僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

嘱託殺人と 「ミリオンダラー・ベイビー」

2020年07月24日 | 映画の話やTVの話など

連日コロナが報じられる中、衝撃的なニュースが入ってきました。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)に苦しんでいた51歳の女性が、「死にたい」とツイッター上で発信していたのに対して、それに対するやりとりをしていた医師2人が女性の自宅へ行き、薬物を投与し、女性が死亡したというニュースです。医師2人は、嘱託殺人の容疑で逮捕されたということです。

きょう、そのニュースをテレビで見ていたモミィが、
「しょくたく殺人ってなに?」
と僕に聞きました。僕は、
「殺してくださいって頼まれて、その人を殺すこと」
と、説明しました。
「げっ! そんなん、あるん?」
とモミィは目を丸くしていました。

一応、僕も法学部を出ているので、嘱託殺人については勉強したことがあります。その結論は「これほど難解な犯罪はない」ということでした。

もしも
自分が難病など助かる見込みのない病気にかかって、もうこの先、100パーセント元の人生には戻れないとわかっていた場合、それでも生き続けたいと思うか?
と自分に問うてみると、答えは「否」です。
(多くの方は、そうじゃないかな?)

先に望みがないのに、ず~っと苦しみ続けるのも嫌だし、家族に迷惑や負担をかけるのも嫌だし、生きている意義がない。ただ、息をしているだけではないか、と思ってしまうんですよね。だから、死にたい。

僕が大好きな谷村新司の歌「陽はまた昇る」の歌詞に、
あぁ、生きてるとは、燃えながら暮らすこと~」
という一節があります。
つまり、少し極端ですが、燃えなければ生きられない、と思うわけです。

実はこのブログ、2007年に始めた時のタイトルは「僕のほそ道」ではなく、
「陽はまた昇る」でした。

その当時、突発した耳鳴りに悩み、落ち込んでいた時、このブログを開設することで何とか気持ちを晴らそうと「陽は沈んでも、いつかまた昇るんだ」という願いを込めてつけたタイトルでした。また、僕の名前も「昇」でしたから(笑)。

そんなふうに思っていたので、今回の事件は複雑な思いで見ています。
「陽はまた昇る」という見込み(つまり病気が回復するという見込み)が全くなく、生きる意欲を完全に失った人。安易なことは言えませんが、本当につらい毎日だったと思います。

だから今回、その人を「安楽死」させた2人の医師が逮捕された事件については、どう感想を述べていいかわかりません。回復の見込みのない難病の人が「死にたい」という気持はわかりますし。でも、頼まれたから殺した、という嘱託殺人でも、やはり殺人に変わりありませんし。

そんなことを考えながら、かつて感動した映画のことを思いました。

「ミリオンダラー・ベイビー」
という名作です。

ご存知の方も多いと思いますが

この作品でアカデミー賞の主演女優賞を獲得したヒラリー・スワンクが主演で、相手役はこの映画の監督も務めたクリント・イーストウッド。女性のボクサーとしてチャンピオンにまで上り詰めたヒラリーが、ある試合で反則パンチを受けてコーナーの椅子に首を打ち、骨折して全身不随となる。再起不能となって病院のベッドで自殺を図ろうとする彼女を見守っていたトレーナーのクリント・イーストウッドが、彼女の思いを察し、そっと彼女の人工呼吸器を止める

涙が止まらないラストシーンだった。

「安楽死」という言葉を聞くと、必ずこの映画を思い出します。

今回の「嘱託殺人」については、詳しいことはわかりませんが、
「人助け」と「殺人」が紙一重のケースもあるんだということを、
改めて突きつけられた思いです。

 


  
 この映画は2004年に公開されました。

 

 

 

 

 

 

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4 コメント

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Unknown (みゆき)
2020-07-25 23:34:54
のんさん、法学部卒なのですね。
それなら尚更今回の事は痛ましく思っていられることと思います。
患者は死を望んでいた。
それは間違いない事実です。先日の三浦春馬さんと同じように。
生きる権利と死ぬ権利。
他人が死に関われば事件になります。お金が絡んでいたら尚更。それでもご本人が死にたかったのだと思えば悲しくてなりません。
ご冥福を祈ります。
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Unknown (通りすがり)
2020-07-26 20:12:17
はじめまして!
実は息子が中学受験の時にこちらのブログを初めて拝見しました。その時もコメントを試みたのですがGooブログの不具合か出来ませんでした。
今回の安楽死ですが、人間以外の動物、例えば競走馬なんかでも骨折したら安楽死させるというのを昔読みました。良いか悪いか別として、なんで人間、しかも完全に肉体機能がきかない人が安楽死を求めてもダメなのかが疑問です。本人の精神的苦痛も計り知れないし、延命費用もかかるし、第三者(スレ主さんをさすのではないですよ!)が簡単に安楽死を否定するのはどうかと思います。
新聞を読んでても、そのような病状でも生きたい人のコメントが、さも全体の意見のように載っていますが、中には今回亡くなった彼女を羨んでいる人もいると思います。
立法化するにも、キチンとそういう人たちの意見を聞いてからにしてほしいです。
返信する
みゆきさんへ (のん)
2020-07-27 11:00:21

ハイ。法学部です。そしてゼミでは刑法を専攻していましたので、嘱託殺人については、自殺をするのを助ける「自殺幇助」とともに、教授や仲間たちといろいろ熱い議論を交わしたことを覚えています。
「生きる権利」とはよく言われることですが、同時に「死ぬ権利」という問題についても、もっと論じられるべきなんでしょうね。

今回のブログをアップしたあとで、2人の医師にお金が振り込まれていたことを知りました。その後、さらに1人の医師は、医師の国家試験資格である自身の卒業大学を偽っていた、というニュースも入りました。
そもそも2人はどういう人物で、また、どういう気持ちで亡くなられた方の「死にたい」という思いを叶えてやろう、という気になったのか? その辺はわかりませんが、みゆきさんがおっしゃるように、それでもご本人が死にたかったということだけは、まず間違いのないところのようなので、胸が痛みますね。本当に辛い事件でした。
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通りすがりさんへ (のん)
2020-07-27 11:01:58
通りすがりさん、はじめまして。コメントありがとうございました。
安楽死に関するご見解、興味深く読ませていただきました。
安楽死は日本では、ごく稀なケースを除き、嘱託殺人や自殺幇助として犯罪となりますが、外国、特にスイスなどは比較的ゆるい条件で認められているということです。今回、亡くなられた方も、何年か前に「スイスへ行って安楽死したい」という意思表示をされたことがる、とのことでした。

今回の事件を巡っては、たしかに「どんな状況であれ、生きるべき」というような論調も飛び交っていますね。もちろん、医師側の行為が正当だったとは言いにくいですが、亡くなられたご本人としては、本望だったでしょう。難病を経験したことのない僕たちには、その苦しみがどれだけ理解できるのかわかりませんが、でも、それを自分の身に置き換えて想像することはできますよね。僕も同じ状況になれば、安楽死を強く望むと思いますので。
では、また、お立ち寄りくださいね。
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