心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

一心寺由来のジャカランダとヒマワリの種

2022-04-29 15:32:06 | Weblog

 春の陽気に浮かれている間に、ゴールデンウィークを迎えました。といっても今日は朝から雨が降っています。次男君のお嫁さんと孫娘はひと足早くご実家にご帰還ですが、遅れて今日大阪入りする次男君も明日には皆で我が家にやってきます。
 そんななか、家内から「連休の後半に東京に行かない?」とのご提案。長男君一家が帰って来れないから様子見を兼ねてのお上りさんというわけです。長男君から電話があって急に会いたくなったんでしょう。ついでに横浜の次男君宅にも立ち寄って帰阪の予定。構想が固まったところで、いつものJALパックを予約しました。合間にどこに行くのかをこれから考える、いつもの行き当たりばったりの珍道中になります(笑)。

 さて、本題に入ります。2週間前のブログで紹介したジャカランダの種のその後。硬い殻から取り出した種を水に浸しておいたら10日ほど経って小さな根が生えてきました。
 さっそく、バーミキュライトと赤玉土を混ぜた小さな植木鉢に植えました。すると数日経って、淡い緑色の芽が見えてきました。まだまだ前途多難ですが、花が咲くまでには10年近くかかるとか....。頑張って生きることにいたしましょう。
 トップの写真は、昨年7月に第1回目のコロナワクチンを接種した帰りに一心寺に寄って撮影したジャカランダの花です。今回直径5センチほどのジャカランダの種殻を手にしたのはその樹の周辺でした。
   その帰りに立ち寄った三千佛堂では、ヒマワリの種が入った袋をいただきました。こちらは1週間前に花壇に蒔いたら元気に芽生えてくれました。チューリップが咲き終わりフリージアの花が満開、そんな花壇ではグラジオラスの芽が伸びつつあります。その後に登場するのがヒマワリの花でしょうか。楽しみでもあります。
 ところで、ヒマワリはウクライナの国花ですが、ロシアによる軍事侵攻をきっかけに反戦や抵抗のシンボルになっています。先日、ネットにこんなニュース(動画)がアップされていました。
 ヘルソン州ヘニチェスクで1人のウクライナ女性がロシア兵に向かって、「あなたは私の国に来ました。わかっていますか。あなたは占領者です。あなたは敵です」「この種をポケットに入れなさい。この種を手に取りなさい」「あなたがここで死んだ時、ヒマワリが育つようにこの種を持って行きなさい」と促したのだそうです..................。

 これを見て思い出したのが、ソフィア・ローレンが演じた映画「ひまわり」でした。この映画を若い頃に見たことがありますが、ウクライナで撮影されたというヒマワリ畑がスクリーンいっぱいに広がっていました。久しぶりに先日、Amazonプライムビデオでもう一度見ました。
 ナポリの海岸で出会い恋に落ちたジョバンナ(ソフィア・ローレン)とアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)。その後アントニオはロシア戦線に送られることになりますが、戦争が終わっても帰国しないのでジョバンナはソ連へ向かいます。そこで目にしたのは、厳寒の地で瀕死状態で倒れていたアントニオの命を救ったロシア人女性とアントニオの家庭でした..........。記憶を取り戻したアントニオは、ジョバンナを追ってイタリアに向かいますが、ジョバンナもまた別の男性と結婚していました。最後のシーンは、かつてアントニオが出征するのを見送った時と同じホームで、ロシアに戻る彼を遠くから再び見送るジョバンナの姿でした。字幕に浮かび上がる「戦争は残酷」という文字が心に残りました。
 ちょっぴり感傷的になってしまいましたが、戦争というものは物心両面にわたって人の心を蔑ろにしてしまいます。それが分かっているにも関わらず、人類の歴史は戦争の歴史でもありました。第二次世界大戦が終わったとき、皆が誓い合った反戦の誓い。しかし現実はといえば国際政治の力学のなかで各国とも軍事予算を増強しています。国を思うウクライナの人々の熱い思いをひしひしと感じながら、人と人との関係、国と国との関係が暴力によってしか成立しえない現実を目の当たりにして、なにやら複雑な思いがいたします。

