與那覇潤『中国化する日本―日中「文明の衝突」一千年史』(文藝春秋)、読了。
読了直後は学校で私の受けてきたアジア史と日本史とヨーロッパ史の授業内容などクイズ用のただの暗記であったこと、中国の宋の時代について深く考えたことがなかったこと、個人的な江戸時代懐古趣味に対してガツンとやられてショックだったのは事実だ。その割には著者の表現が読者が目を逸らしがちな苦々しいところを容赦なく衝いて来る毒にも薬にもなる笑えるものであったことに、溜飲が下がった気にもなった。もちろん普段から新聞も本もきちんと読んでいないことを自覚させられた面もあるので腹が立ったことも確かだ。
国の財政・屋台骨を支える日本にやってくる移民の人々の割合が格段に増えることを指摘した章などは、極端な話「今から学校であらゆる国の言語や文化に対して抵抗のない意識を育て、移民の人々と付き合っていく心構えの有無」を問うものだと感じた。
この本を通じておもしろい出来事があった。某カフェにて、本を読み終え感想を頭の中でああでもないこうでもないと練っている時に、店に入って来た初対面の大学院生から声をかけられるという僥倖があった。この本と與那覇氏のその後の著書や與那覇氏ご本人のことについて教えてくれた。会話が弾み、その中でこの本の私なりの感想がおもしろい方向に変わっていくのは稀有な体験だった。私は與那覇氏のその後の著書を読んでから、もう一度『中国化する日本』について考えることになるだろう。