めぐろのめばる

目黒川近辺で日本の四季を楽しみ、未来の日本を憂う。
かつての美しい日本と日本人がいかに素晴らしかったかを思う。

復興しても晴れぬ心

2016-01-26 13:56:56 | 災害

いつまで検査を続ければいいのか。というのが
福島や周辺の汚染地域に生きる農林水産業に関わる方々の
率直な意見です。
政府として見れば、汚染地域の数字が低くて、安全という事を公表する事で
人々の暮らしも次第に復興し、しだいに元の様な安心で豊かな土地になると
考えているとしたら、大間違いです。

何故、原発事故の当時、東京に於いても、かなり高濃度の汚染が各地で

計測されたにもかかわらず、直ぐにその情報は、マスコミの話題から消え
あれから数年間、全く汚染には至らなかった、安全な東京と言う事を
世界にアピールしたのは、今の福島の人々や地域の生産物が置かれている
様々な問題が起こることを恐れての事だったからです。

当然、大きな力が働いて、首都圏の汚染は無き物となったのは明らかですが、

安全と言われる数値が出ているにも関わらず、福島や周辺地域が置かれいる
様々な苦しみを理解せず、日本においても、世界に於いても、特殊な地域として
印象付けている今の復興対策は、多くの人々の心を逆なでにしていると言っても
過言ではないと言えます。

震災から5年にも成れば、街も大きく変わり、人々の生活も次第に安定し

元の地に戻ることが出来る方も次第に増えてきました。
事によると、以前の生活よりも便利で過ごしやすい生活になるかも知れません。
しかしながら、多くの被災者たちの心が本当に晴れる日は、遠い先の事と成り
目先の復興で満足するのは、復興事業を進めてきた方々だけと言えます。

一番の復興は、被災者の方々の心の復興です。

ただ、死なずに済んだ、健康を取り戻した、住む場所が出来食べるに困らなくなった、
その様な生活を行なうための基本的な事は、時間が経てば次第に成し得る事です。
しかし、問題は、当日に失った多くの人々の心の糧、更には、豊かな自然と人の間で
培われてきた東北の人々の魂が癒されていない事です。

つまり、元通りの自然がいまだ戻らない事、さらには、震災以前に関わってきた

日本中の人々との心のバランス、そして、世界の方々からの暖かい気持ちが
元の様になっていない事です。
経済的復興がいくらできても、自然や人に生かされている私達は、様々な誤解や
偏見、差別が生じていては、決して安らかな人生は送れないのです

今、福島の人々が抱えている最大の苦悩は、経済的な基盤が戻らない事ではなく

福島を見る日本の目世界の目が、福島を特異な地として見ている事です。
いくら安全値を示されても、人も自然も元通りになって来たと言うパフォーマンスを
政府や国が示したとしても、他の地域や国とは違っている特異な地と言うレッテルが
無くならない限り、根本的な問題は解決しないのです。

それだけの大きなリスクを負っている事に、単に数字の上での判断をするだけでは

福島の人々は納得できないのは当然とも言えるのです。
本当に、復興を考えるなら、福島のみならず、首都圏東京に於いても、
特定の場所のみならず、全区域の安全数値を公表すべきなのです。
例え、その事により世界の人々の見る目が変わったとしても、将来の日本や
そこに生きて行く人々の事を考えれば、行うべきであり、行う勇気のある
リーダーが生まれる事が、本当に日本が放射能汚染からの復興を考えているかを
世界に示していく事と成るのです。