名古屋から発するブログつぶて・凡人のひとりごと

身の回り、世間のできごとをを日記風に記す(紙つぶてならぬブログつぶて)。

選良の名を辱める自民党議員

2018-05-31 22:33:58 | Weblog
2018.5.31(木)
 今朝の中日新聞で、田中優子法政大学総長が「自由で闊達な言論・表現空間を創造します」と題したメッセージを発表したことを報じている。
 これは文部科学省などが研究者らに交付する科学研究費(科研費)について、自民党の国会議員らが繰り広げている「反日活動に協力する学者に配られている」とのキャンペーンに反論する形で出したものと思われる。
 自民党の杉田水脈(みお)衆議院議員らやその賛同者らは、科研費を受け取っている研究者に対して激しく非難している。杉田議員は今年2月の衆院予算委員会で、戦前に朝鮮半島から徴用された徴用工問題に取り組む研究者に科研費が交付されたことに「徴用工問題は反日のプロパガンダ。科研費で研究している人たちが、韓国の人達と手を組んでやっている」と批判した。
 さらにネット番組などでも、政権に批判的な研究者らを名指しし、「科研費が反日の人のところに使われている」などと主張。「国益に反する研究は自費でお願い致します」などと発信している、と伝えている。
 
科研費は幅広い分野の研究を支援する制度で、研究者が応募し、同じ分野の研究者が審査、採択されれば研究費が助成されるもの。年間の予算は約2200億円で、応募件数は約十万件(2016年度)に上る、という。
 杉田議員は「科研費は税金で、日本のために使われなければならない」と言っているが、彼女の言い分は「税金だから政権のために使われなければならない」と言っているのと同義である。
 田中総長は「科研費の交付を研究者の政治的立場や考え方で線引きすることは絶対にあってはいけない。憲法で定められた学問の自由が脅かされる。議員にはまず、憲法を守ってほしい」と語っている。
 また慰安婦問題を論じた研究グループの牟田和恵・大阪大教授は、「無知や誤解に基づく誹謗中傷だ。国会議員にあるまじき偏った言い方」だと強く批判している。
 さらに琉球独立論などを研究している松島泰勝・龍谷大教授に対して税金を使って「『琉球独立』を主張するのはいかがなものか」と指摘した杉田議員に対して、松島教授は「科研費で琉球独立は研究していない。国会議員の影響力を使い、自らの意見に合わない研究を抑圧しようとしている。琉球ヘイトもここまできたか」と反論している。
 
 杉田議員は2012年12月の第46回衆院選で日本維新の会から出馬し、選挙区では敗れたが比例近畿ブロックで復活当選した。2014年12月の第47回衆院選では、兵庫6区から次世代の党から出馬したが落選。2017年9月の第48回衆院選では自民党から出馬、比例中国ブロックで当選した。現在、細田派に属する。新しい歴史教科書をつくる会理事でもある。
 自分の意見に反する考えには、無知をさらけだして誹謗中傷するこうしたやり方は情けないとしか言いようがない。こんな人物が国会議員という選良となってしまうことにポピュリズムの弊害が象徴的に出現している分かりやすい例である。

なお田中総長のメッセージは次のとおり。

≪自由で闊達な言論・表現空間を創造します≫
 昨今、専門的知見にもとづき社会的発言をおこなう本学の研究者たちに対する、検証や根拠の提示のない非難や、恫喝や圧力と受け取れる言動が度重ねて起きています。その中には、冷静に事実と向き合って社会を分析し、根拠にもとづいて対応策を吟味すべき立場にある国会議員による言動も含まれます。
 
 日本は今、前代未聞の少子高齢化社会に向かっています。誰も経験したことのない変動を迎えるにあたって、専門家としての責任においてデータを集め、分析と検証を経て、積極的にその知見を表明し、世論の進化や社会の問題解決に寄与することは、研究者たる者の責任です。その責任を十全に果たすために、適切な反証なく圧力によって研究者のデータや言論をねじふせるようなことがあれば、断じてそれを許してはなりません。

 世論に多様性がなくなれば、働く現場は疲労困憊し、格差はいっそう拡がり、日本社会は硬直して出口を失うでしょう。柔軟性をもって意見をかわし、よりよい方法を探ることこそ、いま喫緊に必要なことです。

「自由を生き抜く実践知」を憲章に掲げる本学は、在学する学生・院生、本学で働く教職員の、積極的な社会的関与と貢献を評価し、守り、支援します。互いの自由を認めあい、十全に貢献をなしうる闊達な言論・表現空間を、これからもつくり続けます。

