されての、家内お薦めの観劇です。
この日の出し物は「間寛平 クリスマスコメディ」。不慣れな私は、笑いのタイミングに戸惑いながらも、場内のやたら明るい笑い声に大阪人のおおらかさを思ったものでした。腹の底から笑いあって新しい年を迎える。これもありか。館内には、吉本せいの胸像や吉本興行の歴史資料が展示されていました。
さて、暮れも押し詰まって、毎朝お散歩に出かける近所のお不動さんでは、巨大な門松が据えられ、御籤売場や警備詰め所の仮設など、お正月を迎える準備が着々と進んでいます。そしてきょうは「終い不動」。納め不動特別祈願大護摩供に続いて、本堂前の広場では柴灯大護摩供が行われました。
お坊さんのほか山伏姿の方々のお勤めに、おおぜいの信者の方々が集まっていました。初めて見た儀式ですが、勢いよく燃える炎を見ながら、ことし1年を振り返りました。そういえば、わたしの横にいた小学生と思しき児童が、両親の横ですらすらと般若心経を諳んじるのを見て驚きました。一方のわたしは、まだまだ修行が足りません。
リタイアして無事1年半が経ちました。まさに柵から解放されて、「時間」というものを自在に操ることができるという意味で「自律」した生活を取り戻したように思います。これからは、労働生産性ではなく、人としての生きがい、社会とのかかわりに注力していくことになります。
さてさて、明日から子供たち孫たちが三々五々やってきます。なので、ブログの更新も、年内は本日が最後になります。リタイアした当時、閉鎖も考えたこのブログ。まだ続いています。なぜ?どうして?なんのために?。このブログの意味ってなんだろうと振り返ってみると、なんにもありゃぁしません。自分の生きざまを淡々と「記録」に残している、それに尽きます。ある日突然、更新が途絶える時まで。それもありか。
いずれにしても、この1年間、拙いブログ「心の風景」に性懲りもなくお越しいただいた皆様方には、この場を借りて厚くお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。皆様にとって、来るべき2018年がより良い年であることを願って筆をおきます。良いお年をお迎えください。