心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

台風一過。芸術の秋??

2017-10-26 23:32:38 | Weblog

 台風21号が通り過ぎて数日、久しぶりに青空を見上げたような気がします。この一週間、からっと晴れることもなく、霧雨のような雨、音もなく降る雨、ざ~という単調な雨音だけれどずいぶんな雨量が降る雨、.........。外に出かけるのが億劫になる、そんな毎日が続きました。まともに朝のお散歩ができたのは2日ぐらいだったでしょうか。
 家に閉じこもっていると、心も身体も萎えてしまいます。LPレコードを聴いたり、「歩き遍路」の企画を立てたり。初めてダウンロードした「kindle」で、塩野七生さんの近著「逆襲される文明(日本人へ Ⅳ)」(文春新書)を電子書籍で読んでみたり......。そうそう、土曜日には、孫長男君のお誕生日と孫次男君の七五三のお祝いを兼ねて、盛大な(?)夕食会を開いてみたり.....。
 そんななかで最も時間を費やしたのは、この秋から始まった水彩画教室の課題作成でした。カレッジで一揃いの画材は用意していたのですが、ここに来てワンランク上のスケッチブックや筆、透明水彩絵の具などを画材専門店で品定めでした。そして、色見本や色相環、混色一覧を作ってみたりしました。近所の図書館に行って、水彩画の本を借りてきたり、Amazonから取り寄せたりして、お勉強をしました。
 頭で理解するだけではダメだろうと、庭にあるアケビの実を2個とってきて、上手下手は関係なく、とにかく絵を描いてみることにしました。ラフなスケッチをして、色を塗ってみる。...........遠くから眺めてみると、構図の取り方が雑だなあという思いが沸いてきます。それにスケッチがなっていない。色を塗り始めると、色の出し方や混ぜ具合のテクニックが身についていないので、思うように色が出せない......。
 でも、自分の弱味がなんとなく見えてきただけでも、良いことにしておきましょう。積極的に個展を開いていらっしゃる先生のご指導を受けるわけですから、そのうちに要領を得て、もう少しきちんとした絵が描けるんだろうなあと楽観するわたくしでありました(笑)。
 そうこうするうちに、カレッジ2年目のアドバンス講座が始まりました。今週の授業は音楽。テーマは「連弾の愉しみ~ドビュッシー:ピアノ連弾のための<小組曲>」でした。お二人の連弾奏者の方の演奏を交えて、「小舟にて」「行列」「メヌエット」「バレエ」の4曲を様々な角度から解説していただきました。
 大学の音楽教室にあるグランドピアノで演奏を聴きましたが、同じ曲をアップライトピアノでも演奏していただきました。家庭では壁際に置いているアップライトも、背面に遮るものがないとなかなか良い音が出るものです。ただ、連弾となると縦位置のアップライトは弾き難そうでした。連弾はもともと家庭でよく見られた演奏方式です。バレエやオペラの練習にも、オーケストラに代わってピアノ連弾がひと役買っているのだそうです。

 きょうの更新作業は、YouTubeからマルタ・アルゲリッチとクリスティーナ・マートンの連弾で「小組曲」を聴きながら進めています。手許にあるLPレコードのジャケットによれば、ドビュッシーは、北斎が描いた「神奈川沖浪裏」に霊感を得て、交響詩「海」を作曲したと記されています。当時のジャポニズムの影響を受けたということなんでしょうか。
 あれよあれよという間に10月も終わろうとしています。きょうは水彩画教室のあと、散髪屋さんに寄って帰りました。週末から3日間、久しぶりに島根県の田舎に帰ってきます。まずは出雲の姉の家に、そして実家に。墓参りです。帰りは、若い頃よく乗っていたように、のんびり普通列車で山陰本線、木次線、芸備線を乗り継いで伯備線の新見駅まで行き、そこで特急に乗り換えて岡山へ。そして新幹線で大阪に向かうという鉄道ファンにはたまらない楽しい列車の旅になります。過疎化のためでしょうか、このルートも今では、スムーズに繋がるダイヤは一日に1本しかありません。
 今夜、義兄から電話がありました。久しぶりの帰省を皆んなが心待ちにしている様子でした。考えてみると、ずいぶんご無沙汰をしていたことになります。週末、台風22号が近づいています。うまく交わしながら行ってまいります。(笑)

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紅葉のカナダ・アメリカ旅行(その2)