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宴会前のささやかな時間を楽しむ

2022-04-22 15:41:58 | Weblog

 4月も半ば、お花見やら歓送迎会などでお酒を飲む機会が増える季節です。現役を退いて5年も経つ私も、今週は2回ほど懇親会という名の呑み会がありました。ひとつはリタイア後に出会い一緒にシニア向け講座を受講した仲間たちとの呑み会、もうひとつは現役時代に共に議論し学びあった同業他社の方々との呑み会です。
 まず月曜日。NPOに立ち寄ったあとお店に向かう途中久しぶりに大阪駅(梅田)界隈を散策しました。同期の仲間たちとの開宴までに少し時間があったので、ヨドバシカメラを覗いてみたり、紀伊国屋書店を覗いてみたり。お隣の阪急古書のまちに行ってみると、以前と雰囲気ががらりと変わっていて、なんともおしゃれな古書店街(古美術店)になっていました。う~ん、何か違う。入りにくささえ感じる店構え。それでも馴染みの梁山泊さんや藤沢書店さんを覗いて時間潰しです。この日は、淡交社「狂言鑑賞二百一番」を連れて帰りました。
 木曜日は、現役時代の仲間たちとの呑み会を前に雨が降るなか大阪中之島美術館に向かいました。開館記念特別展「モディリアーニ〜愛と創作に捧げた35年」です。
 会場には、いたるところに第一次世界大戦前後20世紀初頭のパリの華やかな街並み(モノクロ写真)とモディリアーニ独特の肖像画が私を迎えてくれました。細長い面立ちの肖像画と裸婦が特徴のモディリアーニ。1枚1枚の絵の前に立ち止まっては、彼の「心」を感じ取りながら2時間近く見入ってしまいました。ちなみに、下の作品「髪をほどいた横たわる裸婦」は撮影を許された2点のうちの1点です。
 その余韻を心に温めながら、きょうは午前中フランス文学講座「フランス絵画と作家たち」を受講してきました。
 ところで今、本屋さんには黒川祐次著「物語 ウクライナの歴史」(中公新書)ほかウクライナ関連の本が平積みされています。そのウクライナのこと。ロシアの侵攻から2カ月あまり経とうとしているのに一向に収まる気配がありません。それどころか状況は悪化するばかり。昨夕になってロシアからは「マウリポリを解放した」というニュース速報。えっ?「解放」って何?誰が何を解放したって言うの?
 人の「心」の分断化が懸念される昨今、気に食わないからといって武力で抹殺するなんてとんでもないことです。人類が長い年月をかけて育ててきた価値観をいとも簡単に葬り去ってしまう。無かったことにしてしまう。なんとおぞましいことか。
 「物語 ウクライナの歴史」によれば、スキタイの興亡、ゴート族やフン族などの民族移動、モンゴルやオスマン・トルコの侵入、キエフ・ルーシ公国の隆盛、コザックの活躍を経て、ウクライナが「国家」として独立したのはソ連邦が崩壊した1991年のこと。北はベラルーシ、東はロシア、西はポーランド、スロバキア、ハンガリー、南はルーマニアほか黒海沿岸諸国に囲まれたウクライナの歴史は、ひと言では語り尽くせない長い長い戦いの歴史がありました。
 かの公国を形成した東スラブ人が現在のロシア人、ウクライナ人およびベラルーシ人の祖先と言われ、第1次世界大戦までの約120年間、ウクライナはその土地の約8割がロシア帝国、残りの2割がオーストリア帝国に支配され、「小ロシア」と呼ばれていたのだとか。
 現在起きている戦争と同じような争いが過去何度も繰り返されてきた歴史があります。国境とは何か。民族のアイデンティティと国家の在り様とは..........。島国の日本にいると想像することができません。人類が英知を結集して育て上げた歴史を無視して、何百年も前と同じことを繰り返していることの愚。複雑な思いがいたします。

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花と戯れるお爺さんの「春」

2022-04-15 19:52:36 | Weblog

 この4月に71歳のお誕生日を迎えた家内。これで夫婦揃って同い歳になりましたが、春の陽気に誘われて、先日、日帰りバス旅行でお花見に行ってきました。奈良の馬見丘陵公園チューリップ園、千本しだれ桜が人気の高見の郷、最後は三重県松阪市の波瀬植物園(石の森ガーデン)にまで足を伸ばして関西では珍しい水芭蕉を見てきました。少し欲張りな行程でしたが、終日穏やかな春の陽気につつまれました。
 いま、我が家の庭では真白い清楚なライラックの花が咲いています。ちょうど3年前の4月下旬、チェコ(プラハ)、ドイツ(ドレスデン)、オーストリア(ウィーン)、スロバキア(ブラチスラバ)、ハンガリー(ブダペスト)を旅したとき、街のいたるところに紫、薄紫、ピンク、白のライラックが咲いていた風景を思い出します。花言葉は「友情」「謙虚」「青春の思い出」「純潔」だそうです。(上の写真は我が家の初々しいライラックのお姿、下の写真はプラハのカレル橋からプラハ城を望む風景)
 そのライラック、仏語ではリラというのだそうですが、それをモチーフにロシアの作曲家セルゲイ・ラフマニノフが作曲したのが「リラの花」です。1917年2月、ロシア革命で音楽活動が困難になるなか、翌年には家族と共にアメリカに移住、二度とロシアに戻ることはありませんでした。
 「音楽とは心の喜び」だといい、「音楽というものは、平和で平穏なところでないと成立しないものだ」と語ったというラフマニノフ。何もなければこの時季、ライラックの花が咲き乱れていたであろうウクライナの現状を思うと、心が痛みます。

