僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

半世紀前に出したハガキが戻る

2020年06月17日 | ウォーク・自転車

昨日、学生時代からの古い友人から1通の手紙が届いた。

若い頃は一番の親友で、僕の結婚式の時は友人代表で挨拶をしてくれ、彼の結婚式の時には僕が司会をした。そして20数年経ち、今度はその友人の娘さんの結婚披露宴に招かれて、僕が主賓の挨拶をさせていただいた。

彼は今、大阪の守口市に住んでいるが、会わなくなってから10年ほど経っている。そして5年前に母が亡くなった時に電話で話したのを最後に、お互い年賀状のやり取りだけの関係になっていた。

その彼から手紙が来たので、何事かと思い、急いで封筒を開けた。

中には薄汚れたハガキが何枚か入っていてゴムバンドで止められていた。そして便せんには「前略 お元気ですか」で始まり、そのあとは、びっくりするようなことが書かれていた。要約すると

君の北海道への自転車旅行から50年余り経ちましたね。6月17日が出発日だったと思うので、その日に間に合うようこれ(当時、僕が旅先から出したハガキ)を送ります。コロナの禁足令のおかげで、学生時代から卒業後のしばらくの時間旅行(タイムトラベル)をしています。暑くなりますが体に気をつけてください。

というようなものだった。

これは昨日の話なので、「そうか、明日は6月17日で、自転車旅行に出発した日なんだ」と、僕はこの手紙を見て初めてそのことに気がついた。今まで6月17日は絶対忘れない日のはずだったのに、今年はすっかり忘れていたんだ。でも、友人はよくそんなことを知っていたもんだなぁ。

やれやれ、ボクも年ですかねぇ。最近では今日が何日かもわからないので、翌日が6月17日だということも念頭になく、友人からの手紙で気がついたわけで、思わず笑ってしまいました。

友人は「学生時代から卒業後のしばらくの時間旅行(タイムトラベル)をしています」と書いていたが、多分、コロナで家にいる時間が長いので、若い頃のいろんなものの整理をしていたのだろう。そこで僕が出したハガキを見て、6月17日が近づいているので送ってやろう、と思ったのだと推測できる。

 
封筒には7通のハガキが入っていた。

で、その手紙に同封されていた古いハガキは、僕がその旅行中に彼に送ったもので、全部で7通あった。我ながら下手くそな字だなぁ、と思いながら1枚1枚を手に取ってみた。

僕の自転車旅行は、大阪からまず日本海沿いを走り、青森から函館、そして北海道を時計回りで1周し、帰途は太平洋沿いの東北、関東、中部地方を走って大阪へ帰るというコースだった。そして、旅の途中、家族や多くの知人に、毎日のように手紙やハガキを書いて送った。

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友人への7通のハガキの1通目は新潟から出したものだった
出発の日から新潟に着いた日(6月24日)までの出来事を箇条書きで記している。

2通目は函館から(消印は7月2日とある)。
「ハルバル来たぜハコダテェ~。淋しいけど最後までがんばる。本当のことをいえば今すぐにでも帰りたい気持ち」

3通目は稚内から(消印は7月13日)。
稚内公園のスタンプを押し、
「最北端へ来ました。ありがとう」とだけ書いています。

4通目は北海道を終え下北半島の大間崎から(消印は8月2日)。
内容は、「北海道をぐるっと回り終え、毎日めまぐるしくいろんなことが起こり、思い出すとおもしろい」とハガキにギッシリと北海道の感想を書いています。最後に「よければ仙台市中央郵便局留めで便り下さい」と加えています。

5通目は石川啄木のふるさと、岩手県渋民村から(消印8月7日)。
7通のうち、唯一の絵はがきで、岩手山や北上川の風景写真と啄木が詠んだ歌が記載されています。

6通目は仙台から(消印は8月10日)。
岩手県から宮城県仙台市までのいろんなエピソードを書いています。

最後の7通目は神奈川県鎌倉市から(消印は8月21日)。
内容は、「25日頃帰る予定(中略)僕はこの旅行は、自分のたよりなさを知らされた旅だと痛感する」
などと、なんだか神妙なことを書いています。

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以上のような古いハガキの話でした。

そういえば、5年前に友人と電話で話した時、
「君が自転車旅行中にくれたハガキ、まだ持ってんねん」と彼が言った。
「なんでそんな古いもん持ってるんや。捨てろや、もう」と僕。
「捨てにくいやん。そっちに送ろか?」と言うので、
「いらん、いらん。破って捨てて」と強く断ったことを覚えている。
なのに、5年後に、いきなり送って来た。ほんとにもう~

と言いながらも、自分が半世紀も前に書いたハガキを見るのは、どこか奇妙な感じだけど、やはり懐かしくもありますね。


6通目の仙台から送ったハガキを紹介します。


 

仙台駅のスタンプも押してありますが、文章の内容は

啄木の碑をみて、高村光太郎の山荘でテントをはって、宮沢賢治の碑をみて、平泉では芭蕉の句をみてーーーこのところ文学紀行のような感じ。きのう一関郊外でスピードを出しすぎてひっくり返り、あやうくうしろの車にひかれそうだった。ひじをすりむいた。ああ帰りたい帰りたい。速達で手紙ありがとうね。
(原文ママ)


というわけで、今日6月17日は自転車旅行の出発の日でした。

人から教えてもらったわけですけどね(笑)。

このブログを書きながら、
僕も20歳の頃の自分にタイムスリップしていました。

 

 

 

 

コメント (1)
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