デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



藤井省三『魯迅と紹興酒―お酒で読み解く現代中国文化史』(東方選書)、読了。

偶然、書棚で見かけて手にとった本だったが、この本と出会えて非常に幸運だったように思う。いまやネットやスマホの発達で、良質かつ読んでいてこちらがドキドキするような旅行記を目にすることは容易になったが、かつての旅先で現地で体験したことに触れている小説や本、既に旅の経験がおありの方と直に出会えることはまれなことではないか、と、特に最近そういう気がしているのだ。
そういう気分の時に酒をテーマにしている本となれば、より一層味わい深い本だなぁ、と読了してしみじみした気分になるものだ。実際、小説に出てくる酒の話のみならず、いくつかの中国文学作品で見られるすさまじいまでの酒宴の場面の紹介は読者を作品へといざなう魅力に満ちている。
また研究を通じて外国の研究者と交流しその酒宴のエピソードもとてもおもしろい。酒宴の形式や様相が時代によってうつろいゆくさまは藤井氏でなければ書けないだろう。長年の蓄積、醸成されたものの格別な味わいの漂っている感じが読んでいてたまらないものがある。
これからは旅先でしか味わえない缶ビールや特産の酒にもその土地や生産者ならではの歴史が詰まっていることに思いを馳せつつ、お酒を楽しみたく思った。


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