2007/8/30(木)
★ピアニスト・ERIC HEIDSIECKエリック・ハイドシェックのレッスンを聴講しました。
大変勉強になりました。
心に残った貴重なお話を、お伝えいたします。
★日本のピアニストは、素晴らしい≪指≫を持っている人は多いのですが、
ペダルに問題がある人が多いようです。
ペダルを踏みすぎる傾向があります。
その理由は、「ヨーロッパの演奏会場は、反響がいいのに対し、
日本のレッスン室は、響きが少ないため、ペダルを多用し勝ちなためです」。
★さらに、練習の際の問題点。
通常、日本では、スリッパを履いて練習しています。
しかし、コンサートでは、靴を履いて弾きます。
これでは、練習の時と全く同じ状態では、ペダルを踏むことが出来ません。
スリッパと靴とでは、ペダルに対する足の角度が微妙に異なってしまいます。
「是非、ペダルの下に絨毯を弾き、靴を履いてピアノを練習してください」
「私も絨毯を敷いています。床が靴で、磨り減ってしまうからです」
≪床が磨り減る≫ほど練習を毎日、なさっている、ということですね。
これだけでも感動的なお話です。
★ブラームスのピアノ小品集 OP.118について、
この第一番「インテルメッツォ」最後の、フェルマータ付き和音を弾いたら、
ペダルは踏んだままにして、指は鍵盤から離してください。
ピアノは、ハープを横に倒した形です。
ハープは弾いた後、弦から手を離すと、音がよく響きます。
逆に、響きを止めるには、指を弦に当てます。
最後の和音を響かせるためには、ペダルを踏んだまま、手を鍵盤から離します。
ハンマー(ハープの手に相当)が弦から離れますから、豊な響きが続きます。
★これは、私(中村洋子)の意見ですが、このインテルメッツォは、
ヘ長調の属和音「ド・ミ・ソ」で始まり、イ長調の主和音「ラ・ド・♯ミ」で終わります。
シューベルトが、発見し、好んだ3度の関係の和音です。
★音をクリアーにしたい時は、「梃子」の原理を応用して、
鍵盤の一番手前の部分で打鍵しますと、大変に効果的です。
★OP.118の第3番「バラード」について、スタッカートのお話に説得力がありました。
ドイツ人作曲家の作品のスタッカートは、レガートより重いことがある。
「あのモーツァルトですら、そうです」と、実演をされました。
スタッカートは、楽典では「音を短く切って」と、書いてありますが、
鵜呑みにせず、その作曲家の特性を研究することが大切なようです。
★ブラームスのワルツについても、リズムの取り方を、親切に教えてくださいました。
ワルツの3拍目は、軽いけれども、やや長めです。
「ア~ム=ステル=ダム」、「ア~ム=ステル=ダム」と歌うと、
生き生きとした3拍子のリズムになります。
★その後、外で先生にお会いし、
「アムステルダム」と、歌いながら3拍子をとることを、学ぶことができ、
とても勉強になりました、と感想を述べました。
そして、二人で、「アムステルダム」を何度も合唱し、
私一人のために、熱心に指導していただきました。
先生と一緒に歌うことで、体に3拍子が染み込みました。
「この方法は、私のオリジナルではない。
ある指揮者が、ベートーベンを振る時、使ったものだよ。
これをしないと、弦のパートのリズムが緩み、
生き生きとした3拍子にならない」と、謙虚におっしゃいました。
★ハイドシェック先生は、ノーブルなお顔立ちで、近寄りがたい印象でしたが、大違い。
気さくで親切、音楽への愛情が満ち溢れている方でした。
サインをお願いしましたら、3拍子の音符を書き、さらに説明を続けられ、
肝心なお名前を書き忘れてしまいました。
「先生、お名前を」と申しますと、「オー」とすぐさま、ペンを走らせ、
風のように去っていかれました。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
★ピアニスト・ERIC HEIDSIECKエリック・ハイドシェックのレッスンを聴講しました。
大変勉強になりました。
心に残った貴重なお話を、お伝えいたします。
★日本のピアニストは、素晴らしい≪指≫を持っている人は多いのですが、
ペダルに問題がある人が多いようです。
ペダルを踏みすぎる傾向があります。
その理由は、「ヨーロッパの演奏会場は、反響がいいのに対し、
日本のレッスン室は、響きが少ないため、ペダルを多用し勝ちなためです」。
★さらに、練習の際の問題点。
通常、日本では、スリッパを履いて練習しています。
しかし、コンサートでは、靴を履いて弾きます。
これでは、練習の時と全く同じ状態では、ペダルを踏むことが出来ません。
スリッパと靴とでは、ペダルに対する足の角度が微妙に異なってしまいます。
「是非、ペダルの下に絨毯を弾き、靴を履いてピアノを練習してください」
「私も絨毯を敷いています。床が靴で、磨り減ってしまうからです」
≪床が磨り減る≫ほど練習を毎日、なさっている、ということですね。
これだけでも感動的なお話です。
★ブラームスのピアノ小品集 OP.118について、
この第一番「インテルメッツォ」最後の、フェルマータ付き和音を弾いたら、
ペダルは踏んだままにして、指は鍵盤から離してください。
ピアノは、ハープを横に倒した形です。
ハープは弾いた後、弦から手を離すと、音がよく響きます。
逆に、響きを止めるには、指を弦に当てます。
最後の和音を響かせるためには、ペダルを踏んだまま、手を鍵盤から離します。
ハンマー(ハープの手に相当)が弦から離れますから、豊な響きが続きます。
★これは、私(中村洋子)の意見ですが、このインテルメッツォは、
ヘ長調の属和音「ド・ミ・ソ」で始まり、イ長調の主和音「ラ・ド・♯ミ」で終わります。
シューベルトが、発見し、好んだ3度の関係の和音です。
★音をクリアーにしたい時は、「梃子」の原理を応用して、
鍵盤の一番手前の部分で打鍵しますと、大変に効果的です。
★OP.118の第3番「バラード」について、スタッカートのお話に説得力がありました。
ドイツ人作曲家の作品のスタッカートは、レガートより重いことがある。
「あのモーツァルトですら、そうです」と、実演をされました。
スタッカートは、楽典では「音を短く切って」と、書いてありますが、
鵜呑みにせず、その作曲家の特性を研究することが大切なようです。
★ブラームスのワルツについても、リズムの取り方を、親切に教えてくださいました。
ワルツの3拍目は、軽いけれども、やや長めです。
「ア~ム=ステル=ダム」、「ア~ム=ステル=ダム」と歌うと、
生き生きとした3拍子のリズムになります。
★その後、外で先生にお会いし、
「アムステルダム」と、歌いながら3拍子をとることを、学ぶことができ、
とても勉強になりました、と感想を述べました。
そして、二人で、「アムステルダム」を何度も合唱し、
私一人のために、熱心に指導していただきました。
先生と一緒に歌うことで、体に3拍子が染み込みました。
「この方法は、私のオリジナルではない。
ある指揮者が、ベートーベンを振る時、使ったものだよ。
これをしないと、弦のパートのリズムが緩み、
生き生きとした3拍子にならない」と、謙虚におっしゃいました。
★ハイドシェック先生は、ノーブルなお顔立ちで、近寄りがたい印象でしたが、大違い。
気さくで親切、音楽への愛情が満ち溢れている方でした。
サインをお願いしましたら、3拍子の音符を書き、さらに説明を続けられ、
肝心なお名前を書き忘れてしまいました。
「先生、お名前を」と申しますと、「オー」とすぐさま、ペンを走らせ、
風のように去っていかれました。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