名古屋から発するブログつぶて・凡人のひとりごと

身の回り、世間のできごとをを日記風に記す(紙つぶてならぬブログつぶて)。

「在日韓国・朝鮮人を殺せ」と叫ぶ過激な日本人

2013-03-30 09:58:20 | Weblog
2013.3.30(土)
 今朝の中日新聞に驚くべき記事が出ている。韓国・朝鮮人を嫌う日本人が「朝鮮人ハ 皆殺シ」「韓流追放」「殺せ」「たたき出せ」「ごきぶり」などとこれ以上ない侮蔑的なシュプレヒコールを繰り返してデモを行っているというのだ。
 3月17日(日)午後、東京・新大久保のコリアンタウンを日章旗などを手にした数百人のデモ隊が大通を練り歩いた。「在日特権を許さない市民の会」(在特会)が主催する「春のザイトク祭り 不逞朝鮮人追放キャンペーン デモ行進in新大久保」というものだそうである。
 驚くべき事実である。こんな連中はもう気が狂ったとしか言いようがない。記事によると、見かねた人たちが沿道で「(在日コリアンと)仲良くしよう」「日本の恥」と書かれたプラカードを掲げ、抗議の意思表示をしているとも伝えている。
 こうした特定の人種や民族を侮蔑、攻撃する表現は「ヘイトスピーチ(hate speach=憎悪表現)」と呼ばれ、海外では法的な規制もあるが、日本にはないという。さすがに一部の国会議員から問題視する声が出始めている。
 民主党の有田芳生参院議員らは「嫌韓デモ」に抗議する集会を14日、参院議員会館で開いている。その決議文は「在特会」などの主張は「殺人教唆ともいうべき内容で、表現の自由の一線を越えた悪質な扇動にほかならない」と抗議している。
 在特会のホームページによると、会員は全国に1万2千人以上いるといい、「嫌韓」デモは数年前から各地で実施され、最近では「殺せ」「毒飲め」といった言葉が出るほどエスカレートしている。
 恐るべき事実である。戦争が終わって68年、こんな組織が生まれ身近なところで蠢いているかと思うと戦慄する。軟弱な若者も情けないが、こんな組織に取り込まれていく若者はもっと怖い。「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉が頭をよぎる。

全身の発疹に悩む

2013-03-29 10:14:32 | Weblog
2013.3.29(金)
 3月27日~28日にかけてつれあいと何年ぶりかで下呂温泉に行った。温泉につかれば1年来続いている腰痛にも何らかの効果があるかもしれないとの藁をも掴む気持ちもなかったとは言えない。
 27日の午後、特急<飛騨号>で出かけ、午後4時にはYホテルへ到着した。早速、夕食前に大浴場につかったが、ここの温泉は湯はきれいなアルカリ単純泉で気持ちがよい。早めということでまだお客も少なく、広い大浴場をほとんど独り占めという贅沢さである。
 夕食は6時からお願いしたが、和食の会席料理である。ふつうの日本料理であるが、場所がらか飛騨牛のすき焼きがついていた。
 その後9時半ごろ、2回目の温泉に30分ほどつかったあと、午後11時前には眠りについてしまった。
 午前2時ごろだったであろうか、体のあちこちが痒くてたまらなく、浅い眠りのまま過ごしたが、午前4時半ごろ3回目の温泉につかった。早い時間であったが、すでに数人の客が入っていた。
 衣類を脱いでここで始めて気付いた。全身にじん麻疹というか赤くはれた発疹が発症していた。これは痒いはずである。お湯には5分ほど浸かっただけで出たが、日が明けてくるに従って発疹のはれはひどくなり、痒みもました。
 心配した連れ合いがホテルのフロントに病院の紹介を頼んだので、意に沿わなかったがホテルの車で下呂駅近くの下呂温泉病院に救急外来の形で受診した。
 この日の救急担当医は内科でも皮膚科でもなく整形外科医であったが、とにかく発疹を抑える注射を打ちましょう、じん麻疹、皮膚の痒みを抑える飲み薬と痒み、赤み等の症状を抑える塗り薬を処方しますからこれで対処しましょう、ということになった。
 午前8時ごろ、ホテルへ戻って軽い朝食を済ませ、飲み薬のアレグラ錠なるものを飲もうと効能書きを読んでみると、副作用として「息がしにくい、めまい、意識がなくなる、云々」などと書いてあるではないか。満々が一そんなことはないと思うが、「意識がなくなる」ことがあるかも知れないなどといわれては、その錠剤はもう飲めなくなってしまった。
 一方で、注射のせいか発疹や痒みはかなり改善されてきた。これなら大丈夫ということで、午前中は「下呂合掌村」を見学した後、特急便で午後4時半ごろには帰宅できた。
 ところがこの頃になると再び赤い発症と痒みがひどくなり、結局その夜はほとんで眠れないまま明かすことになった。発疹が現れて二日目になるが、これから改めて診療に向かわねばならない。理由が分からないで、こうした症状が出るとなんとも不安でやりきれない。

