ベラルーシの部屋ブログ

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新美南吉ロシア語訳童話集「ごん狐」が出版されました!

2016-05-03 |   新美南吉
ついに新美南吉の童話のロシア語訳が出版されました!
 翻訳活動を始めて、3年・・・長かったですがようやく実現しました。

 日本人の方々から寄せられた寄付金を集め、チロ基金が経費を全額負担した自費出版に当たり、営利目的ではないため、ほとんどの部数ははベラルーシの各地の図書館に無料で寄贈される予定です。
 出版にかかる費用を寄付してくださった日本人の方々に深く感謝しております。
 翻訳にあたり、資料の提供などご指導してくださった新美南吉記念館にも感謝申し上げます。
 日本とベラルーシの両方からの多くのご協力により完成しました。
 この本によって、南吉童話がベラルーシでも広まってほしいと願っています。
 
 内容ですが、14作品が収録されています。(収録順)
「ごん狐」
「たけのこ」
「でんでんむしのかなしみ」
「かんざし」
「去年の木」
「手袋を買いに」
「赤いろうそく」
「一年生たちとひよめ」
「小さい太郎の悲しみ」
「二ひきの蛙」
「飴だま」
「おじいさんのランプ」
「狐」
「牛をつないだ椿の木」

(上記の作品について「こんな話は読んだことない。でも読んでみたい。」と言う方は、青空文庫の新美南吉のページをぜひご覧ください。)

 このほか俳句が一句、日記からの抜粋、作者の経歴を紹介するページもあります。

 俳句は新美南吉が小学校の卒業式のときに詠んだ一句。
「たんぽぽの いく日 ふまれてけふの花」

 日記は1942年7月10日に書かれたものからの抜粋です。
「よのつねの喜びかなしみのかなたに、ひとしれぬ美しいもののあるを知っているかなしみ。そのかなしみを生涯うたいつづけた。」

 また第26回IBBYニューデリー大会で、美智子皇后陛下が発表された基調講演が収録された著書「橋をかける ― 子供時代の読書の思い出」ロシア語版から「でんでんむしのかなしみ」についての箇所だけ転載しています。

 この本のロシア語版は絶版になってしまいましたが、日本語は文庫版が出版されており、また宮内庁HPで全文を日本語と英語で読むことができます。リンク先はこちらです。

 ロシア語版の再版の見込みは少なさそうですので、「でんでんむしのかなしみ」について皇后陛下が述べられている箇所だけでも、再録しロシア語でご紹介したいと思いました。

 表紙と裏表紙はカラーですが、本文中の挿絵は白黒です。挿絵は1話につき、少なくとも1点ついています。
 画像は表紙とその裏、そして扉の部分です。

 新美南吉生誕100年に当たる2013年から翻訳作業、出版準備、資金集めとずいぶん時間が経ってしまいました。出版が実現したのがまだ夢のようです。
 若かりし日の南吉さんが雑誌に詩を投稿して、それが初めて雑誌に載っているのを見たとき「うれしくて目がぼうとした。」と日記に書いているのですが、その気持ちがよくよく分かりましたよ。
 ロシア文学が好きだったという南吉さんも天国で喜んでくれているかなあと思っています。

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