音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■ イタリア協奏曲 アナリーゼ講座 (全 3回) のお知らせ

2012-06-20 18:50:56 | ■私のアナリーゼ講座■

■ イタリア協奏曲 アナリーゼ講座 (全 3回) のお知らせ ■

~ 第 1回 第 1楽章 華麗なイタリア協奏曲の正体は・・・ ~

                                              2012.6.20  中村洋子

 

J. S. Bach  バッハ ( 1685~1750 )の作品で、

生前出版された曲は、あまり多くありませんが、

その一つが 、「 Italienisches Konzert

( Concerto nach Italienischen Gusto

イタリア趣味に基づくコンチェルト ) イタリア協奏曲 」 です。

 

★「 Zweiten Teil der Klavierübung

クラヴィア練習曲第 2巻 」 27 pages の、

前半 ( 1 ~ 13page ) が、イタリア協奏曲です。

後半は、「 Overture nach Französischer Art

フランス風序曲 」 です。

 

★ Bach の自筆譜は、失われていますが、

Bach は生前、この出版譜を手元に置き、

訂正も、加えていますので、

この初版譜は、 ≪  Bach公認 ≫ と見ていいでしょう。

イタリア協奏曲 全 3楽章を 、3回にわたり、

初版譜を基にして、アナリーゼいたします。

 


★「 平均律クラヴィーア曲集第 1巻 」 ( 1722年 完成 )、

「 インヴェンションとシンフォニア 」  ( 1723年 完成 ) の、

上声は、もに 「 ソプラノ記号 」 で記譜されています。

しかし、このイタリア協奏曲の上声は、私たちに馴染み深い

≪ ト音記号 ≫ で一貫して、 記譜されています。

下声は、≪  アルト記号  ≫ と ≪ バス記号 ≫ が、

交互に現れます。

 

★その意味を読み解きますと、イタリア協奏曲の骨格が、

明確に、浮かび上がってきます。


一見、明快単純に見えます第 1楽章の和声は、

実は大変に複雑で、平均律 1巻ではあまり見られない、

Bach の典型的な 「 後期和声様式 」 を示しています

この和声を、正確に理解いたしませんと、

この曲はただの tutti( 総奏 )と 、solo が交互に奏される、

華やかな曲としての表現しか、できません。

事実、そのような浅薄な演奏も、多く聴かれます。

 

 


Bach の対位法と和声とが、固く手を結びあった究極の曲が、

このイタリア協奏曲なのです。

Bach が若き日に学び尽くした

Antonio Vivaldi (1678~1741)、

Alessandro Marcello (1669~1747) の 「 Concerto 」 や、

Bach 自身の「 Brandenburg Concerto

ブランデンブルグ協奏曲 」 についても、3回の講座で、

触れていきたいと思います。


★また、偉大な pianist  Edwin Fischer

エドウィン・フィッシャー ( 1886 ~ 1960 ) の

Fingering から、彼が、何をこの曲から汲み取り、

構築していったかについても、詳しくお話します。

 

Bach の広大無辺な世界は、狭い 「 古楽 」 の世界には、

入り切りません。

 
ピアノで、それをどう演奏していくかを、

やさしく、ご説明いたします。

 

 

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■日時:  7月31日(火) 午前 10時 ~ 12時 30分

■会場 :  カワイ表参道 2F コンサートサロン・パウゼ

■会費 :   3,500円 ( 要予約 )  Tel.03-3409-1958

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★第 2回 第 2楽章 8月28日(火)午前 10:00 ~ 12:30

★第 3回 第 3楽章 9月28日(金)午前 10:00 ~ 12:30

 

 

 

 

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