僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

初めて女性と寝た夜??

2019年05月30日 | ウォーク・自転車

今日は怪しいタイトルですけど、どんな展開になりますことやら。

さて、今ごろになってこんなことを書くのは遅きに失したのですが、4月5日に、「なつぞら」の放牧シーンで思い出した “恐怖の体験”  という記事を書きました。4月から始まった朝ドラ「なつぞら」は北海道の大自然が舞台で、牛の放牧シーンが出てくるのを見て、僕自身が北海道自転車旅行中に体験した話を思い出し、そのことを書いたものでした。

どんなことかといえば

オホーツク海沿いの道を走っていた時のこと。海辺の野原にテントを張って野宿をしたのですが、その朝、放牧されていた牛が近づいて来てテントを踏み倒した、というビックリの体験談を書いたものでした。

その記事に関して、その次の記事(4月8日)のコメント欄に、以前からコメントをいただいてきた馴染みのBPSさんからコメントが入り、

ところで、ひとつ前の日記、 【「なつぞら」 の放牧シーンで思い出した “恐怖の体験” 】 ですが、あの日はお独りでしたっけ?

という文章がつづられていました。うむ。さすがBPSさんだな、と思いながら、それに対して、こうお伝えしました。

実は1人ではありません。女性と2人でした(冷や汗!)。 しかしまぁ、さすがによくご存じでしたね~。それを書くと話がそれたり長くなったりするので、牛だけの話に絞りましたが、実際は自転車日本一周中の女性と道で出会い、意気投合して僕のテントで2泊したのでした。近いうち、その話もちゃんと書きますわ。他の読者の皆様に「誤解」されてはいけませんので(笑)。

と、お返事しました。BPSさんが僕の自転車旅行記を丁寧に読んでくださっていたことは承知していましたので、「やっぱり覚えてもらっていたんだなぁ」という思いを新たにしました。

で、それを書こう書こうと思いながら、もう2ヵ月近く経ってしまいました。朝ドラのほうも、舞台はすでに北海道から東京に移り、主人公のなつが漫画映画の世界を目指し、牛の放牧シーンはほとんど見られなくなりましたけどね~

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さて前置きが長くなりましたが、その北海道で牛にテントを倒された時のことですが

BPSさんへのお返事にも書きましたように、その時は1人ではなく、自転車で日本一周をしていた20歳の女性と一緒だったのです。つまり2人で一つのテントの中で寝たというわけです。何だか怪しげな話になってきましたが(笑)。

なぜそんなことになったのかと言うと

ほとんど人影のないオホーツク海沿いのガタガタ道を走っていたら、向こうから「その人」が自転車でやって来た。お互いサイクリスト同士だから止まって挨拶を交わした。日焼けした顔と逞しそうな体格を見て、てっきり男性だと思って間近で見たら、なんと女性だった。

「こんにちは~」 「は~い、こんにちは」

と言いながら、僕はこの旅行中に会った何人かのサイクリストから、今この北海道を日本一周中の女性が走っている、という噂を聞いていたので、すぐにその人だとわかった。僕と同じ大阪の人で年齢も20歳。「はぁ、この女性かぁ」と、改めて彼女を見つめた。

すると彼女のほうも僕の噂を他のサイクリストから聞いていたそうで、「大阪の学生さんでしょ? 言葉ですぐにわかったわ。それに、小柄で高校生か中学生みたいだって聞いていたし」と言ったのだった。(だれが中学生やねん)

時刻は午後3時半だった。意気投合して立ち話が続いた。そして僕は「いつもどこで泊っているの?」と聞くと、さすがに若い女性なので僕みたいにテントで野宿はできないので、旅館に泊まっているという。

そのうち、彼女は少し態度をあらためて、「わたしはユミ子。ユミちゃんです。君は今日はどこで泊るの?」と僕に尋ねた。僕は「適当なところでテントを張るよ」と答えた。するとユミちゃんは驚くようなことを口にした。

