暖かくなったと思ったら、寒くなったり雨が降ったり。でも、夕方になると、薄っすらお日様が顔を覗かせたり。これを三寒四温というのでしょう。2月も下旬、お庭に出るとつい先日まで縮こまっていた草木がなんとなく動き始めています。霞始靆 (かすみはじめてたなびく)、草木萌動(そうもくめばえいずる)を経て、いよいよ啓蟄を迎えようとしています。
今週はNPOの関係でいつになく忙しない日々を過ごしました。それも千人近い方々のデータ処理をPCに向かって行う。若い頃なら朝飯前の仕事だったんでしょうが、この歳になると緊張感が途切れてしまいます。もうそろそろ便利屋さんから卒業しないといけません。
先日、息抜きを兼ねて日本橋の中古レコード店を覗きました。いつも行くDISC.J.J.さんは何となく元気がなさそうなので、MINT Recordさんの本店と支店を覗きました。いろいろ品定めをして10枚ほど連れて帰りました。以後、毎夜1枚ずつ楽しんでいます。
中古レコード店もずいぶん様変わりしています。昔は店長自身が大の音楽好きだったり、ステレオ装置に凝ったりと、お店に入るとそれぞれに独特の雰囲気があって、居るだけで楽しい時間を過ごしましたが、最近は少し様子が変。モノとしてのレコードを売ってるようで、何となく寂しい気持ちになります。
でも、こうして夜な夜なLPレコードを楽しむ人も減ってきているんでしょうね。なんとなく過去にしがみついているようで、さあてどうしたものか。いやいや、CDやハイレゾなどデジタル音源に馴染めないお爺さんは、アナログの世界で古き良き時代を思い出しながら時間を過ごします。
ところで、先日、テレビニュースを見ていたら、民主主義vs専制主義の勢力分布図が画面いっぱいに映し出されていました。民主主義を当然のように受け入れてきた世代としては驚きを隠せません。ある記事によれば、民主主義を享受する人口は世界人口の3割にとどまっているのだそうです。ロシアによるウクライナ侵攻、北朝鮮のミサイル発射威嚇、中国の台湾侵攻の動き、イスラエルとハマスの軍事衝突。その多くが専制主義国家が関与しています。
では、民主国家はどうなのか。本当の意味で機能しているのか。トランプ前大統領の不穏な動き、日本の政界を揺るがす裏金問題。私たちが暮らしている社会も、どこか変。何かが狂いかけています。国家という大きな話だけではなく、みぢかな小さな組織にあっても、ひと握りの人たちによる専制主義が横行している現実もあります。
いったい何が正しくて何が正しくないのか、その境目が見えにくくなっています。戦争の痛ましさを画面で見るにつけ、この複雑極まりない社会を現実のものとして受け止めざるを得ません。考えてみれば、ギリシャ、ローマ時代、いやそれ以前から人類の歴史は戦の歴史でもあったような気がします。
春の到来を心待ちにしながら、心の奥底になにやらずっしりと迫るものがあります....。
こんなことを綴りながら、今日は午後、シニア仲間と大阪城の梅園にでかけます。呑気なものです。
2月も半ば、「土脉潤起(つちのしょう うるおい おこる)」の季節を迎えました。春の雨が大地を潤し始める時季、我が家の庭もしっとりと雨に濡れて春を迎える準備をしているようです。
バレンタインデーの2月14日は次男君のお誕生日でした。子どもの頃はたくさんのチョコレートをもらってきて、私たちもご相伴にあずかりましたが、今年はお嫁さんからバレンタインチョコをいただきました(笑)。
そうそう、美味しいチョコレートをいただくには美味しいコーヒーが欠かせません。先日、探し物があって床下収納庫を覗いたとき、おもしろいものを見つけました。若い頃、京都の京極界隈を歩いていて見つけた手動式コーヒーミルです。あれから何年経ったんだろう。久しぶりに取り出してさっそく豆をがりがりと挽いて香しいコーヒータイムを楽しみました。
そんなある日、何気なくスマホでNHKラジオのアプリで「聞き逃し」からラジオ深夜便「人生みちしるべアンコール」を聴きました。2月9日午前4時5分に再放送されたテーマは「心を励ます声~昔話と我が人生」です。アンカーは村上里和さん、出演は口承文芸学者・小澤俊夫さんとあります。そういう学問分野もあるんだと思いながら、お布団の中でぼんやり聞いていたら、小澤俊夫さんは先日お亡くなりになった世界的な指揮者小澤征爾のお兄さんでした。昔話と音楽、なんとも不思議な取り合わせですが、人生いろんな生き方があるものだと感心したものでした。
相前後して、新潮社のネット雑誌「考える人」から届いたメールに、第11回小林秀雄賞を受賞した「小澤征爾さんと、音楽について話をする」(小澤征爾 村上春樹)のインタビュー記事が紹介されていました。もう10数年前の記事ですが、懐かしく再読しました。
6年ほど前、京都のロームシアターであった「小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトXVI」に行きました。この日の演目は、ラヴェルの歌劇「子どもと魔法」(全1幕)」とプッチーニの歌劇「ジャンニ・スキッキ」(全1幕)でしたが、残念ながら小澤さんは体調不良のため出演ならず。その後はLPレコードやCDでお目にかかるだけになりました。ご冥福をお祈りいたします。
話しは変わりますが、先月受信した脳ドックの診断結果が届きました。頭部MRA検査は異常なし。頭部MRI検査は、慢性虚血性変化、右上顎洞貯留嚢胞ということで経過観察。ちょっと心配なのは、自覚症状もある聴力です。やはり要精密検査とありました。歳相応の症状なんでしょうが、時々人の会話が聞き取りにくいので、耳鼻科に行ってみることにします。後期高齢者の扉が遠くにぼんやりと見えてきました(笑)。
