心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

歴史の重さ

2005-04-24 00:30:45 | 旅行

 先週、仕事で韓国に出張しました。お隣の国なのに、私にとっては初めての訪問でした。着いた日には、日本より数日遅れで桜の花が満開、レンギョウやツツジの花が咲き乱れる春爛漫の穏やかな陽の光が出迎えてくれました。残念ながら、トップに同行した出張でしたから、基本的に自由な時間はありません。それでも、隙間時間を見つけては独りソウルの街に飛び出して、異国の空気を楽しみました。
 ソウルは、韓国の人口の4分の1が集中する巨大都市とあって、街全体に活気があり、明洞通りは昼間から大勢の若者たちで賑わっていました。テジョンにも足を伸ばしました。政府機関のソウル一極集中を是正するために一部の機関が移るとあって、ここも建設ラッシュでした。高度成長期の日本の勢いを思わせました。新幹線以外は車で移動しましたので、ときどき寄り道して史跡を訪ねることはできました。と言っても、さすがに”冬のソナタ”ロケ地観光をするわけにはいきません。ソウル市内の由緒ある王宮跡、百済王(武寧王)古墳、水原華城などを見て回りました。
 韓国は「近くて遠い国」と言われます。でも、韓国の歴史を辿っていくと決して遠い国ではないことを実感しました。折りしも、竹島問題、教科書問題で揺れ動く日韓関係。CNNニュースは連日、中国の反日デモを放映していました。あるセレモニーで長老が「兄弟」「親子」という言葉で日韓の関係を表現されたことを印象深く聞きました。
 3泊4日の駆け足訪問でしたが、仁川空港から関西空港に向かう機内で、私はベルリーニの歌劇「ノルマ」(紀元前に帝政ローマ帝国の支配下にあったガリア人の反ローマの戦いを描いたもの)を聞いて時間を過ごしました。上空から韓国の国土を眺めながら、日韓に横たわる歴史の重さを考えたものです。

コメント

グスタフ・マーラーの世界

2005-04-10 10:38:20 | Weblog
 この春から、土曜日の午前、某大学の公開講座「経営学特論」を聴講することにしました。その第一講が昨日ありました。学者と実務家によるオムニバス形式の講義ですが、このあたりでいちど体系的に頭の整理をしておくにはもってこいのプログラムです。とは言え、講義が終わると職場に一目散。土曜日だというのに昨日の午後は夕刻までにふたつの会議をこなす過密ぶりでした。そんなわけで、週末に楽しみにしている中古レコード店に寄り道することができなかったので、近所のビデオショップでケン・ラッセル監督の『マーラー』を借りてきて週末の夜長を楽しみました。
 わたしがマーラーに初めて出会ったのは高校1年生の頃でした。最初はあまり好きになれなかった交響曲第4番をずいぶん長い間、引きずって歩いていた記憶があります。大学に進学すると、大学紛争の真っ只中でした。見るもの聞くもの新しいものばかり。でも、心のどこかに隙間風のようなものを感じながら過ごした大学生活でした。「行け行けどんどん」の裏側で、時代への不安感、焦燥感が見え隠れし、一方では幼稚性への回帰、純粋世界への憧れ、自然回帰を意識していく。そんな、なんとも捉えようのない私の心に冷静さを呼び戻してくれる曲。それが、私にとってのグスタフ・マーラーの世界でした...。
 ちなみに、公開講座「経営学特論」のサブタイトルは『元気の出る経営学』でした。教授方と何気なくお話をさせていただいた際に思いついた、私の思いを汲んで命名していただきました。これもまた楽し。肩の力を抜いて物事を眺めれば、また別の新しい世界が見えてきます。生きることの楽しさを思います。今朝は、ズービン・メータ指揮のマーラー「交響曲第3番ニ短調」を聴きながら記事を書きました。
コメント

西本智実&ゲルハルト・オピッツ

2005-04-03 15:49:16 | Weblog
“西本智実指揮の「ボレロ」DVD”の記事に、SamuelさんとWacさんのお二人からコメントをいただきました。そして、コンサートへも足を運んではとのお薦めをいただきました。というわけで、きのう仕事帰りに寄り道をして、5月10日のチケットを買い求めました。S席が僅かに残っているほどの盛況ぶりのようでした。『西本智実&ゲルハルト・オピッツ』(ザ・シンフォニーホール)です。曲目は、ベートーヴェン:シュテファン王序曲作品117、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」変ホ長調作品73、チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」ロ短調 作品74。ゲルハルト・オピッツさんのピアノ独奏、関西フィルハーモニー交響楽団。指揮はもちろん、西本智実さんです。初めてお目にかかることになります。昨夜、改めてDVD「ボレロ」を観ました。いまから楽しみです。
 コンサートは久しぶりです。昨年は同じ5月にヴァイオリニスト諏訪内晶子さんのコンサートに行きました。あと、9月にもう一度諏訪内さんの演奏会。そして年末には、歌劇「ドン・ジョヴァンニ」を楽しみました。ほかに2回ほどチケットを手にしましたが、残念ながらプレゼントする羽目に。今は、コンサート当日に急な仕事が入らないことを祈るだけです。
コメント