「わたしはね、ずっと旅館に泊ってきたんだけど、一度、野宿がしたかったの。今晩、テントにいっしょに泊めてよ」
「テントに? いっしょに泊まるの?」
「そうよ。キャンプしようよ。いいなぁ、テント。男の人はいいよね。どこでも泊れるからねぇ。その点、女は損だよ。よ〜し、きょうは君のテントでいっしょに野宿をするよ。いいでしょう?」

僕は多少戸惑いながらも「ええよ」と答えた。別に反対する理由もないし。

ユミちゃんは「やったぜ、ベイビー!」と、この年に大流行した言葉を発し、大いなる喜びようで、「よ〜し。今日はここで野宿だぞぉ!わーい。初めての野宿だぁ」と、道の真ん中で両手を突き上げ、大声で歓声を上げた。

その場で浜辺の草原に降りてテントを張ったあと、2人で近くの村まで行って食料品店を見つけ、パンやハムなどの食料を買い込んだ。店のおじさんから「あんたたち、夫婦かい?」と聞かれたので「いいえ、いま会ったばっかりです」と言ったら「そうかい?」と言いながらも、腑に落ちない顔をしていた(笑)。

夜はユミちゃんがその辺から集めてきた枯れ木のクズでキャンプファイヤーをし、いろんなことを話した。途中から、彼女の身の上話になった。

彼女は梅田の地下街でウエイトレスをしてお金を貯め、念願の自転車日本一周に出たという。しかし何と言っても女性なのだから、旅行中は決して油断せず、特に男性には十分警戒しなければならない、な~んてことを言った。だから宿泊は必ず旅館と決めていた。旅行に出てから、旅館以外で泊まるのは本当にこれが初めてだという。

「だったら、なんで僕のテントに泊まろうと思ったの?」と聞くと、ユミちゃんはニンマリ笑って、僕ならどう見ても安全に思えたし、しかも大阪同士なので気が合いそうだったから、と答えたのだった。
(これって、喜んでいいわけ?)。

夜も10時半になり、そろそろ寝ようか、ということになった。僕は寝袋をひとつ持っていて、いつもテントの中で寝袋にくるまって寝ていたのだけれど、さすがに相手は女性だから寝袋を彼女に提供した。「え~、寝袋使わせてくれるの。うれしい!」と言って、そこにすっぽりと入った彼女の横に僕はごろんと横たわり、そのまま話を続けた。寝たのは夜中の1時半ぐらいだった。

これが、僕が生まれて初めて女性と2人で寝た夜でした。まあ、より正しく表現するなら「2人で寝た」ではなく「2人で眠った」ですけどね(笑)。

そして翌朝、牛たちがテントにやってきて、僕らが外に避難すると、1頭のいたずらな牛がテントを踏み倒した、という話になったわけです。一部テントが破れた部分を、ユミちゃんは持っていた裁縫道具で縫ってくれたので助かった。さすが~、女性である。

この朝、2人はここで右と左に別れるはずだったけれど、牛の一件もあってか、何となくグズグズしたあげく、ユミちゃんが、 「もう1泊しよう! 連泊だよ、連泊。連泊しよう!」 そう言ったので、僕も異存はなかった。

それでは今日はジンギスカンで盛り上がろう、ということになり、買出しに行って沢山の羊肉、ジャガイモ、パン、きゅうり、お菓子などの豪華な買物をし、それを昼も夜も食べた。

ということで、結局、ユミちゃんとは2泊して、次の朝、彼女は北の稚内方面、僕は南の網走方面へと、互いに反対方向へ別れて出発した。

 …………………………………………………………………………

これは1969年(昭和44年)7月の話です。ちょうどアポロ11号が月に着陸した時でした。僕は8月下旬に大阪へ帰り着き、ユミちゃんはその後も走り続け、各地からわが家にハガキを送ってきてくれました。「いま与論島です。日本最南端まで来ました」というハガキもありました(当時沖縄はまだアメリカ領だった)。そして12月に日本一周を達成したということです。

