僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

お酒をめぐる暴険

2013年12月01日 | 雑記

ちなみにタイトルの「暴険」はアテ字です(笑)。
村上春樹さんの小説の題名にひっかけてみました。


さて、スポーツクラブ・コスパで、いつもよく話すTさんという70代前半の男性がいる。ユーモラスで、愛想がよく、僕にも敬語を使うような物腰の柔らかい人である。先日その人とロッカールームで話しているうちに、つい長話になった。内容は、お酒に関する話だ。


Tさんは若い頃サラリーマンをしていたが、お酒が大好きだった。そして、たまたま跡継ぎがいなくて店を閉じようとしていた親戚の酒屋を継ぐことにし、会社勤めをやめた。で、酒屋の主人になった。それで…「朝から晩まで飲んでましたわ。商売にも何もなりませんでしたね」と語るTさん。大の酒好きが酒屋の主人になり、まわりを酒に囲まれていると、そりゃぁつい飲みたくなるでしょうね。酒がヤマほどあるんだから。あとは自分の意志との闘いだけ。で、飲み始めると止まらない…というのは、僕もよ~くわかりますしね~(笑)。


「酒屋の主人の9割はお酒が好きではない人です」とTさんは言った。「酒屋でお酒好きな人は、自分が知っている限り、ほとんど身体を壊してはりますね」


僕はTさんの話を興味深く聞き続けた。


毎日、朝から晩まで酒を飲む…。体にいいはずがない。肝臓の数値はもとより、血圧、血糖値、尿酸値など、いろんな数値が基準値をはるかに上回り、また、酔って転んで怪我をしたことも一度や二度ではなかった。「ここ、見てください」と、Tさんがメガネをちょっと上げて、自分の目元を指でさわった。そこにはえぐられたような傷跡があった。「酔って自転車でコケましてん」。それが右目である。「それから、こっちが…」と次は左の目元を指して、「酔って溝に落ちたときに怪我しましてん」と小さな傷跡を見せた。


「ほどほどに飲むということが、できませんねん」
とTさんはしみじみ述懐する。
「それで60歳の時から3年間、酒を断ちました」
「えっ? さ、さんねんかんも!」と僕は驚いた。
「いろんな数値が正常に戻りましたわ」Tさんは笑った。
「…で、また飲み始めたのですか?」と僕。
「はい。また飲み始めて、かれこれ10年になります」
「ふ~ん。で、今はお体の調子はどうですか?」
「時々1ヶ月禁酒をしていますので、まずまず…」
現在も禁酒中で、12月中旬からまた飲むつもりだ、と言った。
「まぁ、お酒は飲みすぎたらあきませんわ」と、自分に言い聞かせるように言われたのだろうが、同時に僕に言われている気もした。
そんなことで、「ではまた明日~」と僕たちは分かれた。
(あ、書き忘れたが、Tさんは今はもう酒屋さんはやめておられる)


僕もお酒は好きだけれど、上には上がいるものである。世の中には信じられないほどの量のお酒を飲む人が大勢いるんだ。たいてい、一晩にどれだけ飲んだか…という話を聞くと、びっくりするほどものすごい量を飲む人がいる。


これは週刊文春の11月7日号に載っていた元横綱の武蔵丸(現武蔵川部屋の師匠)の話だけれど、こんな途方もない大酒飲みは、今まで見たことも聞いたこともなかったので、ついでに紹介しておきたい。


週刊文春のシリーズになっている「阿川佐和子のこのひとに会いたい」という対談記事の中で、武蔵丸は酒が大好きで、大関時代、毎日飲んでばかりいたので、なかなか横綱に上がれなかった…ということを打ち明けた。そして、「このままじゃいけない」と思って酒をやめたら、その四場所後に横綱になれた」ということだった。


この話を受けて阿川佐和子さんが「ちなみに、当時はどれくらい飲んでいたんですか?」と尋ねたら…


「ビールなら中ビン200本ですね」という答えが返って来た。
(中ビンは500ml。缶ビールで言えばロング缶です)


それを聞いた阿川さんが「ええっ、一晩で!」と仰天していた。


武蔵丸は一晩でビールの中ビンを200本飲んでいた!
ひとりで一晩に200本ですよ。

にひゃっぽ~ん! げぇぇぇぇぇえ~


人間ではなく「おばけ」である。こわ~い。

 


 

コメント (2)
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