名古屋から発するブログつぶて・凡人のひとりごと

身の回り、世間のできごとをを日記風に記す(紙つぶてならぬブログつぶて)。

三菱自動車、燃費試験で不正62万台

2016-04-27 18:21:03 | Weblog
2016.4.27(水)
 三菱自動車の相川哲郎社長は去る4月20日、国土交通省で記者会見し、自動車の燃費試験に関し、不正行為があったと発表した。「eKワゴン」「eKスペース」と日産自動車向けに生産している「デイズ」「デイズルークス」の計62万5千台で、いずれも軽自動車。これら4車種の生産や販売を停止するとした。
 三菱自動車によると、不正があった自動車は正規の試験を受けた場合、燃費が5~10%程度悪くなるという。同社はタイヤに負荷をかける数値を設定する際、燃費が良く見えるように操作し、国の認証を不正に得ていた疑いがある。
 報道によると、例えば「ekワゴン」の場合、1リットル当たり30.4キロと公表されている値が、実際には28.88キロ~27.36キロに下がるということだそうである。
 三菱自動車は26日夕方、一連の問題について改めて会見し、25年前の平成3年から、国が定める方法に基づかないデータの測定を行い、その後も変更されないまま測定が行われていたことを明らかにした。ユーザーへの対応については、相川哲郎社長は20日の記者会見で、「燃料代の返還を含めて現在検討している。大至急、検討結果を出して、お客さまに連絡したいと考えている。間違った燃費の数字で販売してしまい本当に申し訳ありません」と述べた。
 しかし、今回の問題で、新車の購入時に燃費に応じて国税の自動車重量税や地方税の自動車取得税が軽減されるエコカー減税などの取り扱いも焦点となっている。購入者が実際よりも多く減税を受けた額を国に納付するよう求めるかといった今後の対応について、麻生副総理兼財務大臣は22日の閣議のあとの記者会見で、「不正の全容が明らかにならないと三菱自動車が負担するのかそうでないのか申し上げられない。調査のうえで、経済産業省や国土交通省などと連携して適正に対応したい」と述べた。
 三菱自動車は、こうした不正という点では過去に大きな汚点がある。平成12年、内部告発をきっかけに国の立ち入り検査を受け、その結果、1万件を超えるクレーム情報を隠していたことや、4件のリコールを国に届け出ず、ひそかに車を改修していたことが発覚した。このため、法人としての会社と、元副社長らが、虚偽の報告をしていたとして、道路運送車両法違反の罪で略式起訴された。会社は、当時の社長が責任を取って辞任したほか、再発防止策をまとめ、その取り組みを監査する第三者委員会を設けるなどした。ところが、2年後の平成14年、横浜市で大型トレーラーの車輪が突然外れて歩行者を直撃し、親子3人が死傷する事故が起きた。この事故の原因のトレーラーの車軸と車輪をつなぐ「ハブ」と呼ばれる部品の欠陥について、会社は、平成16年3月にリコールを届け出るまで、国には「整備上の問題」と説明し、欠陥を隠していた。このため、虚偽の説明をしていたとして当時の副社長など元幹部らが逮捕、起訴され、6年前(平成22年)、道路運送車両法違反の罪で罰金が確定したうえ、業務上過失致死傷に問われた幹部2人も平成24年に有罪が確定した。
 こんな重大な過ちを起こしながら、再び大きな、しかも意図的な過ちを起こすなど信じられない事態である。三菱自動車一社だけの問題にとどまらない。三菱グループ全体のコンプライアンスが問われる。
 浜の真砂は尽きても談合は尽きないのと同様、ただ競争に勝とうとするつまらない根性が不正を止めなくしている。この落ちた信用を取り返すためには計り知れない犠牲がいる。
 これも経済優先の過当競争のなせる業である。