女性が自転車で日本一周をした、ということで当時評判になり、サイクリング雑誌のインタビュー記事にも彼女は写真入りで出ていたのですが、その雑誌を読むと、僕とのことも書かれていたのです。

そのくだりは

「旅の途中では、いろんなことがあったのでしょうね?」 と、サイクリング誌の記者。  「えぇ。会ったばかりの男の人とテントに泊まったりもしましたよ」 とユミちゃんが答える。  「え? 男の人と2人でテントに泊まったの?」 と、記者がビックリして聞き返す。  「そうですよ。大阪の学生さんです」  「初対面の男性と2人っきりで? テントで泊まった?」  「ええ。〇〇昇という名前で、寝袋も私に貸してくれました」 と、僕の実名まで書かれていたのには、いやぁ、参りましたわ。

そして彼女は旅行を終えた数年後、もう結婚して子供もいた僕の家に遊びに来て、泊まったりもしました。

その後、オーストラリアに行き、シドニーで電車の車掌さんのイアン・キャンベルさんという男性と結婚したそうです。「これからは、ユミコ・キャンベルって呼んでちょ~だいね」 オーストラリアからのエア・メールに、そう書かれていました。

それ以降、彼女との音信は途絶えました。

「なつぞら」の放牧シーンとBPSさんとのコメントのやりとりをきっかけに、懐かしい話を紹介させていただきました。

自転車旅行へ行ったのが1969年の夏なので、あれからちょうど50年の歳月が経ったことになりますが、早いですねぇ。あっという間です。

織田信長じゃありませんが、
50年。夢まぼろしの如くなり」ですね~

 

 
これがユミ子さん。飯盒でご飯を炊いてくれています。

 

 
ユミ子さんと別れる時、撮ってもらった写真です

 

 

 

 

 

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4 コメント

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忘れられない旅 (BPS)
2019-06-01 16:09:51
のんさんこんにちは。
いつも楽しくブログ読ませてもらっています。

今回はリクエスト?にお答え頂いたみたいで、
なんだか申し訳ございません。

私も1985年、富良野で同じような経験をしました。
その時の女性が今の妻です。
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↑(自分の昔話を色々書いてみたのですが、やっぱりのんさんのような文才も無く、恥ずかしいので削除しました。(^^; )

のんさんの"体験記"、本当に面白いです。
これからも細くでも構いませんので長く私達を楽しませてくださいね。

【返信不要】
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お聞きしたかった~ (のん)
2019-06-02 07:03:30
いつもお読みいただきありがとうございます。
はい! 遅くなりましたが「リクエスト」にお答えしました(笑)

それにしても、BPSさんも富良野で同じような経験をされ、
それだけではなく、なんと、その時の女性の方が今の奥様とはねぇ。
世の中のご夫婦にはさまざまな出逢いがあると思うんですけど、
そんな劇的な出逢いからご結婚へと…。いやぁ、驚きますわ。
ぜひその時のことをお伺いしたかったのに、…削除されましたか。残念!

でも、いつかお聞きしたいなぁ、そのお話。
返信する
気になる (yukari)
2019-06-03 21:35:17
うわーー。素敵な話。
素敵なユミコさんの現在がとっても
気になります!
ユミコさんも、たまにのんさんの事を思い出しておられるでしょうねえ。
フェイスブックとかやってはらへんのかなあ。
返信する
便りのないのが… (のん)
2019-06-04 11:15:49
…無事の知らせ、とはいいますが、やはり今頃どうしてるんだろうな~
と、ふと思ったりすることが、今でもあります。
まだ外国に住んでいるのか、日本へ帰ってきているのか?
何しろああいう女性ですからね~
僕のことなどもう忘れているのと違います?
波乱万丈の人生を歩むのか好きそうな人だったから。

フェイスブックねぇ~
やってはっても、僕のほうがやりかた、わからへんしねぇ(泣)
返信する

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