ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

「ビートたけしの独裁国家で何が悪い!?2」の感想

2008-09-20 | ベラルーシ文化
 テレビ番組「ビートたけしの独裁国家で何が悪い!?2」を見たHP「ベラルーシの部屋」管理人のさばさんが、掲示板で感想を更新しています。
 皆様、ぜひアクセスしてください。

http://belapakoi.s1.xrea.com/x/repo/hobby_book.cgi


 この内容を読んで、「こんな番組にしたかったなら、最初から日本人の私なんかに取材申し込みなんかしなければよかったのに。取材なんか別に電話でもよかったんじゃないか。」
と思いました。例えば・・・(さばさんの投稿から一部引用します。)

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以下番組の流れを簡単にまとめます。

ベラルーシは「美女は出国禁止の独裁国家」と紹介される。

会場ええーっ!。

「美女だらけの独裁国家」と紹介 (→「美女だらけ」っていうのはないんじゃない?)

テレビクルーによる美女紹介。通りすがりの美人を撮影。ファッションもセクシー。

(→ 街角で、取材班の目から見て「美人」「セクシーな服装」と思った人ばかりを撮影し、「不美人」はカットして放映し「ほら、美女だらけの国でしょ?」と言うのは、おかしいと思いませんか?)

そのとき、クルーは警察官に呼び止められる。

また別の場所でも同じ。「警備局」を名乗る男たちによって撮影中止の指示をうける。

(→ 路上で取材をするのには許可が要ります。日本でもそうでしょ? 歌手が渋谷の路上でゲリラライブやPV撮影をしたりするのに、事前に許可がないと取り締まられるのと同じです。)

美女があつまる場所の紹介→国立モデル学校?「美の学校」 ここでも取材拒否

(→これは国立モデル学校ではなく、(主に女性の)美や美容について学ぶ大学です。ベラルーシだけではなく、ロシア各地にもあります。
 もちろんモデル学科もありますが、それだけではなく美容師、ネールアート、服飾デザイナー、メーキャップ、ダイエット講座などもあります。 
 モデルだけを国が養成している学校と思わないでください。)

昔はモデル事務所が人身売買のかくれみのになっていたので、国が一括管理するようになった、ということがわかる。

→今や国の財産。 トップモデルのひとにインタビュー。

(→美人でなくても若い世代は国の財産でしょう。ベラルーシでもそうですが、少子化が進んでいる日本も同じ。外国へ人身売買で売られていく場合ではない!)

ミス・ベラルーシコンテストの紹介
(→本当に美女だらけの国なら、ミスベラルーシがミスワールドに選ばれてもおかしくないのに、今のところ一人も選ばれてはいないのはなぜ? 日本人は選ばれているのに。)

子供のファッションショーを紹介
(→ベラルーシでは貧富の差が広がっており、貧しい家庭の親が子どもを、あるいは子ども自らが家計を助けるため、モデルエージェンシーに登録してくることがけっこう多いです。)


外交手段で他国を手玉にとる「ヨーロッパ最後の独裁者」から見習うところは?という雰囲気で紹介映像はおしまい。


その後、スタジオの討論

テリー伊藤「美人が北朝鮮のよろこび組みたい」(→ひどい。いっしょにしないでほしい。)

イラン(の女性)コメンテーター、サヘル・ローズ「美人はビザがとれない。イランとにている。」
(→美人でも、留学などちゃんとした理由で外国へ行く場合、ビザが下ります。大体、美人とか美人じゃないとか、ビザが下りるとか下りないとか誰がどういう基準で決めているの?)

日本がまねするとしたら「外交戦略」。外交下手の日本はどうすればいい?と討論


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 さばさん、詳しく教えてくださってありがとうございました。
 自分もセンターも登場しないので、この番組の録画を見る気もあまりないんですが、せっかく親や親戚がわざわざ録画してくれたので、実際に見たらまた改めて私からの感想を書きます。

 他にもこの番組HPの掲示板でも視聴者からの感想や意見を閲覧することができます。(ベラルーシのことはあまり書いている人が今のところいませんが・・・)

http://www.ntv.co.jp/dokusai/bbs2/board0.html


 私からは、日本テレビ、この番組を制作した日本テレビ子会社の日テレアックスオン、この会社で働くプロデューサーで、実際に私に取材をした後藤氏に、
「取材に協力したのに、氏名をテロップで流さなかったのは、どうしてなのか?」 と説明を求めるメールを送信してあります。