チェルノブイリ原発事故から30年

2016-04-26 15:46:09 | Weblog
2016.4.26(火)
 1986年4月26日、旧ソ連ウクライナ共和国のチェルノブイリ原発4号機が爆発、隣国のベラルーシをはじめ、ロシア、欧州など広範囲にわたって放射性物質で汚染される大事故が起こった。
 国際原子力事象評価尺度 (INES) において最悪のレベル7(深刻な事故)に分類され、世界で最大の原子力発電所事故の一つである。東京電力福島第一原発事故もこれと並ぶ。
 あれから30年。いまだに基準値を上回る放射性物質が検出されている。1986年といえば株価が高騰し、バブル景気に沸き立ち始めたころだったと記憶する。この年の3年後(1989年)に横浜、名古屋、福岡などの大都市が市制100周年を迎えるということで、それぞれが大きなテーマを抱えた博覧会の準備が進んでいるころである。
 1988年のオリンピック誘致に失敗した名古屋市は、都市デザインのあるべき姿を求めて、市制100周年の事業を世界デザイン博覧会としてその準備に入っていた。世間もバブル景気に浮かれていたのか、この世界的事故に注目する傾向はわずかなものに過ぎなかった。
ただ一部に、この事故をきっかけに原子力発電そのものに対する一般市民の不安が急増したが、政府は、『日本の原子炉はアメリカ型で、事故を起こしたソビエト型とは構造が異なり、同様の事故は起きない』という説明を行った。
 このころ、筆者はこのデザイン博の仕事に傾注しており、この世界的な大事故にも全くの無関心であった。今から思えば視野の狭さを痛感せざるを得ない思いである。
 あれから25年、2011年3月11日、東日本大震災とそれに伴う大津波の発生によって、東京電力福島第一原発が炉心溶融(メルトダウン)し、福島県はもちろん広域にわたって放射能に汚染されることになった。これを契機に国民の原発に対する意識は激変した。国内の原発はすべて稼働を停止した。一時は、目標を定めて自然エネルギーへ転換すべきとの方向が取りざたされた。
 しかし、政権の変更に伴って、政府と財界と電力会社と原発立地の地元民の意向によって九州電力川内原発が再稼働の1号となり、各地の原発の再稼働がスケジュールに上る事態となってきた。政府は原発の輸出さえ、前かがみになっている有様である。
 こんな時、4月14日熊本地震の発生である。至近距離に川内原発があり、四国電力の伊方原発も近い。しかし政府も規制委員会も平気の平左である。
 世界最初の原爆の被災国であり、チェルノブイリと並ぶ原発事故を起こした国の政府が再び原発の安全神話にとらわれていることに世界の記者たちが一番驚いているという。

消費税増税の行方

2016-04-22 09:47:47 | Weblog
2016.4.22(金)
 消費税が5%から8%に引き上げられ、さらにいつ10%にするかどうかが大問題になっている。今年7月の参院選の、また衆参同日選のネタになっており、まさに消費税増税が政争の道具になっている。
 円安が円高に舵を変え、株価も乱高下を繰り返しながら低下傾向に歯止めがかからず、GDPも伸びず、アベノミクスの先行きに陰りが見えていることを安倍首相自身も感じ取っているのか、3月にはアメリカの経済学者ポール・クルーグマン氏を呼んで、敢えて来年4月の消費税10%への引き上げの是非を聞いている。
 これに対してクルーグマン氏は、今の日本経済の状況で財政問題を優先して、赤字削減を図るのは間違いである、消費税の引き上げなどすべきでない、という趣旨の返事をしたそうである。
 これまで安倍首相は何度も消費税10%への引き上げを断言してきた。民主党政権から自公政権へ転換する前の当時の民主党野田首相との約束でもあった。
 それがここに及んで怪しげな様相を呈してきた。それは、7月の参院選で自公が圧勝するという目論見に陰りが見えてきたことに起因する。
 特定秘密保護法、安全保障関連法の強行採決と進んできていよいよ憲法改定という本丸への突入という安倍政権の前のめりの姿勢に批判勢力の広がりが見えること、参院選に勝つためには、少々の犠牲は負ってでも一時的に政策の中断はやむを得ない、それが消費税増税の引き延ばしであり、秘密の塊のようなTPPの国会承認の延期である。
 消極的だった保育園増設問題でも、ネットでのある女性の叫びから方向転換してその声に迎合する方向で人気回復を図っている。
 さて本題の消費税増税であるが、そもそも国民の声を受け入れるとか、あるいは優秀な日本の経済学者はいくらでもいるのに、敢えて外国人に聞くというやり方が、外国人のいうことなら受け入れられやすいという安易な考えが気に食わない。
 経済評論家のぐっちーさんこと山口正洋氏は、日本経済は輸出依存度がわずか15%に過ぎず、残りの大半は内需が占めている成熟した資本主義国であり、税金を上げて消費を抑制するのではなく、消費税などむしろゼロにして消費を図れば経済が活性化して消費税より高い税収が得られると主張している。
 確かに円安になれば輸出産業の利益が上がるが、総じてみれば円安のデメリットの方が大きい。日本は食糧、エネルギーなど基幹品において輸入大国であることを忘れてはいけない。 
 高齢化がさらに進む日本においては先行き不安がいっぱいである。税率が上がる分、貯蓄に精を出さなければいけない。その税率分を消費に回すことによって経済を活性化させる方が正しいのかもしれない。国民の多くはそれを望んでいる。
 ここに安倍首相は着目した。来年の税率引き上げを見送るということで、参院選を乗り切る。またTPPは、そもそもアメリカですら次期大統領候補らが批判的であり、承認の見通しが立っていない。国内の支持も極めて厳しいなら、延期して農業者らの支持を取り付けた方がよい。参院選に勝つための深慮遠謀が垣間見える。
 こうしたことを総じて国民は決して騙されてはいけない。7月の参院選挙はまさに日本の転換点となるかどうか、国民の良識が問われる選挙である。 


