2021年1月7日、正教のクリスマスで今日から4連休です。(図書館は3連休です。)
正教徒であるルカシェンコ大統領もクリスマスミサに訪れました。
そこで1月6日に起きたアメリカの連邦議会への乱入事件について言及しました。簡単に言えば、このように議会に乱入して暴徒化するアメリカ市民と比較して、ベラルーシでもこのような方法の抗議をする集団は抑え込むと発言しました。(ただアメリカの場合は、連邦議会へ自分の支持者が乱入するよう煽ったのは大統領なのですが。)つまりチハノフスカヤ氏を真のベラルーシ大統領と思っている人たちをチハノフスカヤ氏は煽っている、と釘を刺しているのです。かく言うルカシェンコ大統領も自分の支持者を持っているから、「煽る」可能性があるわけです。まあ、ルカシェンコ大統領の場合は、煽るということではなく、合法的に命令を出せますね。
さらにルカシェンコ大統領は団地デモをしている集団について、落ち着かせると話しました。
スラブ正教のモスクワ総主教キリル一世は、ベラルーシ総主教ベニアミンに、ベラルーシ政府側に暴力的に人民を弾圧する側面があるとはっきり指摘しました。正教会としては暴力行為は肯定できないから、ベラルーシの正教会トップであるベニアミン主教がしっかりベラルーシ正教徒を正しく導きなさいと異例の指示を出しました。このベラルーシ正教徒の中にルカシェンコ大統領も含まれているのですが。
ベラルーシ正教は、たとえて言うならロシア正教(モスクワ総主教はカトリックのローマ法王のような立場)を本社とすると、支社みたいなものです。
ベラルーシ国内には途絶えつつもちゃんと神学校や修道院もあるのですが、ベラルーシ総主教はモスクワ総主教の任命によって決定し、今までずっとロシア出身の司教がベラルーシ総主教に選ばれて、分かりやすく言うと派遣されていました。
ベラルーシ正教のトップなのにベラルーシ出身の司教が選ばれたことはなかったのです。
今年の大統領選挙のときもロシア出身のパーベル総主教だったのですが、開票後パーベル総主教はルカシェンコ大統領にすぐ当選祝いの言葉を送りました。その後、反政府デモが起こり、政府側が治安部隊を使って弾圧、暴力行為を始めると、暴力絶対反対の宗教家としては、内心、失敗した、大統領にお祝いの言葉をかけるのが早すぎた、とあわてたようです。
パーベル総主教は治安部隊に怪我をさせられ、入院した正教徒の元へ自ら見舞いに行き、ベラルーシ正教会は政府側の暴力停止を求める表明を8月15日に発表しました。
それに大統領が反発したのかどうか分かりませんし、大統領にお祝いをしたのがロシア正教会から咎められたの分かりませんが、その10日後にはパーベル総主教はロシアの地方の教会へ移動になってしまいました。そして今のベニヤミン司教がベラルーシ正教のトップに選ばれたのですが、この人事にベラルーシ政府が関与しており、ベニヤミン司教は初のベラルーシ出身総主教(年齢も50代と若く、抜擢の人事)なのですが、以前にもルカシェンコ大統領から表彰を受けており、大統領の「味方」なのです。
ベニヤミン総主教はベラルーシ政府側に立った立場にいます。しかしモスクワ総主教からクリスマスにベラルーシ政府は暴力行為をしているから、宗教者として非暴力・平和のほうへ導きなさいと言われて、板挟みの立場になりましたね。大統領寄りの宗教者なのに、その大統領に暴力はやめましょうよ、と説得しないといけなくなったからです。
ベラルーシ政府はベラルーシの国章のデザインを変更したと発表しました。
独立系メディアTUT.BYが行なったアンケート調査。「2020年のベラルーシ英雄は?」
結果発表によると一番票を集めたのはチハノフスカヤ氏ではなく「反政府デモに参加して命を落とした4人の男性」でした。5人に1人が投票しました。
アレクサンドル・タライコフスキーさん(享年34歳。反政府デモ集会に参加していたところその場で射殺)
ゲンナジー・シュトフさん(享年44歳。反政府デモ活動に参加したため身柄拘束され、警察の取調室で暴行を受け重症に。手術後死去)
アレクサンドル・ビホルさん(享年25歳。反政府デモ集会に参加していた、あるいは近くを歩いていたため身柄拘束。護送車で警察に連行されている途中、持病の心臓病が悪化。迅速な救命措置を受けられず死去。)
ロマン・ボンダレンコさん(享年31歳。自宅近くの団地のフェンスに飾られていた白と赤のリボンを取り外している自警団に注意をしたところ、暴行を受け身柄拘束。警察に連行された後、体調が悪化。手術後死去。いわゆる政府派の自主警察に負わされた怪我が悪化したのか、警察での取り調べ室で暴行を受けて体調悪化したのかは不明。自主警察の一人はベラルーシホッケー協会会長。)
アンケート結果第2位は、コロナウイルスと闘う医療従事者。(確かに今年を象徴する英雄ですね。)
第3位は、スベトラーナ・チハノフスカヤ氏(大統領選候補者の1人)とマリヤ・コレスニコワ氏(大統領選に立候補しようとしていたババリコ氏の支援者。ベラルーシ野党幹部)とベロニカ・ツェプカロさん(大統領選候補者の1人だったツェプカロ氏の妻)の3人。
第4位はボランティアとベラルーシを案じているベラルーシ人全員。(つまり、反政府デモに参加した人とそれを支援したボランティアのことです。)
第5位は反政府活動をしたために裁判にかけられたベラルーシ人全員。
第6位は8月に白い服を着て暴力反対デモを始めたベラルーシ女性全員。(この人たちの登場で反政府デモの流れが変わりましたからね。)
第7位はニーナ・バギンスカヤさん。(年末に74歳のお誕生日を迎えました。)
第8位はヤンカ・クパーラ劇場長ラトゥシコ氏が解雇された後、自ら退職を選んだ元劇団員たち。(このアンケートにラトゥシコ氏はノミネートされていないです。)
第9位は反政府支持を表明したスポーツ選手全員。(現政権のままだと、もう五輪出場できなくなるのは分かった上での行為なので。)
第10位は2008年ミス・ベラルーシのオリガ・ヒジンコワさん。(42日間の拘留に耐えましたね。)
以上がトップ10です。私個人的には11位のヤンデクス・タクシー運転手は、本当に映画の中に出てくるタクシードライバーみたいで、文字通りヒーローに見えました。