2017-10-18 22:49:02 | 旅行

 一カ月間のお休みも終わり、きょうカレッジのアドバンスコース開講式がありました。休憩時間には休み中の話題で盛り上がりましたが、同じ班の女性が来秋アメリカ東海岸にでかけるのだと。レンタカーで紅葉のカナダにも足を延ばしてみたいけど、どうだった?と。異常気象続きなので、天候をよく確かめて日程を決めた方が良いかもとアドバイスしておきました。 
 海外旅行から帰って以後、日本では毎日のように雨が降っています。気温も下がり11月下旬の寒さですが、カナダの紅葉はその後どうなったのでしょうね。ガイドの方がおっしゃっていました。ことしはインデアンサマーだったと。インデアンサマー?。秋になっても晴天が続き気温の高い日が続くことの意味だそうです。紅葉が例年になく遅れている一因のようでした。むかしアメリカ・インディアンたちがこの時期を利用して冬のために収穫物を貯蔵する作業をしたことが語源のようですが、その土地土地の歴史と文化を思います。
 あっという間に過ぎ去ったカナダ・アメリカ旅行でしたが、いろいろ気づいたこともありました。まずは「国境」の存在。島国育ちの私にとって馴染みの薄いことですが、近年のテロ対策のためでしょうか、以前に比べてずいぶん強化されています。セキュリティチェックも、空港だけでなく展望台など人の多く集まる場所では厳重を極めました。
 空港での出入国手続きは簡素化され、端末の画面で言語を日本語に選択すれば、写真撮影はあるものの比較的スムーズに進みます。厳しかったのはモントリオールからボストンに向かうとき。アメリカへの入国手続きは厳重でした。バスツアーであっても、バスを降りて一人ひとり拳銃を腰に携えた入国管理官のチェックを受け、両手の指紋をとられ、顔写真を撮影される。お国柄の違いを強く感じたものでした。
 国旗に対する考え方も、日本とはずいぶん違います。車窓を眺めていると、誇らしげにはためくカナダの大きな国旗に出会います。日本ならどうでしょう?。大きな日の丸が至る所ではためいている風景は、ちょっと考えられません。妙な先入観があるのかもしれませんが、「戦争」「右翼」そんなイメージが付きまといます。歴史的な経緯の違いなんでしょう。自分の国の国旗を誇らしげに掲げることに、ある種の羨ましさを感じたものでした。
 カナダもアメリカも多民族国家です。ヨーロッパ系の移民が多かったためか、旗には、それぞれの民族の融和を表すシンボルとして機能している面もあります。市庁舎に掲げられたモントリオール市の旗は、フランスの「アイリスの花」、イギリスの「バラの花」、スコットランドの「アザミの花」、アイルランドの「三つ葉のクローバー」をあしらったものでした。最近、真ん中に先住民の方たちを表す「松の木」を配するデザインに変わりました。建国の精神を大事にして多民族国家としての意思をカタチで示しています。
 カナダもアメリカも、国旗は何度か手が加えられて今日に至っています。多様性と柔軟性は、ある意味で同義語なんでしょう。日の丸も憲法も、時代に即した対応が求められているのかもしれません。いま、衆議院選挙の真っ最中です。右と左と中道。さあて、どうなるのでしょうね。カナダでもケベック州議会の補欠(?)選挙が行われていて、モントリオールの街には所々にポスターが掲出してありました。
 さてさて、今回のツアーのひとつの目玉は、ニューヨークのメトロポリタン美術館でした。過密なスケジュールながら、2時間半ほどの間、日本語の案内パンフレットを片手に見て回りました。といっても、全部を見るには時間が足りません。ヨーロッパ絵画、アメリカ美術を中心に見て回りました。
 驚いたことに、メトロポリタン美術館では、フラッシュをたかない限り写真撮影はOK。感動をそのまま写して持って帰ることができました。日本の美術館とはずいぶん違います。館内はWiFiが利用でき、Metアプリをダウンロードして館内案内を見ることもできます。 そういえば、アメリカ美術コーナーの一画に、帝国ホテル(東京)を設計したフランク・ロイド・ライトを称える一画がありました。春先に見学したライト様式の旧甲子園ホテル(現武庫川女子大学甲子園会館)を思い出しました。
 8月末に東京都美術館でボストン美術館展を観たばかりですから、ことしはアメリカの二大美術館を観たことになります。帰り際ギフトショップで、グスタフ・クリムト絵画「接吻」のジグソーパズル(1000ピース)を買って帰りました。ただいま家内が悪戦苦闘中です。(笑)

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紅葉のカナダ・アメリカ旅行(その1)