 今後、全国の研究者、大学人の言論が委縮する可能性を憂慮し、本学の研究者に起きていることを座視せず、総長としての考えをここに表明いたします。
                 
                              2018年5月16日
 
                             法政大学総長 田中優子

今朝のサンデーモーニングは岸井成格さんの追悼番組

2018-05-20 11:13:06 | Weblog
2018.5.20(日)
 TBS系で放映されている情報番組・サンデーモーニングの主メンバーだった岸井成格(しげただ)さんが去る15日に肺腺癌のため亡くなった。享年73歳。
 経歴によると、岸井さんは67年に毎日新聞社に入社し、政治部長や論説委員長、主筆を歴任した。一昨年までTBSの報道番組「NEWS23」でアンカーを務めていたほか、現在はサンデーモーニングの常連として活躍していた。
 筆者はサンデーモーニングしか見ていないがそこから見えるものは、秘密保護法や、安保法制の危険性を鋭く追求し、権力を握る政権に対しては厳しい姿勢を示すという、これぞ真のジャーナリズムを体現している。
 報道機関の一部や、ジャーナリストと称している人物のなかに、ジャーナリズムの役割を投げ捨て、政権を批判する者には、品のない悪罵を投げつけている論調が雑誌などを通じて顕著になっているが、岸井さんは恐れることなく、それらと対峙してきたのではないか。
 今朝のサンデーモーニングは、最後の30分間を岸井さんの追悼集として、出席者の一人ひとりが彼との想いを語っていた。サンデーモーニングのまとめ役でもあった岸井さんがいなくなってしまったことは本当に寂しい。
 
 なお、ここ数日の間に芸能界で活躍していた朝丘雪路さん、星由里子さん、西城秀樹さん
の方々の死去が報道された。同世代前後の人達として哀悼の意をささげたい。

1年ぶりの鷹巣沖マダイ釣り

2018-05-17 12:03:34 | Weblog
2018.5.17(木)
 越前海岸の鷹巣沖はマダイの宝庫で知られる。毎年、何度も釣行しているが、昨年は天候に恵まれず、一昨日(15日)1年ぶりにマダイの釣行が実現できた。
 釣り仲間5人が、いつものように小牧インターに午前8時30分集合し、11時30分鷹巣漁港に到着、12時丁度には出船となった。
 ここの釣法は「完全ふかせ釣り」というもので、一船に乗船できる限度は4人までとされることから、5人では二艘の船が必要となる。いつものように親父船と息子船に2人、3人と別れて乗船した。
 昨日(14日)の強風とうって変わって当日(15日)は風も穏やかな好天に恵まれた。絶好の釣り日和と思いきや、ふかせ釣りに絶対欠かせない潮の流れがほぼ0という事態に遭遇してしまった。本来、完全ふかせ釣りは錘をつけなくても海中に沈んでいくナイロン系のテグスを使い、潮の流れにまかせて魚のいる棚をめがけて釣る釣法であるので、潮の流れがないと、糸は魚群のいる棚に届かない。こればかりは自然のなせる業、どうにもなるものではない。
 いつか潮の流れが大きくなることを願いつつ悪戦苦闘して6時間、何とか釣り上げたマダイは30センチから45センチまでのもの6枚と若干のチダイを何とかものにした。相棒も同じくマダイ6枚であった。50センチ超えを手にいられなかったこと、二けたにも達しなかったことは久しぶりの鷹巣沖のマダイ釣りとしては不満の残る釣行となった。ただ息子船に乗った仲間の一人は70センチ超えの大マダイを仕留めていた。
 