三重・英虞湾の浜島へ旅行

2016-04-19 19:54:57 | Weblog
2016.4.19(火)
 今年5月26日~27日にかけて、三重県の賢島で主要国首脳会議(通称:伊勢志摩サミット)が開催される。
 ということとは関係ないが、昨日、今日と英虞湾に面した浜島にある老舗旅館『湯元館ニュー浜島』へ連れ合いのほかに息子夫婦と4人で出掛けた。目的は、伊勢海老とあわびの本場の極上が値打ちに味わえるということに過ぎない。
 与えられた部屋は、最近改装なったとかいう別館花の館・椿の4階、英虞湾に面した眺望のよい部屋である。風呂は本館6階にあり、展望風呂と言うだけに抜群の眺めである。
 部屋や浴室までの廊下の雰囲気、何げない花や装飾に品があり、おもてなしの気持ちが感じられる。
 本命の夕食は、伊勢海老のお造り、あわびの陶板焼き、松坂牛のすき焼きをメインに盛りだくさんのメニューが用意された。食べつくせないボリュームだが、たまにはそれもよいであろう。
 インターネットのこの旅館に対する口コミとやらを見ると、結構厳しい意見が出ている。旅館に味方するわけではないが、施設も接客も料理もほぼ満足できた。お陰で癒された旅になったことに感謝したい。

熊本で大地震続発、M7.3

2016-04-16 08:43:28 | Weblog
2016.4.16(土)
 14日午後9時26分ごろ、熊本県益城町で震度7の大地震があり、死者9人をはじめ建物の倒壊など大きな被害をもたらした。
 気象庁は地震の規模はM6.5、震度7も東日本大震災以来であり、九州では初めてということに加えてその後、6強、6弱、5強など強い震度の余震が続発したことから、これが本震と発表していた。
 ところが今朝(16日)午前2時25分ごろ、熊本県地方でM7.3の大地震が発生したとラジオ・テレビで報道した。震度は6強ながら、地震の規模の大きさ、広域にわたる(東北地方にまで震度が出ている)ことなどから気象庁はこれが本震であるとして、14日の地震は前震であったと発表した。
 まだ新聞では報道されていないが、テレビによると今回は大分県の被害も大きく出ている模様である。また熊本県の宇土市役所の庁舎が倒壊の危機にあるとも伝えている。
 さらに、阿蘇地方では土砂が崩落し、幹線道路が通行不能になっているとも伝えている。この本震以後も絶え間なく次々と余震が襲っており、被害は拡大している。土砂による生き埋め、火災の発生、家屋の倒壊などによって人的被害も拡大することは確実の様相である。
 気象庁はこの地震をすでに熊本地震と命名したが、規模の広がり、被害の拡大の様相から見直さなければならないかもしれない。
 それにつけても何と地震の多いことか。北から南からほとんど日をおかずといって言いくらい地震の報道が入る。まさに地震列島日本である。それでも渦中の鹿児島川内原発は唯一稼働している。薩摩川内市は幸い震度4であったので、どうということはなかったと九州電力はうそぶいている。
 ところがこの東海地方は、終戦直前の東南海、三河地震以来大きな地震は起こっていない。以来70年余が過ぎた。この地域でいつ何時巨大地震が起こってもおかしくない時期に差し掛かった。

