電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ラフマニノフ「交響曲第2番」を聴く

2008年03月23日 13時18分27秒 | -オーケストラ
このところ、ずっと通勤の音楽で聴いて来たラフマニノフの交響曲第2番、ホ短調Op.27 ですが、曲の全体のイメージが、なんとかとらえられるようになったかな、というところ。演奏は、アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団です。

最初は、はて、ラフマニノフの交響曲って、こんなに長いんだっけ?と思ってしまいましたが、実は慣習的なカットをなくした完全版なのだそうです。ラフマニノフを敬愛するプレヴィンらしい。

第1楽章、ラルゴ~アレグロ・モデラート。出だしの濃厚な旋律が、朝の出勤時の雰囲気にはふさわしいとは言えず、でも帰路にはぴったりな雰囲気です。しかし、これが動機あるいは主題になって、以後の音楽が展開されているのですから、驚きです。ベートーヴェン的な主題と変奏とはかなり異なる、旋律的主題の幻想的変奏、かも。
第2楽章、アレグロ・モルト。全曲中ではいちばん短い、それでも10分もかかる、スケルツォ楽章です。緊迫したリズムの主題と、情感豊かな旋律が、オクターブで対比されます。後輩のプロコフィエフを思わせるところもあり、憂鬱感は希薄になりますが、旋律の魅力は素晴らしい。
第3楽章、アダージョ。ああ、ラフマニノフだ!とすぐわかる、優しくやわらかな旋律。息の長いクラリネットの響きに、思わず聴き惚れます。
第4楽章、アレグロ・ヴィヴァーチェ。それまでの憂鬱な気分を一掃する、解放感に満ちた楽章です。どうしてこういう気分が生まれるのか、ちょいとわかりにくい面もありますが、たしかに前の三つの楽章の中に準備されているようです。いわゆるラフマニノフ的な憂鬱感の強さにマスクされて、見えにくくなっているだけかもしれません。

1973年1月、ロンドンのキングズウェイ・ホールで収録されたEMI録音。プロデューサーはクリストファー・ビショップとクレジットされています。エンジェル・ベスト100というシリーズの中の一枚で、CC30-9022という型番から見ると、1枚3,000円の正規盤ですが、どういうきっかけで購入したものか、すっかり忘却の彼方です。

■アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン響
I=18'59" II=10'00" III=15'37" IV=13'59" total=58'35"

今年は、われらが山響の定期演奏会で、この曲を堪能できる予定。楽しみです。

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4 コメント

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初演100年とのことです (望 岳人)
2008-03-23 22:08:33
今晩は。ラフマニノフの交響曲第2番は、本当に遅れてきたロマンチストの面目躍如の曲ですね。長大な曲で確かに冗長ですが、それでもこのような大曲に慣れた耳にはこの長さもそれほどではないですね。10年以上前、恋愛ドラマでもBGMに取り上げられ一時期人気が出たこともあったと耳にしましたが、柴田南雄氏などに言わせるとやはり20世紀の作曲家の曲だけあり、それをマゼール辺りの解釈では抉り出されているようです。とはいえ、この曲の伝道師でもあったプレヴィンの指揮による初のノーカット版は聴き応えありますね。

不思議なアクセスですが、ロボット検索が先月私のblogでもありました。検索エンジンがインデックスを作成するためにアクセスすることがあるそうでね。さすがに1000件程度でしたが。
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望 岳人 さん、 (narkejp)
2008-03-24 22:14:16
コメントありがとうございます。プレヴィン指揮のラフマニノフ、昨年のN響アワーでも取り上げていたと思います。ピアニスト、協奏曲のジャンルではない、シンフォニーの作者としてのラフマニノフが、プレヴィンは好きだったのだろうと思います。
アクセス記録、ロボットの検索による可能性はありえますね。最近、いろいろ新しい検索サービスが登場しているので、そのせいもあるのかもしれません。
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無断で失礼 (Fukiyose)
2011-01-17 16:04:53
NHK FMでラハマニノフSym2を放送していて,レコード番号を検索したら,ここがでてきました.
無断で,twitterにリンクさせてもらいました.

村川千秋先生には,学生時代,大変お世話になった者です.
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Fukiyose さん、 (narkejp)
2011-01-17 20:45:27
コメントありがとうございます。当方、素人音楽愛好家ですので、リンクの件、むしろ光栄です。村川千秋先生にお世話になったということは、音楽専攻の方でしょうか。今後とも、どうぞよろしく。
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