2010.1.31
NHKが毎週金曜日の夜8時から東海、北陸の話題を取り上げ、現在は内多勝康キャスターが進行役をしている『金とく』という番組がある。
一昨日29日の『金とく』は、愛知県の豊川河口にある六条干潟を取り上げていた。干潟は主な河口には全国どこにでも存在するものであり、名古屋市民にとっては藤前干潟がよく知られている。藤前干潟は世界の渡り鳥の飛来地であり、そこがゴミの埋め立て地として利用されようとしたことから話題になったからである。結局、環境保全という時代の流れから保全されることとなった経緯がある。
干潟は、長い年月をかけて砂泥が堆積した場所で、多くは河口付近に広がってできている。潮の満ち引きによって海水をかぶったり、干上がったりするため、また陸からは栄養素や有機物が、海からは潮の干満によってプランクトンが運ばれるため、多くの生物が発生する。ゴカイや貝、カニが育ち、これらをえさとする魚や鳥が集まる。
NHKが取り上げた六条干潟の話題は、ここがあさりの稚貝が集まってくる場所であり、愛知県内のあさり漁場のいわゆる苗場になっているということであった。稚貝がここへ集まってくるメカニズムはよく分からないそうであるが、貝にとって住み心地がよいのであろう。愛知県があさりの生産全国一を支えている基盤がここにあり、まさに「あさりを育む里海」と呼ばれるにふさわしい干潟である。
六条干潟は愛知県管理の干潟だそうであるが、日本の高度経済成長が始まった1965年には三河湾の埋め立てが計画され、この六条干潟もその計画に組み込まれた。漁民の激しい反対運動もあったが、産業振興の流れや愛知県の強い指導力で漁民たちは漁業権を放棄せざるを得なかった。しかし、高度経済成長も長くは続かず、やがてその終焉を迎えることによって、六条干潟の埋め立ては頓挫してしまった。六条干潟にとっては幸いなことであった。
しかし、六条干潟にとって懸念すべきことが二つある。
一つはこの『金とく』の放送の中で、愛知県が六条干潟の周辺に新たな島をつくる計画を持っているということが明かされたことである。このことは我々一般人が知らないだけで知る人ぞ知っていることかもしれない。所管はどうやら愛知県企業庁らしいから、またぞろ企業誘致のための用地造成ということであろうか。今年の秋には、生物多様性のあり方を議論する国際会議C O P10が名古屋市で開かれようとしているこの時代に、一体県の幹部は何を考えているのであろうか。副知事や知事だって知らないはずはない。貴重な自然環境を守ることが今こそ役所の果たすべき役割であるというのに、それを破壊してしまおうというのだから全く信じられない。海を埋め立てるなど今どきどんな理由があろうとも許されない。
いま一つはこの六条干潟のある豊川の上流50キロ地点に設楽ダムが建設されようとしていることである。
昨年10月19日付けの当ブログでは、ダム推進派の町長が当選してしまったことを書いたが、民主党政権はダム建設の見直しを表明している。先行きは不透明であるが、もし建設されれば山の砂を豊川を通じて運んできて、六条干潟をつくってきた環境に影響がないとは到底言えない。
昨年暮れ、愛知県漁連は設楽ダム工事事務所にダムによる影響の調査を申し入れたそうだが、そもそも国はダム建設による六条干潟への影響のアセスメントさえ実施していない。
愛知県人は日本一あさりに恵まれ、食材の一つとしても好まれている。また、潮干狩り場も至るところにあり、レジャーに大きく貢献している。いまやそれが大きな危機に瀕しているといわねばならない。
NHKが毎週金曜日の夜8時から東海、北陸の話題を取り上げ、現在は内多勝康キャスターが進行役をしている『金とく』という番組がある。
一昨日29日の『金とく』は、愛知県の豊川河口にある六条干潟を取り上げていた。干潟は主な河口には全国どこにでも存在するものであり、名古屋市民にとっては藤前干潟がよく知られている。藤前干潟は世界の渡り鳥の飛来地であり、そこがゴミの埋め立て地として利用されようとしたことから話題になったからである。結局、環境保全という時代の流れから保全されることとなった経緯がある。
干潟は、長い年月をかけて砂泥が堆積した場所で、多くは河口付近に広がってできている。潮の満ち引きによって海水をかぶったり、干上がったりするため、また陸からは栄養素や有機物が、海からは潮の干満によってプランクトンが運ばれるため、多くの生物が発生する。ゴカイや貝、カニが育ち、これらをえさとする魚や鳥が集まる。
NHKが取り上げた六条干潟の話題は、ここがあさりの稚貝が集まってくる場所であり、愛知県内のあさり漁場のいわゆる苗場になっているということであった。稚貝がここへ集まってくるメカニズムはよく分からないそうであるが、貝にとって住み心地がよいのであろう。愛知県があさりの生産全国一を支えている基盤がここにあり、まさに「あさりを育む里海」と呼ばれるにふさわしい干潟である。
六条干潟は愛知県管理の干潟だそうであるが、日本の高度経済成長が始まった1965年には三河湾の埋め立てが計画され、この六条干潟もその計画に組み込まれた。漁民の激しい反対運動もあったが、産業振興の流れや愛知県の強い指導力で漁民たちは漁業権を放棄せざるを得なかった。しかし、高度経済成長も長くは続かず、やがてその終焉を迎えることによって、六条干潟の埋め立ては頓挫してしまった。六条干潟にとっては幸いなことであった。
しかし、六条干潟にとって懸念すべきことが二つある。
一つはこの『金とく』の放送の中で、愛知県が六条干潟の周辺に新たな島をつくる計画を持っているということが明かされたことである。このことは我々一般人が知らないだけで知る人ぞ知っていることかもしれない。所管はどうやら愛知県企業庁らしいから、またぞろ企業誘致のための用地造成ということであろうか。今年の秋には、生物多様性のあり方を議論する国際会議C O P10が名古屋市で開かれようとしているこの時代に、一体県の幹部は何を考えているのであろうか。副知事や知事だって知らないはずはない。貴重な自然環境を守ることが今こそ役所の果たすべき役割であるというのに、それを破壊してしまおうというのだから全く信じられない。海を埋め立てるなど今どきどんな理由があろうとも許されない。
いま一つはこの六条干潟のある豊川の上流50キロ地点に設楽ダムが建設されようとしていることである。
昨年10月19日付けの当ブログでは、ダム推進派の町長が当選してしまったことを書いたが、民主党政権はダム建設の見直しを表明している。先行きは不透明であるが、もし建設されれば山の砂を豊川を通じて運んできて、六条干潟をつくってきた環境に影響がないとは到底言えない。
昨年暮れ、愛知県漁連は設楽ダム工事事務所にダムによる影響の調査を申し入れたそうだが、そもそも国はダム建設による六条干潟への影響のアセスメントさえ実施していない。
愛知県人は日本一あさりに恵まれ、食材の一つとしても好まれている。また、潮干狩り場も至るところにあり、レジャーに大きく貢献している。いまやそれが大きな危機に瀕しているといわねばならない。