 この番組の感想専用掲示板にも、(視聴者からの感想ではなく、取材協力者の苦情ですが)自分の意見を送信しておきました。
(でも結局ボツにされています。) 

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 他にこの番組を視聴した方から私の元へ届いたご意見・ご感想です。

「ブログまとめて読みました。日本テレビには、ばかにするなと言いたいですね。
ベラルーシで日本文化情報センターで携わっている人の立場も考えろ! 美人の国、美人の国、と同じ放送をするな!レベルが低すぎる。
 プロデューサーの担当を女性に変えるべきです。
 ずっとマスコミのおごりが続いているのです。ブログと言う世間に公開できる場ができてきたことで、少しは変わってくるかもしれませんね?
 日本テレビからどんな物が送られてくるのか?
プロデューサーの後藤さんが、日本文化情報センターに来てどのような事をしているか見ているのですから興味津々です。ちゃんと送ってくるかな、、、。」

 これで何もなかったら、本当に日本テレビ最低ですね。

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「いきなりトップに紹介のあった「ベラルーシ」。
トピックの切り口は冒頭らしく面白半分の「美女一杯♪」というものでしたが、内容は実に中立的なまじめなものでしたね。
とても住み易い穏やかな国だという印象を受けました。
ルカシェンコ大統領も「アクは強いけれど何だか親しみかんじる、賢い良い指導者」という感じ。
 一気に理解が深まった感じです。
他の「独裁国家」と言われる国についても、どこも良い面を紹介していて結局驚いたり、笑ったりしながら最後まで一気に見てしまいました。
ゴールデンタイムの放映だったし、ベラルーシに興味を持つ人が一気に増えたのではないかしら。 良い機会となりましたね。」

 そうですね。よくも悪くも、ベラルーシは日本ではなかなか紹介されないので、そういう意味では、放映の意味があったと思います。
 私が不愉快に感じたのは、放映そのものではなく、いろんなベラルーシ人(日本人の私も含みますが)に取材の協力を求めておきながら、全部カット。
 感謝の気持ちをまるで示さない日本テレビ側の姿勢です。

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「逆に考えれば今回のようなベラルーシの偏ったイメージしか伝える意思の
ない番組にTさんや日本文化センターの名がテロップに出てこなかったのは不幸
中の幸いであるような気もします。日本文化センターの映像が紹介されたならま
だしも、美女紹介中心の内容でテロップにTさんやセンターの名前だけ出てきた
ら「一体どんな取材協力をしたんだ?」と普段のTさんやセンターの活動を知ら
ない人達には誤解を招いたかもしれませんから・・」

 全くそのとおりです。この番組が「美人の紹介」しかしていなかったら、私やセンターの名前は一切出してほしくないですね。
 ただ、美人だけじゃなくて、ベラルーシの外交のことなども紹介したそうなので、そのあたりの点で、私からの協力が全くの無だったとは思いません。

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 さて、以下のメールからの抜粋はこの番組を見た日本人の方が、番組掲示板に何度か投稿したのに、一つも採用されなかった、というものです。

「日本でのテレビ放送の件ですが、全くひどいですね・・・。
 私もテレビにかじり付いてとても楽しみにその時を待っていたのですが、Tさんやご家族、また、日本文化センターの様子を見られなくてとても残念でした。
 でも、ブログで取材の様子やTVスタッフがTさんを訪れたきっかけなどを読ませていただきましたが、放映されたTV内容を見て、これは初めから取材されたものを使うつもりなどなかったのでは、と思うくらい、美人がなんたら、ルカシェンコ大統領がかんたらと、ああまた以前のような放送のされかた・・ と思うもので、すごくがっかりしました。
 私も番組の投稿欄になんどか意見を投稿しましたが、全部却下されて載ることはありませんでした。私でさえ頭にきたくらいですから当事者のTさんにしたら、忙しい時間をさいて協力したのにどんなにご立腹、またがっかりされたことでしょう・・。本当に残念です・・。

 掲示板投稿の件ですが、取り立てて過激な投稿をした訳でもないのですが(と自分では思っているのですが)、その後何度か、投稿が採用されていないかHPに見に行ったりしたのですが、ひとつも採用されていませんでした・・。
「投稿が掲載されない理由などにつきましては、いかなる場合もお答え出来ません」との但し書きがあったので理由を尋ねることもできません・・。ほんとに残念ですが・・。
 こういうことで、協力してくれたベラルーシの人達の信頼を失ったらいやですね・・。日本人として恥ずかしいです・・。

