僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

リンゴの唄 ~ 夢の続き ~

2015年12月27日 | 日常のいろいろなこと

昨日のお昼頃、ピンポーンと鳴った。
妻が出たら、郵便局からの小包だった。

それを抱えて2階のリビングに上がってきた妻が僕に、
「青森からゆうパックでリンゴがたくさん届いたのだけど」
と不思議そうな顔で言う。僕も何のことかわからなかったが、
依頼主の住所氏名を見て「あっ、あの方から」と思い当たった。

青森県十和田市にお住いの女性の方からである。
まだお会いしたこともなければ、電話でお話したこともない。
でも、今も僕の心に刻み込まれている1人の男の人の娘さんである。

以前にも書いたことがあるけれど、話せば長いことながら…
長いけれど、なるべく手短に、改めてそのことを書いてみます。

20歳の時の自転車旅行の話から始まるのだから46年前になる。
つまり1969(昭和44)年の話なので、めっちゃ大昔ですよね。

 ………………………………………………………………

これまで何度も書いてきたように、その年、
20歳だった僕は、6月中旬から8下旬まで、
大阪から日本最北端までの往復を自転車で走り、
70日間、ほとんど放浪のような旅をした。

8月の初旬。北海道から本州に戻って太平洋側を走り、
岩手県へ入って、石川啄木のふるさと渋民村へ来た。
そこには大きな啄木の歌碑が立っていた。

僕が歌碑の前の屋根つきベンチで野宿の準備をしていると、
かなり年配のおじさんが、自転車でやって来た。
自転車で東北一周をしているとのことだったので、
「へえ、このお歳で」と内心驚いた。

「私が啄木碑を訪れるのはこの30年間で4度目です」
 でも、この前で写真を撮ったことがないのです」

男性が悲しそうに言ったので「じゃ、撮りましょう」
と、その啄木碑を背景に、写真を数枚撮ってあげた。

そして住所・氏名を交換した。その人は羽入さんと言い、
青森県の十和田市に住まれている、とのことだった。
「大阪に帰ってからになりますが、写真をお送りします」
「はぁ。よろしくお願いいたします」深々とお辞儀された。

そして羽入さんというその男の人とお別れした。

その時の詳細は「自転車旅行記」に記しています。

大阪に帰り、数枚の写真を羽入さんのご自宅に郵送した。
すると、折り返し、筆で書かれた丁寧な礼状が届いた。
そして冬には青森のリンゴをダンボール箱で送ってくださった。

そして、また予想もしなかったことが起きる。

それから10年以上経ったある日のこと。
突然、わが家に、羽入さんがやって来られた。
「兵庫県の壮年マラソンに出場してまいりました。
大阪に知人がいますので今夜はそこに泊まるのですが、
ぜひお目にかかりたく…」と、僕を訪ねてくださったのだった。

2人で当時の話を中心に、1時間ほど歓談した後、
羽入さんは、丁寧に挨拶され、わが家を辞された。

前述の自転車旅行ブログ(今から10年近く前のものですが)で、
羽入さんに関するそうした一連の話を書いたのですが…

青森県八戸市にお住まいで、教諭のTさんという方が、
たまたま僕のそのブログを熱心に読んでくださっており、
当時僕が自転車で走った青森、岩手などの現在の様子を、
僕のところに、メールで写真を送ってくださったり、
いろいろと興味深い情報を送っていただいたりした。

そしてそのT先生が、お忙しい合間を縫われて、
なんと、十和田市の羽入さん宅をお訪ねになったのだ。

T先生は羽入さんの娘さんに会われ(ご本人は亡くなっておられた)、
僕のそのブログを印刷したものを彼女に渡されたそうである。
T先生からメールでそれを知らされた時は、本当に驚いた。

その後、羽入さんの娘さんから、僕の住所が知りたいとのことで、
T先生へ問い合わせがあり、先生からその旨のメールを受けた僕は、
むろん異存はなく、先生に、わが家の住所をお伝えしたのである。

それがあって、今年のお正月にその娘さんから年賀状が届いた。
氏名の横に「旧姓・羽入」とあったので、その方だとわかった。

明けましておめでとうございます。お元気でしょうか。
T先生より自転車旅行記のコピーをいただき、
家族全員で拝見させていただきました。
父は3年前に空へ向かいましたが、
あなた様と絆を深めることができ、
今でもうれしく思っていることでしょう。
ありがとうございました。

年賀状を拝見し、ドラマを見ているような不思議な気持ちになった。

その素晴らしいドラマを「演出」してくださった
八戸市のTさんには、ただただ恐縮するばかりです。
世の中には、本当に親切な方がおられるものなんですね。

 ………………………………………………………………

46年の歳月がまるで夢のように過ぎましたが、その夢の続きが、
昨日、青森県十和田市から届いたリンゴの贈り物でした。

その贈り物の中に、

お元気でしょうか。少しですが青森の空気を
味わっていただければ、うれしく思います。
到着の連絡はご無用です。〇〇(お名前)

と、その方からのお手紙が添えられていました。
(むろん、すぐにお礼状を書いて投函しました)


いただいたリンゴは、とても甘くて、素敵なお味でした。
モミィも「おいしい~」と喜んでいました。

その、段ボールに並ぶツヤツヤのリンゴを見ながら、
昔々に大ヒットした「リンゴの唄」の一節を思い出しました。


リンゴは何も言わないけれど 
 リンゴの気持ちはよくわかる~


ぷりぷりのリンゴをカリリっとかじりながら、
つい、そんな古い歌を口ずさんだ僕でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2 コメント

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感動的 (ジン)
2015-12-28 12:26:02
何年も前に知り合われた方の娘さんからリンゴが届くとは...とても感動的ないいお話ですね。天国から羽入さんが微笑んでいらっしゃる事でしょう!T先生にも感謝ですね(*^^*)
返信する
微笑み (のん)
2015-12-28 21:13:53
ありがとうございます。
こういうことがあると、自分のこれまでの人生を楽しく振り返ることができますね。

ジンさんがおっしゃるように、天国から羽入さんが微笑んでおられたら、とても嬉しいです。

またT先生は、他にもいろんなところを訪れられたようで、その都度メールをいただきました。
本当に、心から感謝ですよね。
返信する

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