音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■「 インヴェンション 1番 の再講座 」 で、お伝えすること■

2010-12-30 02:06:46 | ■私のアナリーゼ講座■

■「 インヴェンション 1番 の再講座 」 で、お伝えすること■
                  2010.12.30 中村洋子

 


★クリスマスも過ぎ、ことしもあと2日となりました。

ベルリンのベッチャー先生から、クリスマスカードを、

頂きました。


★カードには、フランス・マルセイユ在住のチェリスト、

Annette Isenberg さんが、

ベルリンに、ベッチャー先生を訪ね、

私の作品  「 チェロ組曲第 1番 」 のレッスンを、

先生から、お受けになった、と書かれてありました。

彼女は、先生のかつてのお弟子さんだそうです。


★さらに、カードには、

「 She is in love with your music 」

さらに、「 Also , A famous doctor likes your music and

he wrote a moving letter 」と、書いてありました。

どんな a moving letter 感動的なお手紙 だったかは、

短いカードでしたので、書いてありませんでしたので、

また、お尋ねしたいと、思います。


★私の 「 チェロ組曲第 1番 」 は、来年にはきっと、

フランスでも、演奏されることでしょう。

とても、楽しみです。

 

 


★来年 1月は、アナリーゼ講座を、 3回開催いたします。

最初は、

■ 1月 10日( 月 ) の「 カワイ・横浜みなとみらい 」 :

「 インヴェンション第 1回 ・ 再講座  」です。

 成人の日の、午後 2時からです。

11月に 「  第 1回  」  を開催しましたが、

満員となり、ご要望が強く、再講座となりました。


★今回は、次のようなことを中心にお話いたします。

≪  バッハの自筆譜  ≫  では、

インヴェンション 1番のテーマ である、

「 ド  レ  ミ  ファ  レ  ミ  ド  」  の、

「 ファ  レ 」  と  「 ミ  ド  」 を 、わざわざ、

三連符  「 ファ  ミ  レ 」  と 、

三連符  「  ミ  レ  ド  」  として、記譜しています。

皆さまがご覧になっています、通常の実用譜では、

「  ファ  レ  」  と  「  ミ  ド  」 と、なっている部分です。


★これは、 「  ファ  レ  」  をただ単に、装飾して、

「  ファ  ミ  レ  」  にした訳では、決して、ありません。

どうして、そのように記譜したか、

その理由を、講座で、詳しくご説明いたします。

 


★「  エドウィン・フィッシャー  」 の、校訂版では、

シンフォニア 1番のテーマを、素晴らしいフィンガリングで、

どのように、弾き分けるかを、示唆しています。

 

★一小節目 ソプラノの主題 ( Subject )、

2 小節目   内声の応答 ( Answer )  

3 小節目 バスの主題 ( Subject )は、

彼の、フィンガリングによりますと、

各々が、異なった性格や、表情をもっていることが、

明確に、理解できます。


★一例として、1小節目 ソプラノ の 2拍目

「 ド  レ  ミ  ファ  」  の、 「  ド  」 「  ファ  」 を、

「 1 指 」 で弾くように、指定し、

続く 3拍目の最初の  「 ソ 」 を、「 3指 」 にしています。

ところが、 3 小節目では、バスの主題の 2 拍目

「 ド  レ  ミ  ファ  」  の、フィンガリングは、

「 1  4  3  2  」 と、( 右手と左手の差はあるとしても )、

前後のフィンガリングと、照合しますと、

明らかに、1 小節目とは、異なる表現を、要求しています。

なぜ、そのような  「 フィンガリング 」  にしたのか、

その理由も、講座で詳しく解説します。


★バッハを、理解されない先生から、

インヴェンションを、習いますと、

“ テーマだけを、目立つように、強く弾きなさい ” と、

教えられるそうです。

これが、バッハを歪めることは、言うまでもありません。


★テーマが出現するたびに、

“ いつも必ず、同じような弾き方で、

弾かなければいけない ”と、思い込んでいる方も、

案外、多いかもしれません。

実は、これも、バッハを単調な

 “ 灰色の世界 ” に、閉じ込めてしまう、

残念な、誤った考え方と、言わざるをえません。

 


★エドウィン・フィッシャーは、脚注で、

「 Every voice had its own melodic life 」

 「 ( バッハの時代は )すべての声部は、

それぞれ独自の、旋律として、生命をもっていた  」  と、

記しています。

つまり、≪ 各々の声部に、画一的な奏法を、

押しつけてはいけないと、指摘しているのです ≫。


★≪ すべての声部に生命がある ≫ という、

この指摘こそが、

 ≪ 西洋クラシック音楽の、本質を衝いている ≫

言葉、と言えるでしょう。


★「 Every voice had 」 と、フィッシャーが、

過去形の 「 had 」 を、使っているところに、

“  現代は、そうではなくなってしまった  ” と、

フィッシャーが嘆いているように、聴こえます。


★皆さま、どうぞ、よいお年をお迎えください。

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●1月は 他に、
・1月 25日 ( 火 ):「 第 10回 平均律アナリーゼ講座 」
     第 1巻 10番 ホ短調 前奏曲&フーガ
              カワイ・表参道 午前 10時~

・1月 28日  ( 金 ):「 第 3回 インヴェンション講座 」
     インヴェンション&シンフォニア 3番
                 カワイ・横浜みなとみらい 午前 10時~ 

・1月 25日の 平均律講座は、月刊誌 「 ぶらあぼ 」 1月号
          P128 に、ご案内が、掲載されています。

 

 

             ( 山梨・牧丘からの富士山、冬の皐月、椿、落葉、万両  )
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