音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■私の新しい作品が6月12日、ベルリンで初演されました、再演も!■

2010-06-20 17:03:03 | ■私の作品について■
■私の新しい作品が6月12日、ベルリンで初演されました、再演も!■
                2010.6.20 中村洋子


★本業の作曲が忙しく、ブログの更新が遅くなりました。

6月12日に、私の「チェロとピアノのための新しい作品」

「Einleitung, Thema und Variationen ueber

 ein Japanisches " Erntelied " 」が、ベルリンで初演されました。


★この曲は昨年、チェロのヴォルフガング・ベッチャー

Wolfgang Boettcher 先生と、

お姉さまのピアニスト、ウルズラ・トレーデ=ベッチャー

Ursula Trede-Boettcher 先生のために、作曲いたしました。

20分以上の長い作品で、技巧的に、かなり高度なものが要求され、

お二人は、半年にわたり、折りにふれて、練習を重ねられました。


★題を、直訳しますと、

「日本の収穫の歌による、序奏とテーマ、変奏 」と、なります。


★コンサート直後に届きましたファックスで、ベッチャー先生は、

「 Yesterday we had a very successfull concert ,

packed full with very good audience , and everybody liked

your music. It was a good - nearly perfect - performance.

We plan to play your " Erntelied "-Variation

in other concerts. 」 と、おっしゃってくださいました。


★「ほとんど、完璧な演奏でした」と、書かれており、

さぞ、いい演奏だったことでしょう。


★以下が PROGRAMM です

■12. Juni 2010

▼CARL PHILIPP EMANUEL BACH
    Sonate D-dur Wtg 137 (1746)

▼LUDWIG VAN BEETHOVEN
7 Variationen über “Bei Männern, welche Liebe fühlen”
  aus Mozarts “Zauberflöte”. (1801)

▼YOKO NAKAMURA
 Einleitung,Thema und Variationen über ein japanisches     
 „Erntelied“.  ( 2009 )
   für Ursula Trede-Boettcher und Wolfgang Boettcher          
      komponiert.       Uraufführung.

PAUSE

▼ROBERT SCHUMANN
     Adagio und Allegro op.70 (1849)

▼DIMITRI SCHOSTAKOWITSCH
           Sonate op.40 (1934)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

▼カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ 
   ≪ ソナタニ長調 ≫ (1746)

▼ベートーヴェン
 ≪「魔笛」の「恋を知るほどの殿方には」の主題による
                7つの変奏曲 ≫ ( 1801 )

▼中村洋子
 ≪ 日本の収穫の歌による、序奏とテーマ、変奏 ≫
                     ( 2009 初演 )

               [ 休憩 ]

▼ロベルト・シューマン
 ≪ アダージオとアレグロ ≫ Op.70  ( 1849 )

▼ディミトリ・ショスタコ―ヴィッチ
 ≪ ソナタ ≫ Op.40   ( 1934 )
-----------------------------

★このプログラムを拝見して、感じましたのは、

日本のリサイタルとは、比べようがないほどの、

質の高い演奏曲目、内容の濃さです。


★ロベルト・シューマンの「アダージオとアレグロ」については、

かつて、ベッチャー先生から、興味深いお話を伺いました。

作曲家のクルタークが、ベッチャー先生のお宅を訪問した際、

次のようなことを、おっしゃったそうです。


★≪ このシューマンの曲のテーマには、

モーツァルト「魔笛」のなかの、タミーノのアリア

「 何と美しい絵姿 」の引用が、聴き取れる ≫


★この話に加え、ベッチャー先生は、

≪ この曲の冒頭は、4分の4拍子で始まるが、

2分の2拍子のように、弾くといいでしょう。

そうすると、シューマンの

「 Langsam, mit innigem Ausdruck

親密に、愛情を込めてゆっくり 」という指定が、生きてきます。

また、第 1楽章 86小節目の、チェロによる 

G、 As、B の、4分音符で始まる旋律を弾くとき、

「 タミーノが、パミーナの絵姿をウットリと見ている

光景を、想像しながら弾いている 」 ≫と話されていました。


★今回の「 プログラム 」は、

ベートーヴェンとシューマンとを、陰で、

モーツァルトがつないでいる、とも言えそうです。


★大変うれしいことに、ベッチャー先生は、

この新作の 「 再演 」 を、計画してくださっています。

日本では、せっかく書きましても、

“ 初演しっぱなし ”ということが多いのです。


★何度も再演してこそ、その曲が、演奏家にとっても、

はっきりと見えてくる、ということは、言うまでもありません。

「 作品を育てていこう 」 という、

ベッチャー先生の姿勢を、尊敬いたします。
 


                        ( 睡蓮 )
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲
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