衆院の選挙改革、アダムズ方式で決着か

2016-04-09 21:57:29 | Weblog
2016.4.9(土)
 衆院選挙制度改革をめぐる与野党協議が7日開かれ、大島理森衆院議長は自民、民進両党が提出している公職選挙法改正案を一本化することは困難とみて、自民、民進双方に法案提出を求めた。公明党は協議の場で自民党案に賛成する意向を示したため、一転、自民党案が今国会で成立する見通しとなった。
 自民案は、アダムズ方式(後述)を導入するが、2020年の国勢調査の結果が出るまでは格差を2倍未満に抑えるため、昨年(2015年)の簡易調査結果を使って区割りを見直すこととしている。こうすることによって、選挙区では「0増6減」、比例では「0増4減」とする。選挙区の削減対象となる県は青森、岩手、三重、奈良、熊本、鹿児島。比例では東北、北陸信越、近畿、九州の各ブロック。
 合わせて当面は0増10減でしのぎ、新方式はさらに4年延長するというものである。
小選挙区制になって1票の格差が広がり、また民意を組み取らない政権を生んできたという弊害には目をつむり、さらに若干の手直しすら先送りするという体たらくである。国会議員が自らの身分を自ら決めようとする限り、公平、公正な仕組みなどできるわけがない。
 アダムズ方式とは、選挙区の議席配分法の一つ。米国の第6代大統領アダムズが提唱したとされる。都道府県の人口をある定数で割って得られた商の小数点以下を切り上げ1議席を加えたものをその自治体の議席数とするというもの。この方式では、定数が1議席となる都道府県がなくなり、人口の少ない県を納得させるにはよい。またこれを実施した場合、1票の格差は「1.568倍」となり、最高裁の判例による基準をクリアできるという。

 今朝の中日新聞の中日春秋欄は、選挙制度のこうした決着をみて、次のように皮肉っている。少々長いが、そのまま引用する。
『史上初の世論調査は、1824年に米国のデラウェア州で実施されたものだといわれる。第6代大統領にふさわしいのは、どの候補か。調査で首位に立ったのはジャクソン氏で、二位がアダムズ氏だった。▼実際の選挙でも、ジャクソン氏が最も多くの票と選挙人を獲得したが、大統領になったのはアダムズ氏。ジャクソン氏の得た選挙人が過半数に届かなかったために議会下院での投票となり、下位の候補と政治的に取引をしたアダムズ氏が勝ったのだ。▼民意が歪められたと批判も起き、アダムズ氏は再選を果たせなかった。その彼がのちに下院議員となり、地元選挙区の定数を守るために提唱したとされる議席配分法が、アダムズ方式である。▼1票の格差をあらためる衆院の選挙改革で、この方式が導入される見込みという。しかしアダムズ方式は、最高裁が「格差を生む主因」と断じた「一人別枠方式」と実質的に変わらない。衆院議長に出された識者による答申でも、そう言及された方式を採るとは、憲法の番人の警告も軽くみられたものだ。▼ちなみに第6代米大統領のアダムズ氏は、第二代大統領の息子。当時の人々は、権力の世襲が始まるのではないかと危機感を持ったそうだ。▼そんな歴史を考えると、アダムズ方式は、なかなか意味深に思える。それは実は世襲議員らの既得権益を守る策ではないのか、とは考えすぎだろうか。』

