2009.1.31
今度は日本人力士が大麻を所持していたとして30日、尾車部屋の十両若麒麟とその友人が逮捕された。逮捕容疑は、若麒麟らは都内の事務所内でティッシュに包まれた乾燥大麻16グラム(約6万4千円相当)を所持していたというものである。
若麒麟は『自分が吸うために持っていた』と容疑を認めているという。
相撲界の薬物問題では昨年8月、元幕内若の鵬が大麻所持で逮捕されたほか、元幕内露鵬と元十両白露山が検査で陽性反応が出たため三人とも解雇された経緯がある。この三人はいずれもロシア出身であった。
尾車親方(元大関琴風)は『私の監督不行き届き』と陳謝し、相撲協会の武蔵川理事長らもそろって頭を下げるという例の光景を見せていた。
弟子の傷害致死事件、外国人力士の大麻汚染と不祥事が続いて協会幹部も大変だ。規律のゆるみなど幹部の指導力がとことん問われる。マスコミも世間もこれでもかこれでもかとばかりに責めたてる。
しかし、今回の大麻問題などは基本的には個人の資質の問題である。どの世界でも起こりうる怖さがある。勿論、指導者の責任が免責されるというものではないが、あくまでも個人の責任であり、この責任をきっちりと示すことが再発の防止である。
大きな話題にすることで、次の事件の見せしめとなっているということなのであろうか。
さて初場所では、横綱朝青龍の復活優勝で久しぶりに国技館が沸いた。
その白鵬との優勝決定戦で勝った際、朝青龍が思わずガッツポーズをしたことが横綱審議委員会で問題視されていた。こんなことはかつてなかったことであり、大相撲の品位を欠くということらしい。武蔵川理事長は高砂親方に口頭注意をしたという。
筆者はこの場面をテレビで観戦していたが、それこそ引退をかけて臨んでいた朝青龍の必死さが、勝って思わず出てしまったポーズであり、何の違和感も感じなかったというのが正直な感想である。
こんなことにイチャモンをつける横審の感覚のほうが違和感を感ずるのは筆者だけであろうか。横綱であろうと平幕であろうと勝ちたいという気持ちは変わらないはずだ。どのスポーツでもうまくいった時などはガッツポーズをする選手を見るのはよくあることだ。
朝青龍の態度で問題とするなら、勝負に勝っておきながら最後に追い打ちをかけるように「だめだし」を出すことだ。相撲の流れの中での最後のだめ押しとしても、飛び出していく相手をさらに余分な手を出して追い打ちをかけるのは見苦しい。他の力士にはない頻度でこの行為が見られる。横綱としての品位を問題とするならむしろこちらであろう。
それにしても、日本人の横綱がこの先出てくるのであろうか。候補は日馬富士や把瑠都など外国人ばかりだ。国技という大相撲も様変わりである。