心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

都会の喧騒の陰にひっそりと佇む歴史遺産を訪ね歩く

2019-06-12 19:41:04 | Weblog

 関東地方は梅雨入りしましたが、関西地方はお預けのようです。雨が降りそうで降らない。そんな日は、お家でおとなしくしているのが一番です。花壇のお手入れをしたり、本を読んだり、LPレコードを聴いたり....。

 そうそう、秋田麻早子さんの「絵を見る技術~名画の構造を読み解く」を読んでいたら、急に絵が描きたくなりました。画材にしたのは、庭の紫陽花の花。ひと花を摘んで大きなコップに挿して、さあどう描こう。フォーカルポイント、リーディングラインなど覚えたての言葉を思い浮かべながら、グレン・グールドのピアノ演奏をBGM替わりに、画用紙に向かいました。
 まだまだ制作途上ですが、やっと紫陽花の花が見えてきました。朝の陽が小窓のブラインド越しに映ります。さあて、紫陽花の在り様をどう表現しよう。背景をどうする。テーブルはどうする。きょうはお出かけのあと、天王寺の画材屋「KAWACHI」さんでvifArt水彩紙(F4サイズ/荒目)を買って帰りました。
 ここ数日、なんとなくゆったり感のある日々を過ごしましたが、そんな中でも2回ほど街歩きをしました。校外学習の一環で、午前中の授業のあと午後から近松文学ゆかりの地を巡りました。ご案内いただいたのは、大阪観光ボランティアガイド協会さんでした。大阪駅前を出発して、太融寺、お初天神(露天神)、曽根崎川跡(蜆川)、堂島薬師寺、浄祐寺などを見て回りました。
 お初天神といえば、近松門左衛門の代表作「曽根崎心中」の舞台、西成郡曽根崎村の露天神の森で情死した物語、人形浄瑠璃で有名です。都会の片隅に佇むそんなお初天神にお参りをしました。境内には至る所に天満屋の女郎「お初」と醤油商平野屋の手代「徳兵衛」の像やパネルが飾られています。かつて永年の愛を誓い合ったこの地は、強い絆で結ばれたいという縁結びの神さまとして参拝客が絶えません。
 御堂筋を淀屋橋方面に南下していくと、ビルの片隅に小さな「蜆橋(しじみはし)」の碑がありました。昔、このあたりに曽根崎川(通称「蜆川」)が流れていたのだそうです。明治初期の大火で瓦礫の山となった川が埋め立てられた後には、いま、大阪きっての歓楽街「北新地」があります。昔、堂島川と曽根崎川に挟まれた島、それが現在の「堂島」の地名の元になっているのだそうです。
   そんな小さな川沿いに「お初」と「徳兵衛」は手を取り合って逃げてゆき、最後に心中してしまう、なんとも悲しい物語ですが、当時は町はずれの湿地帯に過ぎなかった曽根崎村も、いまでは高層ビルが立ち並んでいます。
 もうひとつの街歩きは、課外活動の一環として訪ねた神戸の元町、旧居留地界隈です。心配された雨も午前中の比較的早い時間にあがり、街歩きにはちょうど良いお天気でした。こちらもボランティアガイドさんのご案内で神戸の歴史を体感しました。
 街には、それぞれの歴史があり、顔があります。いやいや街の「心」があります。両日とも、ガイドさんも受講生も、みな元気なシニア世代です。教えあい、学びあう、高齢社会のひとつのモデルかもしれませんね。

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