川内原発差し止め、大津地裁と真逆の決定

2016-04-07 10:50:35 | Weblog
2016.4.7(木)

2016年3月11日に関電高浜原発の差し止めに係る大津地裁の決定について、本ブログで次のように書いた。

 (滋賀県の住民が関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めを求めた仮処分の手続きで大津地裁が9日、住民側の主張を認め、運転を停止するよう命じた。
 この決定は直ちに法的拘束力を持つので、関電は運転中の3号機を10日夕刻、原子炉を停止させた。稼働中の原子炉を司法判断で止めるのは初めてとなる。4号機の方も原子炉が緊急停止するトラブルが起き、既に冷温停止状態になっており、異議や執行停止の申し立てが認められない限り、関電は二機を再稼働できない。
 訴えた住民らは立地県の福井ではなく、高浜原発の半径70キロ圏内に暮らす人たちである
 山本善彦裁判長は、
 「原発の安全対策を講ずるには福島第一原発の原因究明を徹底的に行うことが不可欠」と指摘し、原因究明が進まない中で、新規制基準を策定した規制委員会の姿勢を「非常に不安を覚える」と批判した。そのほか、基準地振動、住民の避難計画、津波対策などについても安全性の立証や疑問が残るとした(10日付中日新聞)。
 これに対して関電は近く異議と決定の執行停止命令を大津地裁に申し立てる。
 こんな司法判断が出る中、東日本大震災の発生から今日(11日)で5年の日を迎えた。大震災と原発事故という二重の大災害は、今なお全国に17万人を超える避難者を抱える。
 今日現在の死者の確定数は15,894人、不明者は2,561人、避難生活などで亡くなった震災関連死は3,410人、合計21,865人に達している。
また、仮設住宅で暮らしている人は57,677人、福島原発事故によって県外に避難している住民は2月26日現在、43,139人にも達しているという。
一方、がれきの処理は一見それなりに進んでいるように見えるが、除染のためにたまった土や汚泥、汚染水などは行き場がなく、仮置き場に山積みされている。メルトダウンした原子炉の廃炉処分は遅々として進んでいない。
 こんな状況の中で、国も電力会社も地元自治体も、さらにその住民さえも原発の再稼働に前のめりになっている。避難区域の人々の苦渋に満ちた姿がテレビなどで放映されているが、それでもこれらの人たちは、今回の大津地裁の決定を苦々しく思っている。心の貧しさにそれこそ涙が出る。)

 今回の決定を出した福岡高裁宮崎支部(西川知一郎裁判長)は、「絶対的な安全性は社会通念になっていない」との前提の上に、「九電は立証を尽くした」とした。
 すなわち、原発の安全性の判断は「どの程度の危険性なら容認するかの社会通念を基準にするしかない。巨大な火山噴火のように影響は極めて深刻でも発生の可能性が低い災害は社会通念上無視しうる」と指摘。
 また避難計画についても、「人格権を違法に侵害する恐れがあるとは言えない」とまで断じた。
 いずれにしろこれは、大津地裁の決定とは真逆のものである。メディアは、これは裁判官の考え方の差がもたらしたものだと伝えている。
 政治と結びついた事件の判断は、従来はどちらかと言えば政治の流れにおすみつけを与えるものであったが、宮崎支部の判断は「従来の司法の姿勢から抜け出し切れていない」(後藤・安田記念東京都市研究所、新藤宗幸理事長)ものである。
 裁判官といえども思想信条に自由があるからどんな判断をするかは自分の信念に基づいて出すことに文句をつける訳ではないが、裁判官誰もが心が豊かとはいえない事例に接するにつけ、寂しさを感じざるを得ない。