 ラフマニノフといえば先日、孫次男君のピアノ発表会がありました。スタインウェイのピアノを弾く孫次男君の晴れ姿です。今回もカメラマンに徹して静止画と動画で追いました。この日弾いた曲はフランツ・ベール作曲の「ジプシーの群れ」。ひとり凄く上手な女の子がいましたが、その子に次いでうまかったのが孫君でした...と思うのは爺ばかでしょうね(笑)。
 この日は、発表会が終わるとみんなでランチを楽しんだあと、爺さん婆さんは急ぎフェスティバルホールに向かいました。昨年4月の予定がコロナのために1年延期になっていた代替公演「祝祭:大狂言会2021」です。
 演目は「二人袴」「月見座頭」「鮎」。91歳にしてなお円熟度を増す野村万作さん、56歳の野村萬斎さん、その子23歳の野村裕基さんの所作に見入りました。能楽堂とは異なり舞台にも工夫が凝らされ、「鮎」(池澤夏樹作/野村萬斎演出)ではオペラのようにカーテンコールで終わる、そんな楽しい公演でもありました。古典芸能も少しずつ新しい風が吹き始めています。
 そうしてようやく迎えた週末、きょうは義妹の三回忌法要で天王寺にある一心寺に行ってきました。その帰り道、何気なくジャカランダの樹の下を歩いていたら、直径5センチほどの種殻が落ちていました。ひょっとしたら実生が可能かもしれない?。家に帰ると早速作業に取り掛かりました。硬い殻をペンチで開いてみると、オブラートに包まれた小さな種子がたくさん入っていました。さっそく水に浸して様子をみることにしました。
 ジャカランダといえば、初夏に青紫色の花を楽しませてくれる世界3大花木のひとつで、昨年初めてその存在を知りました。実生だと花が咲くまでには相当の年数がかかりそうですが、なんとかうまく発芽して、数年をかけて育てていきたいと思っています。それまで生きていられるかなあ。いや、それを励みに生きよう!!

 今夜はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番をアシュケナージのピアノ、ハイティンク指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏で聴きながらのブログ更新でした。呑気なものです。

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気紛れなお爺さんの春の一日

2022-04-08 20:15:46 | Weblog

 春の風景を楽しみながら朝のお散歩をしていたとき、ふと四国八十八カ所を歩いていた頃のことを思い出しました。1200キロに及んだ歩き遍路を歩き終えたのは、ちょうど1年前の3月31日のこと。あれから1年が経ちます。道中、宿を共にした80代のお爺さんは十数回も歩いたとおっしゃっていましたが、私には全行程をもう一度歩いてみる自信はありません。
 ところで先日、第94回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した映画「ドライブ・マイ・カー」をもう一度見ました。初めて見たときは、村上春樹の原作「ドライブ・マイ・カー」がどう映画化されているのかに関心がありましたが、2回目は「映画」としての「ドライブ・マイ・カー」を楽しみました。
 その映画で演劇祭のスタッフを演じた韓国人俳優の秦大然さんのことが、先月末の読売新聞に載っていました。秦さん、実は4年前に四国八十八カ所を歩いた経歴の持ち主でした。映画スターとしての夢が適わないなかで、50日をかけて結願したのだとか。その間、いろんな人との出会い、接待を受けた秦さんですが、その独特な味わいが映画を引き立てています。
 さてさて、私はと言えば今週もゆったりまったりの日々を過ごしました。毎朝、庭を眺めるのが楽しみで、いつも新しい発見があります。いつの間にかチューリップが咲き、フリージアも花芽が出てきました。バラの花芽が日に日に大きくなり、シャクヤクの花茎もいつの間にか30センチほどに伸びています。
 ずいぶん楽しませてくれたクリスマスローズは、花茎を剪定し御礼肥を施し来期に備えます。剪定した花は花瓶に活けてしばし楽しむことにしました。
 そんなある日、この春小学3年生になる孫次男君が、リュックを背負ってひょっこりお泊りにやってきました。おばあちゃんの家でのんびり春休みを楽しんだようです。その孫君とバスに乗って1時間半ほどのところにある釣り堀に出かけました。半日頑張りましたが一匹も釣れなかったものの、春の陽を浴びて楽しいひと時を過ごしました。
 春と言えば、古本祭りの季節です。今月29日から5月5日まで四天王寺さんで「春の大古本祭り」、5月1日から5日まで京都のみやこめっせで「春の古書大即売会」があります。連休に横浜の次男君が孫娘を連れて帰るといっているので、その合間を縫って、どちらかに出かけることにいたしましょう。
 きょうは午後、我が街にオープンしたというブックオフを覗いてきました。大規模店舗ではないものの相応の広いスペースに本、CD、DVD、レコードなどが陳列されていました。で、今日連れて帰ったのは青菁社「文字の風景」でした。「文字は自然のメッセージ」とある帯が気に入りました。青菁社のこのシリーズ、「心の風景」「色の風景」「暦の風景」に次いで4冊目です。眠る前にぼんやりと眺めて過ごすのに最適です。
 こうして春の訪れに浮かれる毎日ですが、心のどこかにウクライナの厳しい現実があります。善意の市民を虐殺しながら平然と「ロシアは何もしていない」「ウクライナが仕掛けたフェイクニュースだ」と断じる人間の恐ろしさ。イデオロギーの違いはあるとしても、彼らのめざす社会とはいったいなんなのか。きょうブックオフに行ったのは、そんなヒントを探すためでもありました。残念ながら見当たらず、帰宅後Amazon kindleで黒川佑次著「物語 ウクライナの歴史~ヨーロッパ最後の大国」(中公新書)を見つけました。長い歴史の流れの中で、何がどう間違ってしまったのかを考えてみたいと思っています。