一票の格差訴訟、ついに選挙無効判決出る

2013-03-25 18:00:15 | Weblog
2013.3.25(月)
 昨年12月の衆院選をめぐり、一票の格差が2.43倍になったのは「法の下の平等を定めた憲法に違反する」として選挙の無効を求めた訴訟で、広島高裁は25日、広島1,2区について「違憲で無効」という判決を言い渡した。1962年に始まった一票の格差訴訟で、無効判決が出たのは全国で初めてである。
 一連の訴訟で、弁護士グループが全国14の高裁・支部全てで、計31選挙区を対象に提訴、3月6日の東京高裁を皮切りに札幌、仙台、金沢、高松の5裁判所で違憲判決、名古屋、福岡では違憲状態という判決が出た。しかしこれまでは、弊害が大きい場合はあえて無効としなくてもよい「事情判決」の考えを採り、違法の宣言だけであった。今回の広島高裁の判決はこれまでと異なり、一歩踏み込んだ無効判決を出したという点で画期的なものである。
 ただ、被告の広島県選挙管理委員会は上告するとみられ、最高裁で無効判決が確定しない限り当選者の失職はない。無効訴訟は選挙区ごとに起こす形式となっており、対象となった広島1区、2区のみが無効となり、他の選挙区にまでは及ばない。
 今回の広島高裁の裁判長は筏津(いかだつ)順子氏であるが、思いきった判決を出したものである。何度も憲法違反または違憲状態を出しても改めようとしない国会に対して、「堪忍袋の緒」が切れたということであろうか。
 あと、八つの裁判が明日から明後日にかけて予定されているが、どうなるのであろうか。

ついに辺野古埋め立て申請

2013-03-23 16:03:41 | Weblog
2013.3.23(土)
 米軍普天間飛行場の移設問題で、防衛省は22日、沖縄県に名護市辺野古沖の埋め立て申請をした。
 安倍首相は申請書を提出後、記者団に「普天間の固定化はあってはならない。嘉手納以南を含め、沖縄の負担軽減に全力を尽くしていきたい」と語っていたが、これは辺野古移設を受け入れなければ普天間の固定化につながると脅迫しているようなものである。
 仲井真弘多沖縄県知事は「実現可能性を抜きに実行できると思うのは、普通考えられない」と反発している。地元の稲嶺進名護市長も「憤りしかない」と政府を批判した。
 今回の埋め立て申請は、先の安倍首相とオバマ米大統領との日米首脳会談で移設問題の早期進展に合意したこと、地元の名護漁協が海上埋め立てに同意したことが大きな要因となった。しかし、漁協という一つの組織が同意したからといって地元の納得が得られたとして埋め立て申請を出すというのは、いかにも政治的過ぎる判断である。
 沖縄県側は申請を受理した後、仲井真知事が8~10か月かけて認めるかどうかの結論を出すことになるらしいが、現段階での仲井真知事の姿勢から見て、不承認の可能性が高い。そうなると政府は特別措置法を作ってでも移設を強行することが予想され、その場合は沖縄県民の猛反発が想定される。場合によっては、血みどろの戦いになるかもしれない。
 沖縄県民にとっては、それほどの問題なのである。仲井真知事はそのことを何度も警告している。「本土の既に飛行場のある場所に何故移転できないのか」と。
 結局、普天間の代わりを本土にしようとしないのは、どこも受け入れようとしないからである。沖縄県内の基地を減らす代わりに辺野古への移設を認めろ、というのは、つまるところ沖縄県を見下ろしていることにほかならない。そのぐらいの犠牲を負えと言っているのである。
 要するに日本人は誰ももう米軍基地を望んでいない。しかし、それでも日本の国防力を高めることがどうしても必要というなら、東京湾でも、大阪湾でも、あるいは伊勢湾でも住民を口説いてそこに造るべきである。そうであってこそ政府の理屈は筋が通るようになる。 



福島原発の停電はねずみの仕業?

