2016.11.27(日)
1959年のキューバ革命を主導し、反米勢力のカリスマとして世界に強い影響を与えたフィデル・カストロ前国家評議会議長が25日、死去したと公表された。享年90歳。
カストロ氏は1953年、親米バティスタ政権の打倒を目指し、一時失敗もあり亡命する危機もあったが、弟のラウル.カストロ氏やアルゼンチン人のチェ・ゲバラ氏らとともにその後もゲリラ戦などの活動をつづけ、1959年1月にキューバ革命を実現させた。そして1961年には米国と断交し、社会主義政権を樹立した。
このころ日本では、岸内閣の進めるアメリカとの安全保障条約改定に反対する大闘争(60年安保)が展開されており、学生、労働組合だけでなく一般国民も参加する一大闘争が繰り広げられていた。安保闘争はこのキューバ革命に刺激され、特に学生たちに勇気を与えたものであったことを記憶している。
カストロ氏は強硬路線で社会主義政策を推進し、ときに自由主義を脅かす存在と目されて自由主義諸国からは独裁者呼ばわりされたが、キューバ国民にとってはアメリカの植民地状態から解放した国民的英雄であった。
カストロ氏は社会主義の理想として、教育と医療の無料化で高い識字率と長い平均寿命を実現、人種差別や犯罪率の低い国家を導いたとされる。
しかし大きな負の部分もあった。旧ソ連との関係を深め、1962年にはソ連製の核ミサイルの受け入れを決断し、米ソ核戦争の瀬戸際に立たせる「キューバ危機」を招いた。またソ連の崩壊後は、経済政策が行き詰まり国民生活を窮迫に陥れる時期もあった。
カストロ氏は2003年3月、広島を訪れている。慰霊碑に献花して「このような野蛮な行為を決して再び犯すことのないように」と芳名録に記入したという。
カストロ氏は高齢を理由に2008年に国家評議会議長を退き、弟のラウル氏に委譲した。
昨年7月、キューバは約半世紀ぶりに米国と国交を回復し、オバマ大統領は今年3月にキューバを訪問している。
しかし気になるのは、次期米大統領となるトランプ氏の姿勢である。早くも経済制裁を緩和してきたオバマ政権にトランプ氏は「オバマ氏が大統領権限でやってきたことは、次期大統領が撤回できる」と指摘し、キューバの姿勢いかんでは再び強硬姿勢に転ずる恐れもある。
政権を引き継いだラウル氏は「社会主義は維持する」としつつ、経済改革を推進するとしており、社会主義経済下で困窮する国民の不満をどこまで改善できるか予断を許さない。
1959年のキューバ革命を主導し、反米勢力のカリスマとして世界に強い影響を与えたフィデル・カストロ前国家評議会議長が25日、死去したと公表された。享年90歳。
カストロ氏は1953年、親米バティスタ政権の打倒を目指し、一時失敗もあり亡命する危機もあったが、弟のラウル.カストロ氏やアルゼンチン人のチェ・ゲバラ氏らとともにその後もゲリラ戦などの活動をつづけ、1959年1月にキューバ革命を実現させた。そして1961年には米国と断交し、社会主義政権を樹立した。
このころ日本では、岸内閣の進めるアメリカとの安全保障条約改定に反対する大闘争(60年安保)が展開されており、学生、労働組合だけでなく一般国民も参加する一大闘争が繰り広げられていた。安保闘争はこのキューバ革命に刺激され、特に学生たちに勇気を与えたものであったことを記憶している。
カストロ氏は強硬路線で社会主義政策を推進し、ときに自由主義を脅かす存在と目されて自由主義諸国からは独裁者呼ばわりされたが、キューバ国民にとってはアメリカの植民地状態から解放した国民的英雄であった。
カストロ氏は社会主義の理想として、教育と医療の無料化で高い識字率と長い平均寿命を実現、人種差別や犯罪率の低い国家を導いたとされる。
しかし大きな負の部分もあった。旧ソ連との関係を深め、1962年にはソ連製の核ミサイルの受け入れを決断し、米ソ核戦争の瀬戸際に立たせる「キューバ危機」を招いた。またソ連の崩壊後は、経済政策が行き詰まり国民生活を窮迫に陥れる時期もあった。
カストロ氏は2003年3月、広島を訪れている。慰霊碑に献花して「このような野蛮な行為を決して再び犯すことのないように」と芳名録に記入したという。
カストロ氏は高齢を理由に2008年に国家評議会議長を退き、弟のラウル氏に委譲した。
昨年7月、キューバは約半世紀ぶりに米国と国交を回復し、オバマ大統領は今年3月にキューバを訪問している。
しかし気になるのは、次期米大統領となるトランプ氏の姿勢である。早くも経済制裁を緩和してきたオバマ政権にトランプ氏は「オバマ氏が大統領権限でやってきたことは、次期大統領が撤回できる」と指摘し、キューバの姿勢いかんでは再び強硬姿勢に転ずる恐れもある。
政権を引き継いだラウル氏は「社会主義は維持する」としつつ、経済改革を推進するとしており、社会主義経済下で困窮する国民の不満をどこまで改善できるか予断を許さない。