音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■■ 緑陰のCD ■■

2007-12-24 17:33:48 | ★旧・感動のCD、論文,演奏会など
2007/8/7(火)

★8月に入り、久しぶりに時間が取れましたので、

たっぷりと名演のCDを聴いております。

1)モーツァルト&ブラームスの「クラリネット五重奏曲」

カール・ライスター≪クラリネット≫、

モーツァルトは、ベルリン・フィルハーモニー・ゾリステンが、

ブラームスは、アマデウス弦楽四重奏団が、共演しています。

(ドイツ・グラモフォン ザ・ベスト1000 UCCG5023 ¥1000)

ベルリン・フィルハーモニー・ゾリステンは、第一ヴァイオリンがトーマス・ブランディス、

チェロはヴォルフガング・ベッチャー先生(ベトヒャーと表記)ほか。

名曲が名匠によって奏されると、こんなにもいいのか、と実感します。


★2)ラフマニノフ&グリンカ歌曲集 ガリーナ・ヴィシネフスカヤ≪ソプラノ≫

ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(1927~2007)≪ピアノ≫

(ロストロポーヴィチ名盤1200 UCCG4254 ¥1200)

ロストロポーヴィチは、ことし亡くなりましたチェロの大家ですが、

ピアノ演奏は、夫人であるヴィシネフスカヤの伴奏でのみ聴くことができます。

ヴィシネフスカヤは、オブラスツォワと並ぶ、20世紀ロシアの大歌手ですが、

日本では、歌曲をCD録音で聴くことがあまり出来ませんので、貴重な一枚です。


★3)ベートーヴェン「弦楽四重奏曲ヘ長調 op18Nr.1」「弦楽四重奏曲ホ短調op59Nr.2」

 ブランディス弦楽四重奏団 1998年のライブ録音 (外盤CD25IPPNW-CONCERTS)

 ベートーヴェンの弦楽四重奏は、演奏が単調ですと、

一曲聴き通すのが苦痛になることが、往々にしてあります。

このCDは、“ベートーヴェンはなんと楽しいのであろう!”と、心が躍ります。

バッハは、幼稚園の子供が弾いても、大家が弾いても、同じ様に、それなりに

“ああ、バッハだ”と音楽を楽しめますが、ベートーヴェンは、そうはいきません。

その意味で、良い演奏で弦楽四重奏を聴きませんと、

ベートーヴェンをよく理解することはできないのです。

このCDは最良の演奏といえます。


★4)ブラームス「クラリネット・クインテット」「クラリネット・トリオ」

「クラリネット・ソナタ」CD2枚組、(外盤、BRILLANT CLASICS 99800/5)。

クインテットは、ブランディス弦楽四重奏とライスター、

トリオは、ライスターとベッチャー先生、フェレンツ・ボーグナーのピアノ。

トリオのチェロは、第一楽章冒頭の独奏の素晴らしさはもとより、

弦楽器が二人いるのか、と思われるほど、それぞれの音域での音色の変化、

伸びやかな歌に酔います。

弦楽四重奏が、緻密なアンサンブルを求められるのに対し、

トリオは、ソリストが3人いる、といっていいかもしれません。

聞き比べますと、興味深いものがあります。

ちなみに、ベッチャー先生は、この夏、ベートーヴェンの「大公トリオ」を

リヒテンシュタインのバドゥズで、演奏されるそうです。


★室内楽を聴くことは、オペラ(モーツァルトのオペラは別として)の

大袈裟なアリアに興奮して、“ブラボー”を叫ぶのとは対極的な、

音楽の奥深い魅力を、奏者と一体になって探り、楽しむ知的な営みです。

この暑い夏休み、これらのCDをお聴きになり、

室内楽の魅力を、どうぞ、味わってください。



▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ■■シューベルト作曲弦楽五重... | トップ | ■ エリック・ハイドシェック... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

★旧・感動のCD、論文,演奏会など」カテゴリの最新記事