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福岡高裁、諫早湾干拓における国の制裁金抗告を棄却

2014-06-07 13:46:32 | Weblog
2014.6.7(土)
 福岡高裁は6日、国営諫早湾干拓事業の開門調査をしない国に制裁金の支払を命じた佐賀地裁の決定を不服として国が申し立てていた執行抗告を棄却した。
 国は11日までの開門には応じられないとしていることから、制裁金支払義務が12日から生じることがほぼ決定的となった。
 これより先の6月4日には、開門差し止めを命じた長崎地裁仮処分決定を守らせるため、開門したら営農者らに1日、49万円の制裁金を支払うよう長崎地裁が決定したばかりであった。
 仮に12日から開門するまで漁業者49人に対し、一人1日当たり1万円の支払いをすると、月額約1500万円、年間で約1億8000万円の税金が投入されることとなる。
 漁業者側弁護団によると、支払われた制裁金は基金を設けてプールする方針といい、漁業者個人は受け取らないとしている。ただ国が支払わない場合は「首相の椅子や首相官邸の金庫を差し押さえる」と言いながら「開門を迫るのが目的で、制裁金を得るのが目的ではない」と強調している。
 戦後の食糧難を解決するための方策として大規模な諫早湾干拓事業がはじめられた。営農者の農地は確保したが、水の流れがせき止められたことによる諫早湾の環境破壊は漁業者の生活権を奪い、漁民と農民との間に埋められない溝をつくった。国や長崎県などの強権的で一方的な事業の推進が裁判にまで影響し、開門の賛成派(漁業者)と反対派(営農者)を右往左往させてきた。
 佐賀地裁と長崎地裁の正反対の判決に今回の高裁判決は一応の決着をつけたが、国はなお開門するつもりはない。行政の失敗から年間1億8000万円もの税金が無駄に使われることになるが、一旦決めたことには環境の変化や時の流れに逆らってでも改めようとしない行政の体質は相変らず頑強である。

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