 何度も投稿しても、同じアドレスからの投稿になるので、同一人物としてしつこいと思われたくらいかもしれません。
 でも、誹謗中傷やルール違反の投稿ならまだしも、ちゃんとした意見で投稿しているのに採用されないのは、何か納得できません。」

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 全く、日本テレビのほうが独裁的ですよ。他の国のこと、
「取材拒否ばっかりされた。報道の自由がない。独裁国家だ。」
と言える立場に全くないですね。
 このメールをくださった方のように、放映を楽しみにしてくださっていたまじめな方々には本当に申し訳ないことをしました。
 繰り返しになりますが、このブログなどで番組の宣伝などしなければよかったです。

・・・・・・・

 さて、放映されてから時間が経ってしまいましたが、ようやくこの番組の録画を見ることができました。
 私の感想は・・・
 番組自体の時間が長すぎたような気がします。もっと内容のある番組にすればよかったと思いますが、ツメが甘いと言うか、下調べがちゃんとできていないというか・・・
(最後の鳩山兄弟との対談も、外国の独裁国家とは接点がなかったですね。とってつけたような感じ。)

 美人とか、北朝鮮のピョンヤンの画像を挿入したりして、時間を埋めている感じがしました。ボリビアの覆面で靴磨きしている人も同様。
 せっかく時間があるなら、美人とかで時間を潰すのではなく、ルカシェンコ大統領の経歴や、どういった時代背景で選ばれた大統領なのかとかも、じっくり紹介してほしかったです。

 私やベラルーシで合気道している人に取材依頼の電話をする暇が事前にあったのなら、路上での撮影許可を前もってもらったり、美の学校の取材許可を早めにもらっておけばよかったのに。
 何年テレビの仕事をしているんでしょう? 外国へ取材に行くのが初めてではないでしょうに・・・。そういう当たり前な仕事もせずに、いきなり行って警官に注意されたりしているのを放映して、恥ずかしくないのかなあ、と思いました。

 それと「大統領が美女に囲まれている写真」が出てきた、というのをさばさんの投稿で知って「何のこと?」と思っていたのですが、これは結局、ミス・ベラルーシコンテストの会場にやってきた大統領を撮影したものだったんですね。
 (やっと謎がとけた。)
 それでもって、テリー伊東が「北朝鮮の喜び組みたい。」とコメントしているのを聞いて、またまた「いっしょにしないでくれ。」と思いました。
 だって、あれはミス・コン参加者の画像で、「大統領喜ばせ組の皆さん」とかじゃないでしょ? 大体写っている女の人たち、大統領のほう、誰も見ていないですよ。

 それに「美女出国禁止」という名称の法律があるわけでもないです。
 街頭で通行人に「美女出国禁止という法律があるのは知っていますか?」なんてきいても、そりゃあ「知らない。」の返事しか返ってこないでしょう。
(そんなことより、大統領の政治のことや、現在の生活満足度とかきけばいいのに。)
 人身売買は外見がきれいかどうか、に関係なく、また男性でも問題になっています。
 (男性の場合は身分証明書を取り上げられて、強制労働させられてしまうケースが多いです。)
 自国の人間を守る法律があるのは普通です。

 せっかくなんだから、この辺の問題を掘り下げて紹介してくれたらよかったのに、とも思いますが、どうでもいいような大統領のホッケーの画像なんかで、時間を潰していて、もう少しまじめにベラルーシの紹介をしてくれないものか・・・と残念です。

 あと私のほうから付け加えるなら・・・
 ベラルーシ国内で外国人モデルの広告禁止、というのは本当です。
 行き過ぎ(「表現の自由がない!」とか批判されそう)かとは思いますが、番組内でも紹介されていたようにベラルーシではモデルは国のもの、つまり国家公務員なのです。
 そのため、モデルの仕事を国がある程度国内で確保しないといけないわけです。
 ベラルーシ人モデルの仕事を増やすために、ベラルーシ国内での外国人モデルの広告を禁止したわけです。
 モデルが国家公務員としての仕事を保障するために行ったことで、自国の人材を保護する政策である、とも言えるのです。
 (物は見方によって変りますねえ。)