昨夜、NPOの帰りに山本能楽堂の伝統芸能塾(夜の部)に寄って帰りました。9時過ぎに最寄りのバス停につくと、夜空にたくさんの星が見えました。オリオン座、こいぬ座、おおいぬ座。ひときわ輝くベテルギウス、シリウス、プロキオンが、いわゆる『冬の大三角』を形づくっています。
話はがらりと変わりますが、先日何気なくテレビニュースを見ていたら、イエメンの反政府武装組織フーシ派の商船攻撃の影響で、欧州とアジアを結ぶスエズ運河を通航する船が激減していて、それがエジプトなど周辺国の経済に打撃を与えていると伝えていました。そして画面には、スロベニアに隣接するイタリア北東部の港湾都市トリエステの港が映っていました。
ト・リ・エ・ス・テ.......。
須賀敦子著「トリエステの坂道」。
ずいぶん昔、イタリアを旅したあと、須賀敦子のエッセーに魅せられた時期がありました。たまたま天満橋のジュンク堂書店で本棚を眺めていたら、当時親しくさせていただいていた某電鉄会社の会長さんとばったりお会いして、「君らしいなあ」とお勧めいただきました。
聖心女子大学を卒業後、パリ大学に留学。その後イタリアはミラノで暮らし、鉄道員の息子でコルシア書店で働くペッピーノと結婚したけれども、5年ほどで死別。その何年かのちに帰国して、慶應義塾や上智大学の非常勤講師を務めながら、イタリア文学の翻訳者、随筆家としても活躍した女性です。
いったい彼女の何に惹かれたのか.....。物事を真正面から見つめ、美しい言葉で紡ぐ作品の数々。イタリアの風景と人の心が色鮮やかに浮かび上がってくる作品の虜になりました。須賀敦子全集8巻を貪るように読みましたが、それは私にとって文章修行でもありました。
そんな彼女の作品のひとつに「トリエステの坂」があります。ペッピーノが親しんだ詩人ウンベルト・サバが暮らした街トリエステ。アドリア海に面した坂の多い港街は、彼女の生まれ故郷神戸の街に似ていたのでしょう。須賀は夫亡き後1人でその街を訪ね歩きました。
その後、私は彼女の「ユルスナールの靴」で「歩く」ことに目覚めることになります。「きっちり足にあった靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ」。そんなプロローグで始まる一冊の本との出会が、リタイア後、私の四国遍路につながっていきます。
手元にある「須賀敦子が歩いた道」(新潮社)をめくると、私が若い頃に訪ねたローマ、ミラノ、アッシジ、フィレンツェ、ヴェネツィアなどの風景が広がります。立春を迎えて何となく春めいてきたここ数日、須賀敦子の世界にどっぷりと浸かっています。
寒くなったり暖かくなったりとお天気が落ち着きませんが、2月に入って我が家の庭先にクリスマスローズの花芽がやっと開き始めました。暑かった夏を耐えていま、美しい姿を見せています。庭の片隅では水仙の蕾も大きく膨らんできました。あの香しい香を庭中に漂わせてくれるのも時間の問題です。明日は「節分」、そして明後日には「立春」を迎えます。
今週の水彩画教室の画題は「花」でした。何にしようかと悩んだあげく庭の山茶花の枝を摘んでもって行きました。でも、日本画でよく見る微妙な花の色合いが描けず悪戦苦闘、まだ仕上がっていません(笑)。
話しは変わりますが、今年に入って何故か中古レコードを買い取りますというお知らせが目につきます。そんなつもりは毛頭ありませんが、そういえば最近、レコードを聴く「心のゆとり」がありません。なぜでしょう。仕事をしているわけでもないのに何となく落ち着きません。というわけで最近、意識してLPレコードを楽しむ時間をつくっています。
ついでに、愛用しているアーム型静電気除去レコードクリーニングブラシを新調しました。回転している間にレコードをクリーニングしてくれる優れものです。ターンテーブルの邪魔にならない所にセットして、あとはアース線をアンプに接続するだけです。レコードはいつも丁寧に扱ってはいますが、少しでも長く愛聴したいという子どもっぽい思いからです。
こうして寒い冬の夜長、静かにレコードに針を降ろします。CDなどデジタルでは味わえないアナログの世界が部屋中に広がります。いま流れているのは、オーフラ・ハーノイ奏でるチェロ演奏「アリオーソ」です。ずいぶん前、日本橋の中古レコード店で出会ったものでした。
補足ながら、新調したレコードクリーニングブラシは、夜の8時頃にネットで注文して翌朝11時に手許に届きました。驚きました。受注システムと働き方改革が連動していないような気がします。最愛の人の手紙の到着を心待ちにするような心の余裕もなく、瞬時に届くメールに慣れ、それがあたり前のようになってきている昨今です。なにかしら考えてしまいました。そんなに急いでどこに行く?と自分に言い聞かせています。
今夜は、夏の間に庭で採取したハーブティーをいただきながらブログを更新しています。毎夜、ミント、ラベンダー、カモミールなど自然の恵みを全身で体感しています。そうそう。昨年は数粒の種から2株の唐辛子を育てました。ただいま乾燥中ですが、一粒一粒が強烈な辛さで、まさに唐辛子です。寒い冬にはとっておきで身体が温まります。昔人の知恵を追体験しています。
今月下旬からは再び繁忙期に入りますが、ここ当分はなんとなく穏やかに過ごせます。その間に春に備えて花壇の土づくりや寒肥を施そうと思っています。でも、天気予報では雨マークが付いています。さあてどうなることやら。