2013-03-22 17:45:39 | Weblog
2013.3.22(金)
使用済み燃料プールなど九つの設備が一斉に停止した東京電力・福島第一原電の停電事故は、ねずみの接触による仮設電源盤のショートが原因だった可能性がでてきた。
 大規模な停電が発生したのは、3月18日午前7時前。高温を発する燃料集合体1533体を収納する4号機使用済み燃料プールやセシウム吸着装置「キュリオン」など九つの設備がほぼ同時に停止したというものである。
 東電は20日、屋外の仮設配電盤の内部に焦げたような黒い跡があり、真下でねずみとみられる小動物の死骸が見つかったと発表した。
 小動物は全長約25センチで、周囲に体毛が散らばっていた。端子は6.9キロボルトの高電圧の電気が流れており、絶縁はしていない。侵入した小動物が感電して、はじき飛ばされ壁面にぶつかったとみられるとしている。
 第一原発はこれまでにもたびたび事故を起こしており、今回の事故で仮設設備のリスクは一層高まった。そもそも900個以上も設置されている汚染水の貯蔵タンクに使用されている目止め材の耐用年数が5年と短い組み立て式の280個弱については、汚染水が漏れ出す危険が指摘されているほどである。
 それにしても今回の事故は全ての設備の稼動が再開するまでに29時間もかかっており、燃料プールの温度上昇がどうなるか危惧された。
 東電はこの程度の事故は、事故ではなく事象に過ぎないなどと大きく報道されることの火消しに懸命である。「大山鳴動してねずみ一匹」とはよく言ったものである。

南海トラフの被害想定

2013-03-19 11:21:53 | Weblog
2013.3.19(火)
 内閣府は18日、駿河湾から九州沖の「南海トラフ」で巨大地震が発生した場合の揺れや津波、火災による経済被害が最悪220兆円にのぼるとの試算を公表した。
 昨年の夏に、地震と津波で最大32万人が死亡するとの想定を発表していたが、今回の公表はそれに継ぐ第二弾の想定である。M9級の地震が陸に近い震源域で発生したとの仮定である。
 被害の内容は、建物や道路などの損壊による直接被害169兆5千億円、震災後の生産・サービス低下による間接被害が44兆7千億円、交通網寸断で6兆1千億円、合計220兆円にのぼるとしている。この数字は3.11東日本大震災の10倍に相当する。
 古谷圭司防災担当大臣は『最悪で220兆円という数字を出しましたが、私が強調したいのは、「想定外を避ける」という東日本大震災の教訓から「あらゆる可能性を想定した最大クラス」であるということ。すなわち、千年に一度というものを想定して、国民の皆さんに「冷静に、正しく恐れてもらう」こと、ありのままの最悪の事態を知っていただくことが大切と考えました』と言っている。
 ただ、スケールは小さいが、東海地震は30年以内に88%、東南海地震は70~80%、南海地震は60%の確率で起きるとされている。特に東海地震は1854年を最後におこっておらず、発生確率も高い。古谷大臣のコメントは決して大袈裟でない。
 気になることは、中電浜岡原発など原発事故に触れられていないことである。もし浜岡原発がメルトダウンのような重大事故を発生させたら、日本のど真ん中、全ての機能がマヒし、それこそ小松左京ではないが<日本沈没>という事態になりかねない。  おー くわばら、くわばら である。

WBC 侍ジャパン3連覇ならず

2013-03-18 17:05:54 | Weblog
2013.3.18(月)
 第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で3連覇を目指した日本代表は17日(日本時間18日)、サンフランシスコでの準決勝でプエルトリコに1―3で敗れ、敗退が決まった。悲願の3連覇はならなかった。一方、プエルトリコは初の決勝進出を果たした。
全試合の経過は次のとおり。
 第一ラウンド
3月 2日(土) 対ブラジル戦  5-3 日本勝ち
3月 3日(日) 対中国戦    5-2 日本勝ち
3月6日(水)  対キューバ戦  3-6 日本負け  日本はA組2位で第2ラウンド進出

