抜ける様な青い空に、鮮やかに黄色く色付いた銀杏の葉が
暖かい風に揺れています。
バスを降りると、余りの美しさに、思わず見とれて、シャッターを押しました。
とは言え、来週はクリスマス、この暖かさは、一体何なんでしょう。
世界的な温暖化が問題となっていますが、都内の公園や幹線道路の街路樹は
いまだに美しい色で、秋の紅葉真っただ中と言った状態です。
ここ百年の世界の気温の上昇は、ほんの数度とは言え、地球の歴史からすると
余りにも急激で、この変化に多くの生き物が付いて行けず、その影響は
確実に私達の日常に様々な問題を生んでいます。
これからの世界は、確実に農畜産物や漁業資源に深刻なダメージが現れ
更に、多くの国々の人々が飢餓に苦しむ時代がやって来ると言われています。
街を歩けば、至る所に美味しそうな食品を売る店が並び、都会に集まる食品は
飽食日本を象徴する程溢れています。
しかし、この姿は、正に、ロウソクの火が消える最後の場面の様で、こんな光景が
遠い昔の夢物語と成りかねない状態なのです。
日本がいかに豊かな国であるかは、何百年も変わらず続いてきた四季の存在で
知ることが出来ます。
一年を通じて、様々な食品に恵まれ、世界的に見ても、これ程にもバラエティに富んだ
食べ物が豊かな国は珍しいのです。
更には、世界中から、珍しい食品が輸入され、日本にいれば、居ながらにして、
世界中の食べ物を味わう事が出来るのです。
ところが、この私達の食生活が、近い将来、脅かされる可能性が出てきているのです。
元々、山岳地帯が多く、農作物に恵まれない日本は、多くの国から足りない食量を
輸入で賄って来ましたが、今や、世界的な食料危機が心配され、各国の食料自給率も
次第に下がり、私達が、望むだけ食料を輸入出来ない状態が予想されるのです。
日本近海に於いても、近隣の国々から大型漁業船団が押し寄せ、我が国の漁師が
漁獲する前に、根こそぎ捕りさってしまう問題が起っています。
更には、異常気象による干ばつは、大量の穀物供給をしていた大国に大きなダメージを
与え、我が国が必要とする輸入量の制限を余儀なくしています。
私達人類は、生き物である限り、どんなに文明が進歩しても、食料を欠かすわけには
いきません。人口が増えただけ、食物増産をしなければ、人々は飢えてしまいます。
その為、人類の歴史は、食物増産の歴史でもあるのです。
自国の生産量を上げるだけでなく、他国に攻め入って耕作地を増やし、人口増加に
対処してきたのが今までの辿って来た道でもあったのです。
ところが、近年の地球温暖化は、その全てを否定する程に、人類にとっては
深刻な問題でもあるのです。
近頃、世界の首脳が集まり、二酸化炭素の排出量を抑える会議を開きましたが、
大量排出国が提案する排出削減量を実行できたとしても、実際は、焼け石に水と
落胆の顔を隠せない学者も少なくありません。
私達人類の寿命はせいぜい80年前後、その間に、大幅に地球が変わることは
無かったのですが、これから30年程の間には、人類が体験した数千年の変化より
激しい気象変化が予想され、更には、今世紀末には、生物が生息できる限界の
気温まで上がると予想する学者も出てきました。
今や、地球は、活発に活動を始め、様々な気象条件の変化だけでなく、地震、火山と
地殻の変動すら急激にその存在を主張して来ています。
私達の住む日本は、近年、巨大地震が予想され、実際には、ここ20年に於いても
日本中のどこかで大きな被害を出す地震が起こっています。
今や、日本に住む人は、一生の間に一度は大地震を体験すると言われています。
数年来数十年来に首都圏や日本の主要都市を直撃する大地震が来ると言う
予想を否定する学者は、最早いません。
私達日本人にとって、大地震も、大恐慌も、食料危機も、逃れる事が出来ない程
ひっ迫していると言っても過言ではないのです。
これ程にも、未来を期待できない時代は今までに有りませんでした。
おりからの不況もあって、今や、若者たちが将来に大きな夢を抱く事が
少なくなったと言われます。
余りにも悲観的なこれからの地球に生きるには、言ったどうしたら良いのでしょう。
神仏に頼って、運命から逃れる事を考えたらいいのか、その時まで出来るだけ
楽しい事をして過ごしたらいいのか、はたまた、より一層厳しい条件を強いて
その事態を耐えられる自分を作り上げるのか、人々の気持ちの多くは、戸惑い
悩み、苦しむと思われます。
しかしながら、確実にその日が何時か、何処が被災するのかが解からない今、
何を考えても、それこそ運命を予想するだけで、はっきり言って無駄とも言えます。
天変地異ではなくとも、何度も大戦争を乗り越えてきた私達日本人がする事、
それは、様々な事に冷静に対処できる、正しい知識と心構えを持つ事です。
闇雲に情報を恐れる必要も無く、神経質にその日を待つ必要もないのです。
私達は、今、この瞬間を生きています。でも、その先はいつも未知の世界です。
ひょっとしたら10分後に大地震で死んでしまうかもしれません。
しかし、何とも無く、その後、長寿を全うして、安らかにこの世を去るかもしれません。
全ての情報は、予想であって、その通り成るとは限らず、どの程度被害を被るかは
それこそ時の運なのです。
大切な事は、起こるその日よりも、何もないその日までの方が、絶対に長いのです。
情報に踊らされたり惑わされたりしないで、一日一日、自分がこの世に生かされている
喜びや幸せを感じる方が余程大切です。
何もしなくても、騒ぎ立てても、時は確実に過ぎて行きます。
もし、天変地異が起こっても、その後、時は確実に過ぎて行きます。
私達が備える事、それは、何が有っても、どこに居ても、その状況をむやみに
騒ぎ立てたり悔やんだりしないで、確実に次のステップを踏める自分を作って
新たなる幸せを目指す努力をする事なのです。
東京はまだ秋?