METライブビューイング「マノン・レスコー」を鑑賞

2016-04-05 13:48:17 | Weblog
2016.4.5(火) 
 標題とは関係ないが、この地域の桜は今が満開。3月20日に開花宣言が出され、3月末に満開、4月2~3日にかけての強雨に耐えていまだ満開状態を保っている。
 さて、ニューヨークで上演中のメトロポリタン・オペラを大スクリーンで観るMETライブビューイングは本年度も早や7作目に達した。今回の出し物はプッチーニの≪マノン・レスコー≫である。
 この作品は、プッチーニが1893年にミラノで上演し、彼の出世作となったといわれる
悲恋のドラマである。
 ただ演出家のリチャード・エアはドラマの背景を、ドイツファシズムに侵略された1940年のフランスを舞台にして物語を展開した。
 大金持ちのジェロントの妾になっているマノンと若き青年デ・グリューとの破滅的な恋を描いたこのドラマを、マノン役にソプラノのクリスティーヌ・オポライスが、またデ・グリュー役にテノールのロベルト・アラーニャが熱演した。
 あくまでも映像で、生演奏には勝てないが、必要に応じたクローズアップによる強調や翻訳で理解しやすいメリットがある。このシリーズも10年になり、ファンが増えてきているせいか、前作のトゥーランドットは満席で見損ねたので、今回は前日に指定券を取っておいた。次回は、5月、≪蝶々夫人≫である。





浜矩子氏の講演を聞く

2016-04-02 21:34:01 | Weblog
2016.4.2(土)
 今日(4月2日)午後、半田市にあるアイプラザ半田で、同志社大学教授・浜矩子氏の講演を聞いた。
 標題は「岐路に立つ私たち 戦争法・アベノミクスを切る!」とし、さらにアベノミクスはもはや経済政策にあらず!「強い国」の危険な正体!今決別の時と副題がついている。
 この人ほど歯に衣を着せず、安倍政権をこき下ろしている人はいまい。アベノミクスをアホノミクスと言い、これでももの足らずアホノミクスの頭にドをつけたいという。
 そして、アベノミクスの下心=不純な動機は、経済運営の良好さで戦争への道をカムフラージュしていることだという。
 昨年4月、アメリカへ出掛けた安倍首相が笹川平和財団アメリカ支部で講演した内容は、アベノミクス外交と安全保障政策は表裏一体であることを自ら認めたものだという。
  その意味とは、日本経済をデフレから脱却して経済を立て直すのは、軍事費の増大を可能にして富国強兵路線をすすめるためである。しかしこれは、経済政策を外交安全保障政策の手段に使っているものであり、これこそがアベノミクスの下心である。
 経済政策のミッションとは
  ①均衡バランスが失われたときに元に戻す(均衡回復)であり、
  ②弱者救済のためでなければならない。 
 安倍氏の外交安全保障政策が目指しているものは、
    ①戦後レジームからの脱却であり、それは戦前回帰、即ち大日本帝国への復活である。そのためには現憲法は邪魔である。
    ②アメリカ追随=日米同盟の強化であるが、日米同盟こそが戦後レジームそのものであり、その脱却を言うことはアメリカとの決別を意味する。
 そしてアベノミクスの第二ステージとして
    ①現行GDPを20%上乗せする600兆円を打ち出した。その上に、一億総活躍推進、産めよ増やせよとして、軍事費を増大させ、ただただ強い国家を目
指している。
    ②環太平洋パートナーシップ(TPP)は本当はTYPである。TYPとは≪とってもやばいパートナーシップ≫だそうである。
 そして浜先生は言う。
  1)一つの原点回帰
     経済は何のためにあるのか。→ 経済活動は即ち人間の営みである。人間の幸せのためである。不幸にするものであってはならない。 その例として原発
がある。原発は経済合理性からすればやむを得ないとして、原発推進に走るのではなく、人間の幸せの観点からすれば、止めるべきである。
  2)一つのバランス感覚
     孔子の言に、「おのが欲するところに従えども、のりをこえず」がある。「のり」とは節度、倫理、規範とでもいうものである。「のり」とは浜矩子の
「矩」である。これこそが黄金バランスである。
  3)耳・目・手
     耳とは傾ける耳であり、目とは涙する目である。そして手は差し伸べる手である。 安倍組の仲間たちはこうした耳・目・手を持っていない集団である。
 
今こそ、国民が力を合わせて、この三つの建前に立ってアベノミクスを粉砕しようというのが私なりに理解した浜先生の主張であったと思う。