名城新天守、エレベーター無しの市方針

2018-05-09 21:44:50 | Weblog
2018.5.9(水)
 今日の夕刊に、名古屋市は名古屋城の木造天守にエレベーターを設置しない方針を固めた、と報じられた。ただ、高齢者や障害者が昇降できる新技術などを導入して「バリアフリー化」は検討するという。
 これに対して車いすを使用する愛知県重度障害者団体連絡協議会のKさんは「納得いかないし、残念だ。公共事業は弱い立場の人に配慮し、誰も排除しないようにすべきだ」と憤った、という。
 一方で、名古屋城天守閣を木造復元し、旧町名を復活する会」のKさんは「すばらしい。百年後に評価されるだろう」と歓迎した。
そもそも木造天守は名古屋市の計画というより、河村市長の道楽で生まれたようなものである。去る5月7日に天守への入場を取りやめ、来年9月から現天守を解体、1920年6月に木造への復元に着手し、1922年末に完成するというものである。 総事業費は最大505億円という巨費である。この金額は名古屋市の年間市税収入の一割に当たる。 
 日本に現存する木造天守閣で国宝に指定されているものは、室町時代に建造された犬山城、安土桃山末期から江戸初期にかけて建造された松本城、江戸初期に建造された彦根城、姫路城、松江城の五城である。
 名古屋城も江戸初期に建造され、1945年5月の空襲で焼け落ちるまでは日本最初の国宝に指定されていた。「名古屋は城で持つ」とまで言われて慕われていたその名古屋城は、戦後1959(昭和34)年、鉄筋で再建された。
 それから60年近くが経過して、老朽化してきたことも事実である。建て替えはやむを得ないともいえる。
 しかし、河村市長は500億円をかけてでも木造で再建することを主張し始めた。木造で再建することが名古屋を蘇らせ、全国から、いや世界から人が集まり、名古屋は活性化する。建設費の多くはその入場料で賄えるから大丈夫だと見栄を切っている。
 しかし、木造でつくったからと言って、国宝になるわけではない。400年前のものを、今造っても、100年先はおろか、400年先になっても国宝になる保証はほとんどない。
 犬山城が国宝なのは、400年以上も前に当時の手法で造られたからである。
 河村市長は木造復元に重きを置くという観点からエレベーターはふさわしくない、ということで今回の方針が出されたと思われる。その点では(敢えて)正しい選択と言える。
障害者団体が木造に賛成するが、「エレベーターは造れ」というのは、何のための木造かを理解していないと言われても仕方ない。市民が公平に天守に上れるようにしたいと言うなら、
何も木造でなくとも、鉄筋で改築すればよい。補強なら50億もあればよいし、全面改築でも100億~150億もかければ立派に再建できる。エレベーターも今のとおり誰に遠慮することなくできる。
 しかし今となっては、犬の遠吠えにしかならない。





今日は憲法記念日

2018-05-03 09:35:03 | Weblog
2015.5.3(木)
 今朝の中日新聞の社説の冒頭
『ホトトギスは自分の巣をつくらないで、ウグイスの巣に卵を産みつける。ところが、ホトトギスの卵はウグイスの卵よりも孵化日数が短い。だから、ホトトギスの卵の方が先にひなになり、だんだんと大きくなってその巣を独占し、ウグイスの卵を巣の外に押し出して、地面に落としてみんなこわしてしまう』
 『一たび多数を制すると、たちまち正体を現わし、すべての反対党を追い払って、国会を独占してしまう。民主主義はいっぺんにこわれて、独裁主義だけがのさばることになる』
(東大教授・尾高朝雄「民主政治の落とし穴」から)

 社説氏はこの引用を基に、安倍政権の改憲案を批判している。安倍首相は、九条一項(戦争放棄)、二項(交戦権の否定)は温存するが、これに自衛隊を書き込むことを提案している。こうすることで「自衛隊の違憲論争に終止符を打ちたい。この改憲によって自衛隊の任務や権限に何らの変更がない」として、この改憲案がたいしたことではない、ということを一生懸命におわせている。
 安倍内閣は、すでに閣議決定という手段を用いて専守防衛の枠を大きくはみ出す集団的自衛権を容認してしまった。それをさらに海外派兵の自由度を増したいがために、憲法上にどうしても自衛隊という文字を書き込みたいのである。
 さらに改憲案では「自衛隊は必要最小限度の実力組織」という縛りから「必要最小限度」の言葉をはずしている。
これについて社説氏は『従来と変わらない自衛隊どころか、実質的な軍隊と同じになるのではないか』と問題視している。
 そして『他国の戦争に自衛隊も加われば、およそ平和主義とは相いれない。日本国憲法というウグイスの巣にホトトギスの卵が産みつけられる―。「何の変更もない」と国民を安心させ、九条に自衛隊を明記すると、やがて巣は乗っ取られ、平和主義の「卵」はすべて落とされ、壊れる。』と恐れている。
 どんな戦争も「自衛のための戦争」と位置付けられて始まることは歴史の事実である。
戦争を知らない世代が70年以上も続いて国内では、大東亜建設と銘打って中国や東南アジアの諸国へ攻め入り、多くの犠牲者を出した反省から生まれた世界に冠たる憲法を、アメリカから押し付けられたものとして排除しようとする古臭い排外主義が依然として根強い。
日本民族の優位性を主張して多民族を見下す思想が、はびこりつつあることも見逃せない。
 若者たちがそうしたことに危機感を持っていないことが一番の心配である。前線に立つのは必ず若者であり、決して政治家でも資本家でも評論家でもないことを知るべきである。