2017-10-13 14:04:08 | 旅行

 夕刻、重たいスーツケースを引きずりながら家に帰ると、生垣のキンモクセイの香りがあたりに充満していて、やっと我が家に帰ったことを実感しました。
 10月初め、trapics企画の「紅葉のカナダ・アメリカ9日間」に出かけてきました。私にとっては、紅葉もさることながら、カナダはトロントで生まれ育ったピアニストのグレン・グールドの国であり、アメリカは「ウォールデン~森の生活」「歩く」を著したヘンリー・デイヴィッド・ソローが生まれ育った国、マサチューセッツ州はボストン郊外のコンコードであることにも、幾何かの思い入れがありました。
 もう少し欲張った言い方をすれば、マサチューセッツ州は同志社大学を創設した新島襄が学んだボストン郊外のアマースト大学(アーモスト大学)のあるところであり、少し離れたミシガン州のランシング、アナーバーには南方熊楠が一時期滞在したところでもあります。ツアー旅行ですから、現地を直接訪ね歩くことはできませんが、ボストンの街の空気を全身で感じた旅でした。
 10月2日、関西国際空港からバンクーバーを経由してトロント空港に降り立った私たちは、その足でナイアガラのホテルに直行しました。翌日、ナイアガラの滝を観光したあと、オンタリオ湖を時計周りにトロントを経由してベルビルに移動。その翌日、紅葉で有名なローレンシャン高原へ。という次第で、グールドの生きた街トロントはバスの車窓から眺めただけでしたが、DVD「グレン・グールド~天才ピアニストの愛と孤独」に登場する紅葉のメープル街道の景色を、車窓から眺めることはできました。
 今回のツアーは昨年参加の予定でしたが、紅葉の時期を逸していたので、今年は早めに申し込んでいました。ところが、今年は暑い夏が続き例年よりも紅葉が遅れ気味、というよりも紅葉の前に枯れてしまわないかと心配する向きもありました。メープルの紅葉の”赤さ”ではカナダ随一といわれるローレンシャン高原も、紅葉の一歩手前といったところでした。訪れた日はあいにくの雨模様で、写真で見るような色鮮やかな景色は望めませんでしたが、ゴンドラに乗ったり、モン・トランブラン村を散策したりしました。
  モントリオールに連泊して、旧市街地やノートルダム大聖堂などを見て回りました。ケベック市では、セント・ローレンス川を見下ろすテラス・デュフラン、プチ・シャンプラン通りなど、フランス風の街並みを楽しみました。いずれも美しい街でした。
 モントリオールからボストンに向かう街道沿いの紅葉は、まさにこれからといったところでしょうか。その道中、だだっ広い農園風景、森と湖の風景が広がっていて、どう見ても「ウォールデン~森の生活」の舞台になっただろう風景が広がっています。豊富な水にも恵まれ、至る所に川や湖が点在していました。ことしはソロー生誕200年を迎えますが、当時アメリカはイギリスから独立して日も浅い頃でした。

 バスの走行距離約500キロ。高い山は見当たらず、延々と続く森と地平線。午後2時過ぎにボストンの街に滑り込みました。ソローが卒業したハーバード大学などを見学しました。
 翌日は朝7時30分にホテルを出て、ニューヨークに向かいました。こちらは約380キロの走行距離。到着すると、昼食の後メトロポリタン美術館や五番街、タイムズスクエアなどを見学し、夜にはマンハッタン夜景観賞ツアーにも参加してニューヨークの街を楽しみました。翌日は、ワールドトレードセンター、グランドゼロ、リバティー島、ウォール街などを見学したあと、その足でバンクーバーに移動して1泊。そして帰国の途につきました。
 今回のバス走行距離は約2千5百キロという驚異的なものでした。その間、グレン・グールドが奏でるピアノ曲を聴きながら、車窓に流れる北米の風景を存分に楽しみました。この時期の海外旅行ツアーは初めてでしたが、参加者の大半はシニア世代。ほぼ同世代のご夫婦が多かったように思います。
 紅葉をテーマにざっとツアーの流れをご紹介しました。次回は、ニューヨークのメトロポリタン美術館など個別の視点から若干の補足をしたいと思っています。

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中之島文楽を楽しむ

2017-10-01 13:53:02 | Weblog

 歩き遍路の後も、今週はなにやかやと出かけております。一昨日は夕刻、大阪市中央公会堂で開かれた「中之島文楽」(大阪市・文楽協会共催)にでかけてきました。文楽ビギナーを対象にしたプログラムで、第一部は文楽入門トーク、第二部は「冥途の飛脚(道行相合かご)」と「ひらかな盛衰記(逆櫓の段)」の二曲。三味線にあわせた太夫の謡いと人形浄瑠璃を楽しみました。
 そのうち「冥途の飛脚」の舞台は、現在の御堂筋沿いの淡路町で、舞台の背景には生駒の山並みと大阪平野が描かれていました。今はビルが建ち並んでいますが、昔の大阪はおそらく山裾まで田畑が広がっていたんだろうと思います。そんな舞台を見つめていたら、先日歩いた徳島の田園風景が浮かんできました。人の「情」を演ずる文楽の世界がぐっと迫ってきました。
 この日は終演後、エントランスでお人形さんのお見送りを受けました。
 そして昨日は、中之島の朝日新聞社で関西スクエア賞受賞記念講演会があり、神戸女学院の河西秀哉先生と小説家・玉岡かおるさんのトークに耳を傾けました。「天平の女帝 孝謙称徳」に続いて、その前日に「花になるらん―明治おんな繁盛記―」を出版されたばかりの玉岡さんの、いつものとおり歯切れよいお話に、ついつい聴き入ってしまいました。こうして著者の肉声に触れることで、作品を立体的に受け止めることができます。
 休憩時間に窓の外をみると、目の前に玉岡さんの小説「負けんとき~ヴォーリズ満喜子の種まく日々」に登場する大同生命の本社ビルが聳えていました。以前、その2階にある展示室で「大同生命の源流"加島屋と広岡浅子"」を覗いたことがあります。
 ということで、気がつけば早や10月、今年もあと3カ月となりました。そしてわたしは明日から少し遠出をしてきます。そのため、ブログの更新は2週間ほどお休みをいただきます。過ごしやすい季節を迎えて、あっちに行ったりこっちに行ったり。ひとつの所にじっとしていられない落ち着きのなさは、当分治りそうもありません(笑)。

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