第二ラウンド
3月 8日(金) 対台湾戦    4-3 日本勝ち
3月10日(日) 対オランダ戦 16-4 日本勝ち
3月12日(火) 対オランダ戦 10-6 日本勝ち 
3月18日(月) 対プエルトリコ戦 1-3 日本負け

 試合を終えた山本監督は「選手は本当によくやってくれた。大きな国際大会での経験がこれからの野球人生にもプラスになるんじゃないかと思う」。キャプテンを務めた阿部慎之助(33=巨人)については「阿部慎之助はチームをよくまとめてくれた。ベテラン陣が彼をサポートして、若い選手たちはそれについていった。第2Rからのチームはまとまりができた。本当に素晴らしい選手たちとともにできて、私は幸せでした」と賛辞を送った。
 この試合では1点しか取れなかったが、これをたたき出したのは中日の井端選手であった。日本は負けはしたが、全試合を通じて井端選手の活躍が際立っていた。すべての試合で得点に絡み、対台湾戦では起死回生の同点打をたたき、延長戦に持ち込み勝利につなげた。
 アメリカがすでに敗退しており、優勝の可能性が高かったが、プエルトリコに負けるとは誤算であった。夢の三連覇はならなかったが、山本監督でないが、選手はよくやったと言うべきであろう。

安倍首相、TPP交渉参加を表明

2013-03-15 20:59:58 | Weblog
2013.3.15(金)
時事通信 は3月15日(金)18時3分、次の記事を配信した
 『安倍晋三首相は15日夕、首相官邸で記者会見し、米国やオーストラリアなど11カ国が参加している環太平洋連携協定(TPP)について、「交渉に参加する決断をした。今がラストチャンスだ。このチャンスを逃すと世界のルール作りから取り残される」と正式に表明した。首相は「全ての関税をゼロとした場合でも、わが国経済全体としてプラスの効果がある」と強調。影響が懸念される農業分野について「あらゆる努力で日本の農を守り、食を守ることを誓う」と理解を求めた。
 首相は交渉参加の理由について、「世界経済の約3分の1を占める大きな経済圏が生まれつつある。韓国やアジアの新興国が次々と開放経済へと転換していて、日本だけが内向きになってしまっては成長の可能性もない」と説明した。
 また、「経済的な相互依存関係を深めていくことは、わが国の安全保障にとっても、またアジア太平洋地域の安定にも大きく寄与する」と指摘、同盟国の米国はじめ、民主主義や基本的人権などの価値観を共有する参加国との連携が日本の安全保障環境に資すると語った。
 農業に関しては「攻めの政策により、競争力を高め、輸出を拡大し、成長産業にする」と表明した。
 さらに、首相は「国民には(交渉)状況の進展に応じ丁寧に情報を提供していくことを約束する」と述べた。』
 
 さて、TPPは環太平洋経済連携協定の略称であり、シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4か国が参加する自由貿易協定で、2006年5月に発効した。その後、米国、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアが参加を表明し、新たな枠組みの合意を求めて9か国で交渉している。       
 TPPは、自由化のレベルが高い包括的な協定であり、モノやサービスの貿易自由化だけでなく、政府調達、貿易円滑化、競争政策などの幅広い分野を対象としている。物品の関税は例外なく10年以内にほぼ100%撤廃するのが原則である。
 政府は、貿易の自由化に伴う輸出拡大や内需刺激で国内総生産を0.66%押し上げ、3兆2千億円の経済効果を見込むが、米など主要な農産品の関税を撤廃すれば、農業部門の生産額が3兆円減少するとしている。
 安倍首相は、ついにTPP参加に踏み切ったが、農業団体や医療保険がらみで日本医師会など強硬に反対している。貿易の自由化は世界の趨勢ではあるが、環太平洋といいながら、中国も韓国も参加しておらず、アメリカの経済戦略に取り込まれるだけとの意見も強い。本当に日本の国益が守れるのか安倍首相の真価が問われる。

