昔むかしの大むかし。春日八郎の「お富さん」という歌が大ヒットした時がありました。この歌を「知ってる!」という人は、よほど古い人です(笑)。
僕はまだ小学校にも行っていなかった頃ですが、その歌は家にいたらラジオから流れてくるし、外へ出ても商店街などでこの歌が聞えてくるので、全部覚えてしまうんですよね。でも、耳で聞くだけだから、歌詞の意味がわからない。
ちなみに「お富さん」の歌詞は
♪ いきなくろべえ みこしのまつに
あだなすがたの あらいがみ~
しんだはずだよ おとみさん~
というものですが、僕はその歌詞を口ずさみながら、出だしの部分について、自分ではこういう漢字をあてるのだと思っていました。
粋な黒兵衛 みこしの松に
「みこし」というのは、お祭りなんかでかつぐ「おみこし」のこと。つまり粋な黒兵衛さんという人が「おみこし」を担ぎながら、松の木にでもぶつかったりするのかと思っていました。ホント、そう思っていました。そのあとの、「あだなすがたの あらいがみ」ってのは、もう何のことやらさっぱりわかりませんでしたけど、歌そのものは全部覚えていたのでした。
そして、それから何十年も経ってから、
「粋な黒兵衛」というのが「粋な黒塀」だったこと、
「みこしの松が」というのが「見越しの松」だったこと、
を知りました。
つまりですね、え~っと、
洒落た構えの家の黒い塀越しに、松の木が見える…
…そういう光景を表したのが、
「粋な黒塀 見越しの松に~」
という歌詞だったとのことでした。黒兵衛さんが「みこし」をかついでいたのではなかったのです。
それを知ったとき、「な~んや、それは」とため息が出ました。これが、僕の聞き間違い人生のスタートでした。
それ以来、聞き間違いはいろいろありました。「竹馬の友(ちくばのとも)」を「ちくわの友」と思ったこともありましたしね(どんな友だちやねん)。
最近ではテレビCMで、「嵐」の桜井翔が女性に、
「棺桶(カンオケ)に入ってらっしゃったんですね」
と言ったように聞こえたので、「え~っ?」と驚きました。
そんなぁ、「カンオケ」に入ってらっしゃったなんて。
あんたはドラキュラかいな!
と思ってよく見ると、画面に「がん保険」という文字が出ました。
「がん保険」が「カンオケ」に聞こえたわけです。
「がん保険に入っていらっしゃったんですね」だったわけ。
これはえらい聞き間違いですわ。笑い事ではすみませんで。
「パンプキン詐欺」という言葉も耳にしました。
「パンプキン詐欺? カボチャ? ハロウィンに関係あるの?」
一瞬そう思ったんですが、よ~く聞いてみると
「パンプキン」ではなく「還付金(かんぷきん)」でした(どんな耳やねん)。
つまり、いま社会問題になっている還付金詐欺ですね。
他にも、ニュースで、「北アルプスのヤケ酒が小規模噴火」と聞こえたので、えっ? 「ヤケ酒」がどうしたん? と思っていると「焼岳」でした(何でも「サケ」に聞こえるんやから)。
先日は「民進党」が「妊娠党」に聞こえました。トホホ。
とまあ、アホな聞き間違えばかりする自分の耳とアタマはどうなってる? ちょっとおかしいのではないか? と心配になってきているわけですが、たまたまこの間、村上春樹さんの書いた文の中にこんなのを見つけました。
村上さんは、
「高田馬場(タカダノババ)」が「はだかのババア」に聞こえた。
と書いていました。
う~む。これなら僕と大して変わりませんね。
少し安心しました(笑)。
お富さん
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