 歌手などの芸能人もほとんどが国家公務員です。なので、現在大型のCD店では必ず「ベラルーシ歌手CD棚」を設置しないといけないし、テレビやラジオで流す音楽の70%をベラルーシ歌手の音楽にすること! という法律もあります。
 どうしてかというと、ベラルーシはロシア語とベラルーシ語が公用語であるため、隣のロシアの歌手の歌も全部理解でき、ついロシア人の音楽ばかり聴いて、そのCDばかり買ってしまう・・・という傾向があります。
 CDを売る側が「売れるから。」という理由だけで、ロシア人歌手のCDしか店に置かなかったら、ベラルーシ人歌手のCDが売れなくなってしまいます。
 歌手も国家公務員なので、国が自国の歌手のCDの売り上げ促進する法律を作ったり、ベラルーシのラジオなんだからベラルーシ人歌手の歌を優先して流そう、というのも、全て、歌手という職業の人の仕事を保護するための政策なのです。

 自分がホッケーが好きだから、アイスホッケー場ばかりたくさん建設して無茶している、とテレビ番組では紹介していましたが、このアイスホッケー場、ホッケーの試合がないときは、他のスポーツの試合もできるし、コンサートホールにもなるし、商品見本市の会場になったり、レストランなどの施設も入っています。
 ホッケーだけするんじゃないですよ。
 文化的複合施設として建設しており、結局はこれも国民のためにしていることです。

 ホッケースタジアム建設は、経済面だけではなく、ベラルーシの文化レベルを上げようと努力している大統領の文化政策の一つなんですけどね。
 巨大図書館(国立図書館)をつくったのも、もともとの国立図書館(旧館)の建物の老朽化が進み、雨漏りしたりして、保管してあった貴重な中世時代の古文書が危ない・・・ということで、建設された最新式の図書館なのです。
 (ちなみに図書館なのに迎賓館も兼ねています。)
 しかし、資源がない国なので、国民の血税で作ったのです。(寄付を募ったり、売上金を建設費に計上する宝くじを大量に発売しました。)
 これもベラルーシの貴重な文献を永久に保管するため、という文化事業の一つなのに、巨大なものを建設すると、「独裁者イコール巨大建設物好き」のようなレッテルを貼るような見方をするのは、偏った見方だと思います。

 プレジデントという呼称禁止についてですが、もともとプレジデントというのは外来語のようなロシア語で、「社長」といった呼称を表すロシア語は他にもいろいろあるので、特に混乱は起きていません。
 (もともと「プレジデント」という呼称はあまり使われていなかったと思います。)

 スーパーマーケットのことが紹介されていましたが、確かに10年前とは大変な違いです。
 ベラルーシ国内で つくられた食料品は国から補助金が出されるので、価格が抑えられている、ということでしたが、それより、輸入品に高い関税がかけらている、というほうが庶民の感覚に近いですね。
(絵本9冊受け取るだけにどれほど苦労したことか・・・)
 
 CIS諸国研究所の副所長さんにインタビューしたのはよかったですね。
 で、ロシアに原油価格を釣り上げられそうになると、パイプラインを止めてしまって、大国ロシアと堂々と渡り合うルカシェンコ大統領の外交手腕に日本は見習うべきところはないか・・・というくくりでした。
 これは確かにそうなのですが、結局この後、ロシアとベラルーシの統合国家計画(2005年には通貨統合する予定だったんですよ! でも何事も起こらなかった・・・)が、帳消しのような状態になり、ベラルーシのマスコミもこの件に関しては何も報道しなくなってしまいました。
 実際には経済状態が上向いているロシアが、そうではないベラルーシを統合しても、経済的に得することはないんです。ベラルーシ国内で天然エネルギー資源とか金とかダイヤモンドとか採れるわけでもないし・・・。

 ベラルーシ向け原油価格をいきなり上げたのは、実はわざと両国の関係を悪化させて、ベラルーシとの統合国家計画を白紙にしてしまおうという、ロシア側の深遠な計画だったのかもしれません。
 これが本当なら、ベラルーシの外交手腕よりロシアの外交手腕のほうが上、ということになりますね。

 とにかく、日本テレビなんて、適当に下準備して、適当に撮影して、適当に説明をつけて、何とか番組としての目鼻をつけているだけなんですよ。
 浅くて荒い内容の番組でした。以上、感想終わりです。

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