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小雨けぶる初春の奈良に酔う

2022-04-01 22:24:16 | 西国巡礼

 暖かくなったり急に寒くなったり。でも、庭の草花はしっかりと成長しています。70歳を過ぎると、そんな何気ない自然の変化に心躍ります。この春、もっとも嬉しかったこと。それは5年ほど前に種から育てたカリンの木に初めて花が咲いたことでした。近所のお爺さんから大きなカリンの実を2個いただき、さあてどうしたものかと迷ったあげく「カリン酒」なるものを作りました。その時の種を庭に植えて、ようやく花開きました。といっても花芽は八つほどですから、ことし実がなるのかどうかは分かりませんが、5年の歳月を経て咲いた花に「こんにちわ」。愛おしささえ感じます。ちなみに下の写真は垣根を這うアケビの花です。
 そんな春のある日、仲間たちと小雨舞う奈良に行ってきました。まずは奈良県庁の屋上から奈良市内を展望したあと、興福寺へ。これまで何度も訪れながら、いつも忘れていた西国三十三か所第9番札所「興福寺南円堂」の御朱印を、今回はいただいてきました。これから暖かくなりますから、西国巡りを再開することにいたしましょう。
 名だたる観光スポットは皆さんよく行っているので、少し足を伸ばして浮見堂へ。桜咲くこの季節、小雨を押して結婚式の前撮りをする方々が数組。結婚式なんてシニアの私たちにとっては半世紀近くも前のこと。懐かしさと共に、齢を重ねた今の自分を見つめてしまいます。
 昼食は築140年の町屋を改装したという食事処「粟 ならまち店」です。予約しておかないとなかなか入れないお店ですが、大和伝統野菜をふんだんに使ったランチをいただきながら大和のお酒を味わいました。
 お店を出ると、酔い覚ましに「依水園」そのお隣の「瑜伽山園地」へ。しっとりと雨に濡れた初春の日本庭園を見て回りました。終日、晴れの日とはひと味違う奈良の街を楽しむことができました。

◇  ◇  ◇

 そんな呑気な時間を過ごしている間も、ウクライナの状況に変化はありません。停戦交渉が進んでいるようですがロシアの動きが不透明。よその国に土足で入り込んで徹底的に街を破壊しなければ気に済まないプーチン。彼はいったい何を考えているのでしょう。単なる権力欲?それとも何かに怯えている小心者?困ったものです。第三次世界大戦を避けるため西側諸国も打つ手が限られている状況のなかで、なんとか停戦合意に至ってほしいと願っています。
 そんななか時事通信は、公演を自粛していたロシアの世界的ソプラノ歌手アンナ・ネトレプコさんが、ウクライナ侵攻を非難し5月から公演を再開すると発表したとのこと。なんとも勇気ある行動です。最近こうした動きが目立ってきました。一人ひとりの反戦への意思表示が歴史を動かす原動力になろうとしています。
 ネトレプコさんといえば、15年ほど前でしょうか、デビューした頃の強烈な印象が記憶にあります。ドニゼッティ:歌劇DVD「愛の妙薬」、ヴェルディ:歌劇DVD「椿姫」、そしてCD「花から花へ」があります。今夜は、椿姫、夢遊病の女、清教徒、ランメルモールのルチア、オテロ、ジャンニ・スキッキのアリアを聴きながらのブログ更新でした。

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