渥美沖にメタンガスの存在確認

2013-03-14 18:14:59 | Weblog
2013.3.14(木)
 経産省資源エネルギー庁は愛知県渥美半島と三重県志摩半島沖の海底に埋まる次世代資源のメタンハイドレートを分解し、メタンガスを採取することに成功したと発表した。海洋でのガス採取は世界初だそうである。それも愛知県と三重県との沖合いであるというから驚きである。
 採取地点は、渥美半島の南側約70キロの海域で、千㍍下の海底から約260~330㍍の深さに、メタンハイドレートが低音高圧の状態で閉じ込められた地層がある。
 地球深部探査船「ちきゅう」から海底に向けてパイプを伸ばし、昨年3月までに掘削した試験井戸と接続、3月12日早朝からポンプで水をくみ上げて試験井戸周辺の地層の圧力を下げ、メタンハイドレートの分解を促がしてガスを船上で回収する作業を始めたという。
 資源エネルギー庁によると、午前9時半頃に船上でガスが確認され、それ以後も安定的に産出していると報じられている。
 今後二週間程度採取を続け、ガスの温度や圧力、量などのデータを取る。経産省は2018年度を目標にメタンハイドレートを天然ガス資源として利用する技術の開発を目指している。
 メタンハイドレートはメタンと水分子が低温高圧の状態で結合してできた氷状の物質で「燃える水」とも呼ばれる。永久凍土地域の地下や水深500㍍より深い海底に分布している。静岡県から和歌山県の沖合いでは、日本の液化天然ガス(LNG)輸入量の10年超分に当たる量の埋蔵が確認されている。
 折角地元近くで埋蔵が確認されたとはいえ、この量が多いのか少ないのか分からない。しかし、LNG輸入量の10年分程度では素人目ながら決して多いとは思えない。さらなる埋蔵量の発見に期待したいが、所詮限りのある地球資源であることに変わりはない。あくまでも持続可能な自然エネルギーの代替資源として活用されるべきであろう。

巨大防潮堤で津波から守るというが??

2013-03-11 13:39:18 | Weblog
2013.3.11(月)
 東日本大震災から丸2年が経った。津波による被害の復興は一向に進んでいない。東電福島原発の被害に至ってはその解決の展望すら見えない。被災地から全国への避難者は未だに31万5196人に及ぶという。
 ところで、津波で被災した集落の移転は沿岸部の224地区で事業を想定しているというが、未だ一つも実現していない。そして沿岸には巨大防潮堤の建設計画が進んでいる。原発立地箇所では、浜岡原発など着々と進んでいるらしい。北陸電力の志賀原発などはすでに完了したという。
 さて、この防潮堤を被災地域の住民は本当に望んでいるのであろうか。
 「万里の長城」と呼ばれていた岩手県宮古市田老地区の長大な防潮堤は、明治、昭和の「三陸津波」の被害を受けて建設され、昭和33年に完成した。総延長1350メートル、高さは海面から10.45メートルという大規模なものである。それでも今回の大津波には勝てなかった。
 これに懲りずに被害地の海岸線で巨大防潮堤建設計画が進んでいる。宮城県気仙沼の大谷海岸では、震災から半年後に高さ9.8メートルの防潮堤建設が震災復興計画として示された。
 遠くに住む我々はこうした防潮堤も必要なものとの認識でいたが、地域住民にとってはどうもそうではないらしい。高いコンクリート壁で海を隔てれば海辺の生態系を壊し、津波からの避難も遅れる。白い砂丘の海水浴場も失われる。
 しかし、住民達は「復興の予算とスピードを人質に取られているようなもの。文句を言うことで復興全体が遅れることがあっては困るから」何も言えなかったという。 多くの地域で防潮堤計画はなし崩し的に進んでいる。反対する人、やむを得ず賛成する人との間で地域の信頼関係が壊れていくことを多くの住民が心配している。

 そもそもこの防潮堤計画は、「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」の類ではないか。津波は東北地方だけに来るものではない。日本は全体が海に囲まれている。日本全国どこでも津波に襲われる危険がある。そうであるなら、日本全国の海岸線はすべて巨大防潮堤で覆わなければならない。今回の被災地域だけにこだわるのはむしろ筋が通らない。役所というところの感覚のお粗末さである。