音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■非和声音が、美しい旋律に精緻な装飾を施している、 第2回 「イタリア協奏曲」・アナリーゼ講座

2015-02-26 21:51:35 | ■私のアナリーゼ講座■
非和声音が、美しい旋律に精緻な装飾を施している■
      ~ 第2回 中村洋子「イタリア協奏曲」・アナリーゼ講座 ~
                  2015.2.26  中村洋子
  
 
  
 
 
★2月24日の KAWAI 名古屋・第1回

「Italienisches Konzert イタリア協奏曲」・
アナリーゼ講座には、

全国各地から、たくさんのBach を愛する皆さまが参加
され、

熱気のこもった、素晴らしい講座を開催することができました。


 
★3月25日の、第2回「Italienisches Konzert イタリア協奏曲」
 
アナリーゼ講座では、第2、3楽章を勉強いたします。
 
 
★第 2楽章 :美しい旋律に、非和声音が精緻な装飾を施している・・・
                               
ここでは、Bachが珍しく、自ら記したテンポ記号

≪ Andante ≫ のもつ
深い意味を、

解き明かします。

 
蜘蛛の糸のように、精妙に織り込まれた、

第 2楽章 の右手旋律は、
たくさんの ≪ 非和声音 ≫ を、

含んでいます。


この右手旋律を、装飾音記号で書き換えることすら可能です。

そうしますと、旋律の骨組みが、むき出しに現れてきます。

 
★この、主に ≪ 和声音 ≫ から成る 「 骨組み 」 が、

どのように ≪ 非和声音 ≫ で装飾されているか・・・

それを理解いたしませんと、

右手が絶えず、美しい旋律を細やかに弾いているだけの

退屈な演奏 」 になってしまいます。
 
 
 
 
 
★Bach は、Alessandro Marcello のオーボエ協奏曲を、

独奏鍵盤作品に編曲しています。

( Concerto d-Moll BWV 974, nach dem Concerto d-Moll

für Oboe,
Streicher und Basso continuo von
                 Alessandro Marcello )


マルチェロの原曲を、どんなに美しく Bach が装飾し、

編曲したかを勉強いたしますと、第 2楽章 が一気に、

分かりやすくなります。
 
ピアノで Bach を演奏することの楽しみ、

満ち溢れる喜びを、
きっと実感できることでしょう。

Marcelloを、Bach 編曲で弾く楽しみについても、

お話いたします。
 

第3楽章:「イタリア協奏曲」 のスケールを、
                  ピアノでどう弾くべきか・・・
 
3楽章は、生命力と喜びに満ち溢れた楽章です。


★Edwin Fischer エドウィン・フィッシャーは、


3楽章の 3、4小節ソプラノのモティーフについて、

「 Bach の Choralvorspiel コラールプレリュード

" In dir ist Freude あなたの中に喜びはあり

" BWV 615 の主題から来ている 」
と、

注釈しています。

 
第 3楽章の1、2小節上声、それに続く下声の scale

についても、
Fischer は

「 the scales full of fire、first in the treble 、


then in the bass 火のような音階、最初はトレブル、

次いで、バスで 」
としています。

この意味は、どういうことでしょうか。


 
 
  
 
★上記1、2小節の音階と、

3、4小節の In dir ist Freude のモティーフから成る主題を

「 as if  Bach's high trumpets were rejoicing

at the theme 」 とも、
Edwin Fischerは、書いています。


つまり、トランペットが、高らかに鳴り響かせるように、

歓喜の歌を弾きなさい、と指示しています。

講座では、これらのことを、分かりやすく、ご説明します。

 
このスケールをピアノでどのように弾くべきか・・・

真珠のネックレスのように、ただ美しく、

粒を揃えて弾くべきではない、


ということは、 Bach の作曲意図からして、

自明の理です。

Bach は、イタリア協奏曲作曲の20年前(1713~14頃)に、

イタリアのVivaldi ヴィヴァルディなどの Concerto を、

鍵盤独奏用に編曲しています。

これが、イタリア協奏曲の源泉です。

鍵盤楽器で、どのような楽器を想像しながら弾くべきか、

ということも、自ずと分かってきます
  
 
 
 
 
 
--------------------------------------------------------------

■第2回  中村洋子「イタリア協奏曲」・アナリーゼ講座

 ~第2楽章:美しい旋律に、非和声音が精緻な装飾が施されている~

 ~第3楽章:スケールを、ピアノでどう弾くべきか~

 
■日 時 : 2015年3月25日 ( 水 ) 10.00  ~ 12.30

■会 場:    KAWAI 名古屋2F コンサートサロン「ブーレ」

■予 約:   Tel:0 52-962-3939

----------------------------------------------------------
 
■講師 :   作曲家  中村 洋子  Yoko Nakamura

   東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

       2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

       07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
         無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
         Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
    CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

       08年: CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
        CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

       08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

       09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」の楽譜を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」  から出版。
  
   10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

       10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
       「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」の楽譜を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

       11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」の楽譜を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

       12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
   チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」の楽譜を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

       13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
       「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」の楽譜を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

   14年:「 Suite Nr.2、4、5、6 für Violoncello
        無伴奏チェロ組曲 第 2、4、5、6番 」 の楽譜を、
     ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

        SACD 『 Suite Nr.1、2、3、4、5、6 für Violoncello
                            無伴奏チェロ組曲 第 1, 2, 3, 4, 5, 6番 』 を、
    「disk UNION 」社から、≪GOLDEN RULE≫ レーベルで発表。

             スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
    自作品が演奏される。

      ★上記の 楽譜 & CDは、
「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/ 
「アカデミア・ミュージック 」 
        https://www.academia-music.com/academia/s.php?mode=list&author=Nakamura,Y.&gname=%A5%C1%A5%A7%A5%ED
 https://www.academia-music.com/                           で販売中。

     ★私の作品の  SACD 「 無伴奏チェロ組曲 第 1 ~ 6番 」
   Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、

  disk Union や全国のCDショップ、ネットショップで、購入できます。
http://blog-shinjuku-classic.diskunion.net/Entry/2208/

 

 

 
※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ■繰り返し登場する「主題」は... | トップ | ■平均律第2巻最後の24番は軽... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

■私のアナリーゼ講座■」カテゴリの最新記事